マイナカードの代理交付の要件などを質問 ── 医療保険部会で池端副会長

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池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)_20230224医療保険部会

 来年秋の保険証廃止に向けた検討状況が報告された厚生労働省の会合で、日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長はマイナンバーカードの代理交付の要件などを質問した。厚労省の担当者は「柔軟に代理交付が活用できるように引き続き取り組みたい」と述べた。

 厚労省は2月24日、社会保障審議会(社保審)医療保険部会(部会長=田辺国昭・国立社会保障・人口問題研究所所長)の第163回会合を一部オンライン形式で開催し、当会から池端副会長が委員として出席した。

 厚労省は同日の会合に、「マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会」の中間とりまとめを提示。特急発行・交付の仕組みや代理交付・申請補助など主な事項を説明し、委員の意見を聴いた。

 池端副会長は代理交付の要件について質問。厚労省の担当者は見直し案のポイントを説明した上で、「もう少し明確化する、あるいは広げることを考えている」と伝えた。 

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01スライド【参考資料2】中間とりまとめ参考資料_2023年2月24日の医療保険部会_ページ_22

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 この日の会合では、第8次医療計画で新たに盛り込む6事業目(新興感染症対応)について、関連会議で検討が進んでいる「対応の方向性(案)」が報告された。

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02スライド__【資料4】対応の方向性(案)_2023年2月24日の医療保険部会

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 池端副会長は診療報酬上の評価との関係について質問した。詳しくは以下のとおり。

■ マイナンバーカードの代理交付について
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 中間とりまとめについては全体として異論がないが、各論について質問したい。資料1(中間とりまとめ)の4ページ、(2)マイナンバーカードの代理交付・申請補助等について、「役所に出向くことが困難であるとして代理交付の活用ができるケース」が挙げられている。
 その中で、困難であることを示す「疎明資料」について、入手が容易・費用がかからないもので対応できるよう緩和するとともに、「困難であることが推定される一定の場合」には実質不要とされている。この「困難であることが推定される一定の場合」の例として、「成年被後見人、中学生以下の者、75歳以上のご高齢の方」が示されている。
 このうち「中学生以下の者」はおそらく義務教育以下という意味だと思うが、わが国では高校進学率は97%を超えていると思う。高校生が取得する場合、もし役所に出向いて交付を受ける場合を考えるとウィークデイになる。とすると、ウィークデイに出向くことが非常に困難なケースということで同じようなことになるのではないかと思うが、ここを「中学生以下」にした理由は何か。もし可能であれば、高校生に対してもこのケースを推定してもいいのではないかはという個人的な思いがあるので、何かご見解があれば、お聞かせいただきたい。

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【厚労省保険局医療介護連携政策課・水谷忠由課長】
 中間とりまとめの参考資料の21ページをご覧いただきたい。総務省を中心にまとめている「代理交付の要件及び疎明資料の見直し案」がある。詳細は今後、最終とりまとめに向けて整理するが、「役場に出向くことが困難」と認められるケースを列挙している。現行では、例えば「長期入院者」「75歳以上の高齢者」「障害者」らについて疎明資料の提示を求めることとしていたが、今回の見直し案では、もう少し明確化する、あるいは広げることを考えている。 
 ご質問いただいた高校生については、学生証あるいは在学証明書によって、「やむを得ない理由」に該当するとしている。一方で、中学生未満については「実質不要」とする。すなわち、本人確認書類さえあれば確認可能にしている。
 高校生について学生証や在学証明書のコピーがあれば、ということと、どの程度の違いがあるかということだが、いずれにしても、中学生であろうと高校生であろうと柔軟に代理交付が活用できるように引き続き取り組んでまいりたいと考えている。

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■ 新興感染症への対応と診療報酬上の評価について
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 資料4の新興感染症に係る医療計画策定等にあたっての対応の方向性(案)について質問したい。流行初期医療確保措置の対象となる「特別な協定」の締結医療機関について、「重点医療機関」「発熱外来」という言葉が出ている。
 現状、重点医療機関や発熱外来等の医療機関については、「感染対策向上加算」や「外来感染対策向上加算」とリンクしている。
 しかし、今回の対応案は次の新興感染症を想定したもので、現在の新型コロナ感染症とは必ずしも直接リンクするものではないと私は理解している。
 そこで、医療保険部会なのであえてお聞きするが、今後、診療報酬上の加算とリンクすることはあるのだろうか。新型コロナ感染症については要件に入ったが、これが次の新興感染症に対してもリンクすることは想定していないと私は理解しているが、今後も同じように踏襲することがありうるのか。現時点でお考えがあれば、お聞かせいただきたい。

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【厚労省医政局・古川弘剛医療政策企画官】
 現在、検討しているのは、次の感染症の流行があった場合にどういうふうに備えていくのか、医療計画上、どう位置付けていくのかという議論なので、診療報酬の在り方はまた別のことだと理解している。

                          (取材・執筆=新井裕充) 

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