社会保障審議会・介護給付費分科会(第99回) 出席のご報告

会長メッセージ 審議会

社会保障審議会・介護給付費分科会(第99回) 出席のご報告

 平成26年3月27日、「第99回社会保障審議会介護給付費分科会」が開催され、武久洋三会長が委員として出席されました。
 今回の分科会では、厚生労働省より、「平成25年度介護従事者処遇状況調査」および「平成24年度介護報酬改定の効果検証および調査研究に係る調査(平成25年度調査)」の結果について報告され、介護職員処遇改善加算は普及・定着してきている、との評価が示されました。

 武久洋三会長は、調査結果の報告を受けて、下記の意見を述べています。
 
◇平成25年度介護従事者処遇状況等調査の結果について
 
*介護職員の平均給与額は月給で7,180円上がっているという結果であるが、介護職員の給与が上がるとともに看護職員やリハビリスタッフの給与も上がっており、結局、介護職員と看護職員の給与の格差はむしろ拡大してきている。果たしてこれが、介護職員処遇改善加算の本来の成果であったのだろうか。「地域包括ケア病棟」の新設により、医療と介護のネットワーク化を推進していくという大きな流れの中で、介護職員の給与だけを上げていくというのはこの流れに合っているとはいえない。また、多職種が勤務している病院では、介護職員の給与だけを上げるというのはあまりにバランスを欠く。介護職員処遇改善加算の届出にともなう他の職種の給与アップについては、病院の持ち出しでカバーしているのが現状である。しかし、今回の改定で診療報酬が下がり、介護報酬もあまり上がらないという状況においては、経営的にかなり厳しいものとなっている。
 
 ⇒介護職員と他の専門職の給与の格差については、迫井正深・老人保健課長から、「各専門職のベースとなる給与は、それぞれの専門職の社会的評価にかかわる問題であるといえる。処遇改善加算は介護職員の給与自体の増をダイレクトに図るための施策であることから、介護職員の社会的評価を高めていくためにも、処遇改善加算を浸透させるとともに、介護職員のキャリアパスの確立が今後の課題とされているところである」との回答がありました。
 

◇平成24年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成25年度調査)結果
 
(予防サービスの提供に関する実態調査について)
*訪問介護、訪問リハがいずれも要支援者に対する支援であることからすれば、IADL(手段的日常生活動作)の各行為について「できる」または「見守り」の割合が低いように思われる。IADL はADLが自立してはじめて行える能力なので、単に動くことができるかどうかではなく、「バス・電車・自家用車での一人での外出」や「日用品の買い物」など様々な行為を行えるかどうかが重要である。今回の調査結果は、要支援者に対する社会生活の機能訓練がほとんど行われていないという実態を現わしており、要介護者に対するサービスと変わらないようなサービスを要支援者に提供していたという証左であると思われ、現場の事業者としては大いに反省しなければならない。

(集合住宅における小規模多機能型居宅介護の提供状況に関する調査研究事業について)
*集合住宅が建物の上にあり、下に小規模多機能型居宅介護を提供する施設があるという建物では、「宿泊」がほとんど提供されないのは当然である。また、たとえ「同一建物減算」があるにしても、事業所と同一建物内に集合住宅がある場合とそうでない場合とでは、「訪問」の労力に大きな差が出てくる。今後の見直しでは、この違いに是非配慮していただきたい。そうでなければ、小規模多機能型居宅介護というサービスが画に描いた餅になってしまう。もう一点付け加えると、卑近な例ではあるが、一般的に飲食の出前やデリバリーが割高であることからすれば、時間に関係なく夜中でも訪問に出かけるスタッフについては、何らかのサポート、手当てが考えられるべきである。介護職員の処遇改善を考えていくのであれば、このような点にも目を配る必要があるのではないか。

 本分科会では、「平成24年度介護報酬改定の効果検証および調査研究に係る調査」の平成26年度に実施する調査項目についても検討されました。平成26年度の調査は、下記7項目について7月に実施され、10月に開催される介護報酬改定検証・研究委員会及び介護給付費分科会に速報値が報告される予定で進められます。

 〔平成26年度調査項目〕
(1)介護保険制度におけるサービスの質の評価に関する調査研究事業
(2)集合住宅の入居者を対象としたケアマネジメントの実態に関する調査研究事業
(3)複合型サービスにおけるサービス提供実態に関する調査研究事業
(4)介護老人保健施設の在宅復帰支援に関する調査研究事業
(5)介護サービス事業所における医療職の勤務実態および医療・看護の提供実態に関する横断的な調査研究事業
(6)リハビリテーションにおける医療と介護の連携に係る調査研究事業
(7)中山間地域における訪問系・通所系サービスの評価のあり方に関する調査研究事業

*「平成25年度介護従事者処遇状況調査結果」および「平成24年度介護報酬改定の効果検証および調査研究に係る調査(平成25年度調査)結果」等の詳細については、厚生労働省のホームページに掲載されている資料を参照してください。
  ⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000042450.html
 

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