「第6回療養病床の在り方に関する検討会」出席のご報告

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「第6回療養病床の在り方に関する検討会」出席のご報告

 平成27年12月25日、「第6回療養病床の在り方等に関する検討会」が開催され、池端幸彦副会長が委員として出席いたしました。議題は、下記の通りです。

 議題:新たな選択肢について

◇池端幸彦副会長のご発言
 配布資料5ページ「慢性期の医療・介護ニーズへ対応するためのサービスモデル」の表を見ると、ストラクチャーの観点からはある程度整理されてきたことが分かる。だが、複数の構成員からすでに言われている通り、案1「医療内包型」のうち、案1-2「長期療養を目的としたサービス」がどのようなイメージであるのか分かりづらい。

資料5ページ

 20対1医療療養病床に入院しているのは医療区分2、3の患者が主である。一方、案1-1・2、案2の類型では、医療区分1の患者を中心に長期療養が必要とされるような、比較的安定した病態の患者が想定されているということで共通している。そうなると、案1-1・2、案2のいずれの類型に入っても、利用者像は同じことなのかという話になってくる。案1-1・2の医療内包型のモデルは、既存の介護療養病床からの転換を想定しており、利用者像としては療養機能強化型の患者の病態がイメージされるかと思う。一方で、案2の医療外付型のモデルは、25対1医療療養病床で医療区分1の患者を多く診ていた流れを引き継ぐのではないかと思う。
そうなると、利用者がこれらの類型のいずれに入るかは、誰が決める形になるのだろうか。何らかの基準を設けて利用者を絞っていくのかが現時点では不明となる。
 この点について事務局の回答では、新類型に医療保険、介護保険どちらの制度が活用されるか、今後の議論の中で新類型の利用者像をどのように設定していくかによって、患者がどのように振り分けられるかの方法は変わってくるし、患者数の推計もされていくだろうとのことであった。
 この点を踏まえて、もう一度、案1の利用者像について考えたい。結局、ここの在り方が見えづらいのは、転換型も含めた既存の老人保健施設との違いが見えてこないからである。なぜ老健との違いが見えないかというと、老健は、制度上は在宅復帰を目指す機能の施設となっているが、現状は必ずしもその通りに運営されていないというところに原因がある。特養に移るまでの待機施設のようになっている老健施設は、すでに何万床にものぼっている。だがこうした使われ方も、必要だから機能しているわけであって、そう簡単に否定できないのが現実である。このような状況についても議論していかなくては、整理がつかないだろう。

 また本検討会の大きな目的に、既存の25対1医療療養病床の転換先をどうするかという問題がある。もし、4人部屋で一人6.4㎡の面積では「住まい」と言えないから転換させませんなどということになれば、これまでの議論がすべて水の泡になる。最低限、経過措置を設けたり、建て替えまでは6.4㎡でも認めるといった対応をするなどして、運営側にとって何とか現実味のある形にしていただけるよう、強く要望する。

 25対1医療療養病床と介護療養病床から転換した新類型について、これまではハードについての議論が中心だったが、ソフトの面から意見を申し上げたい。まず25対1医療療養病床については、すでに他の構成員から意見が出ているように、転換して「住まい」になったからずっとここに留まりましょうというのではなく、可能ならば住み替えを行い、地域に帰れるようにするのは、大事な観点だと思っている。案2の医療外付型の類型に入るような病態の方でも、もし希望されるのなら地域の居住系施設や自宅等、多様な住まい方に対応できるよう支援していく必要があるだろう。しかし現状の25対1医療療養病床では、医療的な要因以外の様々な理由で入っている方も多いので、そうした社会的な問題を解決できれば、地域に帰っていける人も増えるだろう。そして必要があれば、また医療療養、そして新類系の「住まい」を利用し、再び地域と帰って行くというふうにぐるぐる回るような循環型システムを担う一環として新類型が機能していくといったコンセプトがいいのではないかと考えている。こうした必要性が認められれば、病院の中に住まいの機能があるというイメージもつきやすいのではないか。
介護療養病床についてであるが、他の構成員からも意見があがっている通り、基本的には廃止せずに現状のまま残すべきと考えている。だが、万が一廃止ということであれば、廃止に際して介護療養病床のこれまでの功績をあらためて考えてみてほしい。まず、身体拘束廃止という取組を、医療と介護、両方の分野に持ち込んだ点である。それから、多職種連携の在り方のモデルケースである。介護療養病床では、他の病床区分にさきがけて、医師も含めた多職種のカンファレンスを継続して行ってきた。
 介護療養病床を廃止するにしても、少なくともこの二点は、新たな類型にしっかり引き継がれるようにするべきである。介護療養病床の先生方は、自分たちが身体拘束廃止の先駆けであったと強く自負している。医療療養病床でもその流れが生きているが、一般病床の中では、ややもすると生命の維持(危険回避)の立場から安易に縛ってしまっているのではないかと思われるところが多い。しかし医療療養病床で現在実施されている様々な工夫を考えると、そういう(身体拘束廃止の)概念で変えようと思えば変えられるところがまだまだある。患者の尊厳のために大事なことを、療養病床ではかなり早い段階からやってきたのだということを今一度認識してほしいし、この概念は是非とも新類型にも引き継いでもらいたい。

 最後に平成29年度末に経過措置の期限となる25対1医療療養病床について確認したい。25対1医療療養病床は、医療法上、病院全体で4対1の看護配置をとるようになっている。だが、例えば、3病棟もっている医療機関が、7対1の看護配置の病棟2つ、25対1の看護配置の病棟を1つという形で運営するとなれば、医療法上の4対1の看護配置は遵守していることになるが、どうだろうか。

⇒事務局からは、「医療法の人員配置の基準は、施設・病院全体ということになっている一方、診療報酬上の設定は、療養病床、一般病床、入院基本料と細かく分かれている。現状では、あくまで現行の診療報酬体系を前提として運用するよう示している。だが、次々回の診療報酬改定や経過措置等を決める際に何を評価するかによって、判断が変わることも起こりうるだろう」との旨の回答がありました。

○第6回療養病床の在り方等に関する検討会の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
 ⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000107905.html
 

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