「みなし訪問看護」「訪問リハ」も補助を ─── オンライン資格確認の拡大で池端副会長

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2023年10月11日の総会

 オンライン資格確認等の拡大に伴う財政支援や周知広報の必要性を求める声が相次いだ厚生労働省の会合で、日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長は、医療機関が提供する「みなし訪問看護」や「訪問リハビリテーション」について質問し、補助の対象に含まれるとの回答を得た。

 厚労省は10月11日、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=小塩隆士・一橋大学経済研究所教授)総会の第558回会合を都内で開催し、当会から池端副会長が診療側委員として出席した。

 医療DX推進本部の工程表など政府方針を踏まえ、厚労省は同日の総会に「オンライン資格確認等について」と題する資料を提示。その中で、訪問看護におけるオンライン資格確認のほか、「用途拡大に伴う対応」として訪問診療等について課題や論点などを示し、委員の意見を聴いた。
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01スライド_P20_オンライン資格確認等について

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十分な支援や対応をお願いしたい

 質疑の冒頭、診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は「医療機関・薬局のオン資導入については、義務化への急な方針転換が行われた。医療現場には大変な混乱や困難があった」と振り返り、小規模な事業者が多い訪問看護ステーションへの影響を懸念。「より手厚い対応が必要となる場合も多い。懇切かつ丁寧な対応をお願いしたい」と求めた。

 長島委員は「通常型のオン資システムに加え、訪問先で使うモバイル端末も必要なため、補助金を大きく上回る可能性が極めて高い。導入・運用のハードルは医療機関以上に高いはず」と指摘し、国による十分な支援がなければ「義務化に対応できなくなる施設が数多く出てきてしまうことが想定される」と強調した。

 森昌平委員(日本薬剤師会副会長)も「さまざまなかたちで追加的な費用等が発生しており、非常に大きな負担となっている」とし、「現場の費用負担の状況をしっかりと把握いただき、十分な支援や対応などをお願いしたい」と要望した。

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訪問診療「等」に含みうる

 池端副会長も「丁寧な対応をお願いする」とした上で、資料9ページに示された「訪問診療等におけるオンライン資格確認の仕組み案」について質問。「訪問診療等の『等』には、みなし訪問看護や訪問リハビリテーションも入るか。補助の対象になるか」と尋ねた。
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02スライド_P9_オンライン資格確認等について

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 厚労省の担当者は「訪問診療『等』に含みうる」と回答。訪問診療等における医療機関・薬局に対する財政支援の内容を紹介した上で、「今後、実施要綱等において、その範囲について検討したい」と説明した。
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03スライド_P13_オンライン資格確認等について

【池端幸彦副会長】
 論点については、先ほど長島委員等がおっしゃった丁寧な対応をお願いすることを前提に賛同したい。その上で、9ページの居宅同意型に関する「訪問診療等におけるオンライン資格確認の仕組み案」について質問する。私の理解では、この「訪問診療等」の「等」について、医療機関から行く訪問診療等の中に、みなし訪問看護、あるいは医療機関から行く訪問リハビリテーションというサービスがあると思うが、これらは「等」の中に入るかどうか。そして、もし入るのであれば、13ページ以降(訪問診療等における医療機関・薬局に対する財政支援)にあるような補助の対象として、この2つのサービスが含まれるのかどうか。
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【厚労省保険局保険データ企画室・中園和貴室長】
 みなし訪問看護、すなわち病院および診療所において、患者に対して看護職員が訪問して訪問看護を行うというケースがあることは承知している。現行においても、医科レセプトの中において、その請求等をなされている。そういった、みなし訪問看護、あるいは訪問リハビリテーションについても、この訪問診療「等」のところに含みうると考えている。したがって、これらの補助については、13ページに補助の支援内容を示しているが、今後、実施要綱等において、その範囲について検討してまいりたいと考えている。

                          (取材・執筆=新井裕充)


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