社会保障審議会・介護給付費分科会(第103回) 出席のご報告
平成26年6月25日、「第103回社会保障審議会介護給付費分科会」が開催され、当会からは委員である武久洋三会長が出席いたしました。
今回の分科会では、厚生労働省より「区分支給限度基準額」と「ケアマネジメント」について論点が示され(資料は厚労省ホームページ参照)、委員による意見交換が行われました。
居宅介護サービス及び地域密着型サービスは、要介護度別に区分支給限度基準額(限度額)を設定し、一定の制約を設けるとともに、その範囲内でサービスの選択を可能とする仕組みとなっています。今回、受給者一人当たりが限度内で利用している費用の割合、そして限度額を超えて利用している要介護者数の割合が、いずれも要支援1・2を除き増加傾向を示している実態が示されたことに対して、限度額の見直しに慎重な委員からは「適正なケアプランが行われているか精査が必要」「財政への影響を先にシミュレートすべき」といった意見が出されました。一方、「必要なサービスについては全額自己負担とならないように配慮すべき」「重度化を反映した新たな標準利用例が必要ではないか」等、利用者側の立場に身を置いた意見も聞かれました。
武久会長は「新しいサービスである定期巡回、小規模多機能、複合型は今後の重度者の在宅シフトを見据えると非常に優れたサービスだが、報酬体系や制度自体に問題があり普及が進んでいない。ニーズよりも先に整備されたことも一因だと考えられる。また、訪問介護の8割を生活介護が占めており、利用者本位と言いながら家族本位となっている。こうした現状の実態解明やケアプランの精査、新サービスのシステムの見直しが必要であり、限度額の引き上げにはもう少し慎重に対応すべき」との意見を述べました。
ケアマネジメントについての議論では、併設型事業者が全体の9割を占めている現状を踏まえ、ケアマネジメントの公正・中立性を保てる環境を整える観点から独立型事業の支援、推進が必要との意見が出されました。また、多くのケアマネジャーが「医療機関、主治医との連携・調整」など専門職として求められる業務に負担を感じている調査結果が示されたことに対し、多職種協働の環境整備、資質の向上を強く求める声が聞かれました。
ケアマネジャーの資質向上と今後のあり方について、武久会長は「確かにケアマネジャーの資質は上がっているが、家族の要望を優先せざるを得ない事情もあり、宝の持ち腐れになっている部分もある。ケアマネジャーの立場を考え、責任を持って業務を遂行できるような環境を整えてほしい。研修に関しては、ケアマネジャーの研修なのに研修の委託先はほとんど社協であり、我々に個別に講師依頼が来る。ケアマネジャーの研修に日本介護支援専門員協会が関与しないなどというおかしな話はない。ぜひ考えていただきたい」と苦言を呈しました。
介護給付費分科会は、月2回のペースで開催され、12月中旬までに報酬・基準に関する基本的な考え方を取りまとめる予定で進められます。
2014年6月26日