社会保障審議会・介護給付費分科会(第104回) 出席のご報告

会長メッセージ 審議会

社会保障審議会・介護給付費分科会(第104回) 出席のご報告

 平成26年7月23日、ベルサール半蔵門にて「第104回社会保障審議会介護給付費分科会」が開催され、当会からは委員である武久洋三会長が出席いたしました。

 今回の分科会では、平成27年度介護報酬の改定に向けて「「介護福祉施設サービス」と「特定施設入居者生活介護等」がテーマとなりました(資料は厚労省ホームページ参照)。

 厚労省が介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)について示した6つの論点の中では、多床室のあり方に関する意見が多く出されました。現在、個室ユニットでは光熱水費に加えて室料が徴収されますが、多床室については室料がかからない仕組みとなっています。多床室から室料を徴収することの是非に関して、委員の間からは「個室ユニットケアは理念としては重要であるが、所得の低い人たちの多床室の空室待ちが多い」「プライバシーに配慮した多床室ができても料金が上がれば低所得者にとって縁遠い施設になる」「低所得でも入れる個室を促進することが原則」など慎重な意見が相次ぎました。一方、「ユニット型は負担ありで多床室は負担なしというのは問題がある。居住費は保険給付から外すのが筋」といった利用者間の公平性を重視する意見も聞かれました。

 特養の機能について「特養は利用者の8割が非課税者。低所得でも入れる終の棲家として絶対に必要な入所施設であり整備が必要」「地価の高い大都市部でも特養が建設しやすいように、小規模多機能型居宅介護等との併設の禁止の緩和など柔軟な対応が必要。重度者の終の棲家となる以上、在宅復帰に向けた加算は廃止して重度化への対応や看取りに対する加算を充実すべき」といった意見に対して、武久会長は「先ほどからの議論では特養が『終の棲家』であるという意識のようだが、どこにそんなことが書いてあるのか。介護保険法には要介護状態が改善すれば退所すると書いてある。老健は在宅復帰を強化しているが、これから先も高齢者がどんどん増えてきて高齢者の病気の人が増えてくる。そうすると特養は終の棲家だということで、在宅復帰の方向性とは逆に今のままだと特養に山ほど入所者が溜まってくる。これが正しいのかどうか」と疑問を投げかけました。

 また、退所理由のうち死亡が老健3.8%、介護療養型病床33%、特養63.7%とのデータが示されたことに関し、「老健と介護療養型病床はどこかに移ればそこですぐ退所となる。しかし特養の場合必ずしもそうではなく、病院に移っても数週間の籍がある。そのため実際には病院で亡くなった方が特養に含まれていたりする。63.7%の内訳をはっきり出していただきたい」と厚労省側に調査内容の精査を求めました。
 
 今回の分科会では平成24年度介護報酬改定の効果検証および調査研究に係る昨年度調査について最終報告が行われたほか、今年度に実施する7本の調査研究事業の調査票が示され、いずれもその内容について了承されました。

 介護給付費分科会は、月2回のペースで開催され、12月中旬までに報酬・基準に関する基本的な考え方を取りまとめる方向で進められます。次回は「介護療養型医療施設」と「介護老人保健施設」について議論が行われる予定です。
 

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