外来受診の回数、「一元管理で減らせる」── 医療保険部会で池端副会長

協会の活動等 審議会 役員メッセージ

池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)_20200227_医療保険部会

 日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長は2月27日、今後の医療保険制度について審議した厚生労働省の会議で、年間の外来受診回数のデータに言及し、「かかりつけ医が生活習慣病等をしっかりと一元化して管理する体制ができれば、この回数は減らせる可能性がある」と述べた。

 厚労省は同日、社会保障審議会の医療保険部会(部会長=遠藤久夫部・国立社会保障・人口問題研究所所長)を開催し、前回に続いて医療保険制度改革に向けて議論した。

 ※ 資料は → https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09734.html
   説明は → http://chuikyo.news/20200227-trick/

 この日のテーマは、後期高齢者の窓口負担について。政府の検討会議が昨年末にまとめた中間報告を踏まえ、厚労省は同日の部会に「後期高齢者の自己負担割合の在り方等について」と題する資料を示し、「現役並み」の負担を求める範囲などについて意見を求めた。
.
20200227_医療保険部会
.
 政府の検討会議が示した報告書では、後期高齢者の窓口負担について「高齢者の疾病、生活状況等の実態」などを踏まえて検討すべきとしている。
.

04_【資料】後期高齢者の自己負担割合の在り方等について_20200227医療保険部会

.

80代の外来受診回数が多い

 厚労省は同日の部会で、「疾病」や「生活状況」に関連する資料として「1人当たり窓口負担額」「1人当たり医療費」「1人当たり年間外来受診回数」などのデータを提示。受診率の上昇が医療費の伸びに影響しているとの認識を改めて示した。

 厚労省の担当者は「高齢になるにつれて1人当たりの医療費が高くなる」「高齢者の医療費が高くなる大きな要因は、受診率が若人に比べて高いこと」「お年寄りになると受診の機会が増える傾向にあり、80代の外来受診回数が多い」などと説明した。
.

18_【資料】後期高齢者の自己負担割合の在り方等について_20200227医療保険部会

.

多数の医療機関の合計ではないか

 質疑で、池端副会長は「年間外来受診回数」に関するデータに言及。「1つの医療機関にかかっていれば毎月3回も外来を受診することはほとんどないと思うので、これは恐らく複数の医療機関にかかっている人の合計の回数ではないか」と指摘した。

 その上で、受診している医療機関数に関するデータも「非常に重要」との認識を示し、「かかりつけ医が生活習慣病等をしっかりと一元化して管理する体制ができれば、この回数は減らせる可能性がある」と述べた。

 池端副会長の発言と厚労省担当者の回答は以下のとおり。

〇池端幸彦副会長
 1点質問と意見を述べる。まず、現役並み所得に関する検討については、いろいろな細かい対応をしながらスタートするということだが、これが実施されることで、どれくらいの財源が生み出されるのか、もし試算があればお聞かせいただきたい。これが質問。 
 もう1点は、資料18ページの「年間外来受診回数」について。当然ながら、年齢が上がるごとに受診回数が多くなっている。ピークは「80~84歳」の35.8回ということで、平均すると月3回ということになる。
 1つの医療機関にかかっていれば毎月3回も外来を受診することはほとんどないと思うので、これは恐らく複数の医療機関にかかっている人の合計の回数ではないか。とすると、むしろどれくらいの医療機関にかかっているのか、この医療機関の数も非常に重要になってくる。
 というのは、かかりつけ医が生活習慣病等をしっかりと一元化して管理する体制ができれば、この回数は減らせる可能性があると考える。 
 一方、「85歳以上」になると回数が減っている。外来に通えなくなった方に訪問診療などで対応するために減っていると考えると、この辺の状況も知りたいと思うので、そうした資料があれば、次回以降にお示しいただきたい。
 そのほか、前回も発言したように、後期高齢者の自己負担割合の在り方に関する問題は、この医療保険部会の議論プラス、国民がどう考えるかということを双方向で検討しながら落とし所を見つけていかなければいけないと思う。

.
〇厚生労働省保険局高齢者医療課・込山愛郎課長
 現役並み所得者の方の給付への影響という、前回のご質問については、次回以降に資料をご用意したいと思う。

                          (取材・執筆=新井裕充) 

この記事を印刷する この記事を印刷する
.


« »