「第8回医療介護総合確保促進会議」 出席のご報告

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「第8回医療介護総合確保促進会議」出席のご報告

 平成28年10月31日、「第8回医療介護総合確保促進会議」が開催され、武久洋三会長が委員として出席いたしました。議題は、下記の通りです。
 
 総合確保方針の改定に向けた検討・論点(案)
 
 今回の会議では、年内をめどに総合確保方針の改定方針が策定されることが決まりました。改定にあたり、多くの委員から、医療計画と介護保険事業計画はどのように整合性をとっていくのかという声が上がっていましたが、この点については改定方針に盛りこまれる予定です。また、都道府県、市町村が医療・介護に積極的に関わっていくべきとの意見も多く出ました。武久会長は、都道府県、市町村の関わりはもちろんだが、何よりも国がまず強い主導を示すべきではないかとの発言を行いました。
 

◇武久洋三会長の発言
武久洋三会長平成28年10月31日 皆さん思い出していただきたい。医療介護総合確保方針において最初に出されたのは「医療介護総合確保区域」であった。ということは、二次医療圏と老人福祉圏域を一つにして、全都道府県でそれぞれ組み直すことになるのだろうと思った。しかし現実に、二次医療圏は今でもそのままになっている。国の指導は一体どうなっているのか。国が二年も前に政策として定めたことがまったく進んでいないということである。人口80万人、県庁所在地もあるような二次医療圏がある一方で、人口5万人しかいない二次医療圏もある。このような状況で、実際やっていけるのか。もはや、国からの強力な指導を必要とする状況となっている。
 今後、病院がどんどん新設されていくといっても、それは一部の都会の話である。多くの地域では病院の新設はなく、既存の病院でやっていくしかない。この既存の病院を点として結んだ上で、特養や老健などが適切に配置されているかどうかを見ながら、圏域を決めていけばいいと思う。
 一方、平成30年から国民健康保険の保険者が都道府県になることが決まっている。国民健康保険と介護保険は、パラレルといっていいほど非常によく似ている。まず国民健康保険において都道府県を保険者にし、後で介護保険も現状の市町村から都道府県に保険者を変更する。タイムラグを置くことには賛成であるが、市町村でも規模が大きければ人口は数十万単位だし、小さいと人口1000人というところもある。規模が小さい市町村に、介護サービスを担うスタッフがきちんといるのか。また、そこで適正な事業者が育つのか。育たないとなれば、利用者の状況は非常に惨めなものになるし、医療介護総合確保として事業をやろうとしても、そもそもの手持ちがなければ何もできない。医療と介護が一体となってやっていくということに関しては、国がある程度主導権を持って進めていかないと、都道府県レベル、市町村レベルだけでは大変なことになる。
 こうした中で核となるのは、ケアマネジャーしかいないだろう。ただ、ケアマネジャーは医療の知識が不足しているという面があるので、地区の医師会に教育していただきながら勉強してもらうことが重要になってくる。その一方、ケアマネジャー制度が開始した当初、看護師でケアマネジャーの試験に受かった人というのがたくさんいた。だが、看護師がだんだんケアマネジャーの現場から退いて、介護福祉士が頑張るようになってきた。だからこそぜひ今、看護師でケアマネジャー資格を持っている方に出てきていただきたいと思っている。そして、現在中心となっているケアマネジャーとともに核となって、医療と介護を結んでいただく。そこに、各地域の医師会がサポートに入り連携を組んでいく。さらに、そこにコメディカルが入ってくる。やはりチームで取り組まないとだめだと思うので、チームのリーダーは地区医師会の先生方にお願いするのが一番いいのではないか。都道府県や市町村を重層的にカバーできるような体制を、今のうちに国が主導となって整備しておかなくては、今後大変なことになる。

 資料1-2「地域医療構想に関するワーキングループにおける意見の整理」について、いろいろとお願いしたいことがある。まず、基準病床数と必要病床数についてである。現在、平均在院日数が短い一般病床は、平均在院日数が長い療養病床の3倍もの病床数がある。一般病床というのは急性期病床のことであるというのは、皆さん理解されていると思う。ただ最近、療養病床は平均在院日数が100日を切った。
 ご存知のように、一般病床に3ヶ月以上入院していると、特定除外患者という扱いになる。こうした患者が、かつては十数万いると言われていた。現在、社会保障審議会の療養病床の在り方に関する特別部会では、病院の病床を施設や住居に転換していくという議論を進めている。これはまさに医療と介護の間の議論で、療養病床から転換すればいいという話になっているが、実は一般病床の中にも特定除外患者が多くいるわけである。特定除外は外れることになったものの、経過措置で、4.3㎡の8人部屋に実は何年間も入院しているというケースがある。要するに、90日を超えて入院している患者が実際はたくさんいるのである。一般病床も療養病床も6.4㎡の4人部屋が基準となっているので、こうしたハード面で取り残された一般病床に、慢性期の患者が多く隠れているのではないかと考えられる。
 そうなると、急性期は急性期、慢性期は慢性期、施設は施設にふさわしい治療、介護をする場所が必要になってくるように思われるが、そこが曖昧なうちに一部だけ病床から転換させるというやり方では、非常にまずいのではないかと思う。
 昨年、地域医療計画課が2025年の病床機能別の病床数を出していた。それによると、高度急性期と急性期とで25万床近く病床を減らすことになっている。回復期は、病床数を増やすことになっている。慢性期は、一部施設にシフトしていくことから、5万床ぐらい減る。国がこのように打ち出した以上、今後はこの方向で進められていくのだろう。
 事務局にお願いしたいのだが、この中で実際に4.3㎡の6~8人部屋という、非常に古くとても療養できるような環境ではない病床が、全国にどれくらいあるのか、さらに、そうした一般病床に入院している特定除外の患者が一体何人いるのかについて調べていただきたい。これは第二の慢性期病床と言えるわけで、現在注目されているのは療養病床の患者だが、実は一般病床にもこうした慢性期の患者が多くいるのだとしたら、これはやはり平成30年をめどに同時に解決していかなければならない問題だと思う。
 したがって、4.3㎡6人部屋以上が何万床あるかということと、特定除外の患者は何万人いるのかを教えていただきたい。後者については、レセプトですぐに分かるだろう。そうしたデータを用いることで、大きな意味で、改革をしていく時期に来ていると思う。

○第8回医療介護総合確保促進会議の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
 ⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000141607.html
 

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