「ターミナルケア」から「エンド・オブ・ライフケア」へ ── 介護給付費分科会で田中常任理事

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20230807_介護給付費分科会

 令和6年度の介護報酬改定に向けて施設系サービスを中心に議論した厚生労働省の会合で、日本慢性期医療協会の田中志子常任理事は老人保健施設のターミナルケア加算について「名称の見直しが必要」とし、「エンド・オブ・ライフケア加算」への変更を提案した。

 厚労省は8月7日、社会保障審議会(社保審)介護給付費分科会(分科会長=田辺国昭・国立社会保障・人口問題研究所所長)の第221回会合をオンライン形式で開催し、当会から田中常任理事が委員として出席した。

 厚労省は同日の会合に、施設系サービスに関する課題や論点を提示。高齢者支援課の峰村浩司課長が資料1・4について、老人保健課の古元重和課長が資料2・3・5について説明した後、約2時間にわたり各委員が意見を述べた。
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資料一覧

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 質疑で、田中常任理事は資料2・3・5について発言。専門性ある看護師の活用や、介護医療院に従事する介護福祉士の評価などを求めたほか、「ターミナルケア加算」の名称変更も提案した。田中常任理事の発言要旨は以下のとおり。

【【田中志子常任理事の発言要旨】
 まず資料5(高齢者施設と医療機関の連携強化・感染対応力の向上)について発言する。医療と介護の連携強化については、何よりもDXを進め、診療記録と介護記録を双方向で確認できるよう進める必要を感じている。
 また、田母神委員も指摘したように、介護施設等での感染対策や医療ニーズの高まりにあわせて、特定行為のできる看護師の配置を推奨するなど、専門看護師の活用をお願いしたい。
 さらに、高度な医療を必要とする場合は、三次救急病院などへの搬送を行うことを前提とした上で、慢性疾患の急性増悪など、日常的な疾患の入院治療については、慢性期リハビリテーションが行える病院や地域包括ケア病棟を有する病院、在宅療養支援病院などとの連携を優先的に行うよう求めてはどうかと提案する。
 そうした病院が少ない地域にあっては、41ページ(退院患者の介護施設における適切な受入れに関する更なる取組)のように、介護老人保健施設を活用することがよいと考える。老健においては、医療費の施設負担によりインスリンを使っている利用者を受けにくい状況もある。超高額医療のみならず、比較的薬価が高く、より頻度が高い薬剤についての検討もお願いしたい。
 さらに、「ターミナルケア加算」という名称については、現在、ターミナルケアではなく、「エンド・オブ・ライフケア」の名称のほうが使われているので、名称の見直しが必要だと考える。
 最後に、介護医療院について述べる。介護医療院においては、介護福祉士のための処遇改善加算が算定されにくい現状が報告されている。その理由としては、診療報酬部分について併設する病院配属の介護福祉士に処遇改善加算がないために、不公平感がないよう介護医療院でも支給していない病院が多いと聞いている。
 トリプル改定であるからこそ、国家資格である介護福祉士をきちんと評価していただき、担当課をこえて、病院における介護福祉士のための処遇をあわせて見直していただきたいと思う。
 また、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」について、介護医療院では意思疎通が困難になった段階で行う必要がある。そうした最終的な話し合いを行う際の日本版ガイドラインの作成を求める。

                          (取材・執筆=新井裕充) 

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