社会保障審議会・介護給付費分科会(第95回) 出席のご報告
平成25年8月21日、「第95回社会保障審議会介護給付費分科会」が開催され、武久洋三会長が委員として出席されました。
今回の分科会の議題は、下記のとおりです。
1.東日本大震災における特例措置について
2.介護保険サービスに関する消費税の取扱い等について
3.地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(第3次地方分権一括法)の成立・公布に伴う基準省令改正について
議題1 東日本大震災における特例措置について
まず厚生労働省より、平成25年9月30日までの措置となっている「東日本大震災に対処するための要介護認定有効期間及び要支援認定有効期間の特例に関する省令」について、平成26年3月31日まで適用期間を延長することが報告されました。この特例省令は、被災した市町村の要介護認定等の更新に係る事務負担を軽減することを目的として、これまで10の市町村がその対象とされてきましたが、今回の改正により、南相馬市、双葉町、浪江町、飯舘村の4市町村に限定して適用されることになります。
次に、東日本大震災に係る訪問看護サービスの特例措置を終了してはどうかという諮問事項について議論され、分科会として了承する旨の答申書をまとめました。この特例措置は、訪問看護事業所では本来、常勤2.5人以上の看護師の確保が必要なところ、人員の確保が困難となっている東日本大震災の被災地では常勤1人以上に緩和するというものでした。今回、被災地における特例看護サービスを終了するに至った状況として、下記の3点が挙げられています。
①被災地の状況に配慮しつつ、可能な限り速やかに通常のサービス提供体制に移行できるようにする必要があること
②現在、特例看護サービスを提供している事業者の周辺の既存の訪問看護事業所からのサービス提供が可能であること
③石巻市及び南相馬市は、共に特例措置の継続を希望していないこと
ただし、6月1日現在、特例看護サービスの利用者は石巻市と南相馬市にある2つの事業所に計13名おり、現にサービスを利用している者が不利益を被らないようにするという趣旨から、通常の看護職員を確保するまでのセーフティネットとして、一定期間の経過措置が設けられます。
議題2 介護保険サービスに関する消費税の取扱い等について
厚生労働省より、介護事業経営調査委員会による「介護サービス施設・事業所の設備投資に関する調査結果報告」に基づいてまとめられた「消費税率8%引き上げ時の対応」について説明されました。対応案として、「介護報酬上乗せ対応」(対応案1)と「介護報酬上乗せ対応+高額投資への別建て対応」(対応案2)の2つが示されています。
消費税の問題について武久洋三会長は、「高額な設備投資については特別な対応はしないこととされているが、サービスの向上と改善のために建て替えを行ったのにもかかわらず損をするというのでは理屈に合わない。また、多くの場合、介護療養型医療施設と老人保健施設については医療法人が、特別養護老人ホームについては社会福祉法人が運営主体となっており、両法人の税法上の取扱いの違いはとても大きい。この違いを踏まえた検討をしていただきたい」との意見を述べられました。とくに高額投資への対応については、「かつての地域医療計画導入時に駆け込み増床をした施設は全国的に老朽化してきており、現在の基準では建て替えが必要になる」ことを指摘されています。
議題3 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(第3次地方分権一括法)の成立・公布に伴う基準省令改正について
厚生労働省より、6月に第3次地方分権一括法が公布されたことに伴い、地方公共団体が介護保険事業所の人員配置基準等を定める際に従う「厚生労働省令で定める基準」について、「従うべき基準」と「参酌すべき基準」に項目を分ける案が示されました。「厚生労働省令で定める基準」を定めることについては諮問事項とされており、分科会として厚生労働省の案を了承する答申書をまとめ、社会保障審議会に報告することとなりました。
2013年8月22日