療養病床の調査、「丁寧な説明を」 ── 中医協総会で池端副会長

審議会 役員メッセージ

池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)_2023年5月10日の中医協

 入院や外来の調査案などが示された厚生労働省の会合で、日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長は療養病床に関する調査について「丁寧な説明等を付けていただくことを要望したい」と述べた。

 厚労省は5月10日、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=小塩隆士・一橋大学経済研究所教授)総会の第544回会合を開き、当会から池端副会長が診療側委員として出席した。

 今回の中医協は3年ぶりの対面形式で、オンライン会議との併用で開催された。会議の冒頭、小塩会長は「5月8日より新型コロナウイルス感染症が類型変更されたことに伴い、本日の開催から対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としている。会議の公開は引き続き、YouTubeによるライブ配信で行う」と伝えた。

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DPCのコーディング、「適切な対応を」

 この日は基本問題小委員会と総会が開かれた。4月24日の「入院・外来医療等の調査・評価分科会」で審議された内容が小委員会に報告され、続く総会でも異論なく承認された。

 小委員会では、DPCの調査結果を踏まえ支払側から厳しい指摘が相次いだ。眞田享委員(経団連)は「コーディングの入力者およびその確認者のいずれにも主治医が関わらない施設数が半数以上」「コーディング委員会において1年間の開催が4回に満たない病院が一定数ある」などと指摘した。

 その上で、眞田委員は「DPCのコーディングは病院の包括点数を定める上で根幹をなすものであり、データの質の向上、コーディングに関わる体制の充実化は非常に重要な課題」と苦言を呈し、「このような状況が改善されるよう適切な対応をお願いしたい」と要望した。

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かかりつけ医の配置、「幅広く実態把握を」

 同じく支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は「機能評価係数Ⅱに関する調査でDPC制度にふさわしいか疑問を感じざるを得ない医療機関もある」とし、「制度の目的に実態を近づけるために、退出勧告のようなものも検討すべき」と主張した。

 松本委員はまた、令和5年度調査について「かかりつけ医機能を中心的に担う医師がどのように配置されているのか、幅広く実態を把握すべき」と求めた。

 かかりつけ医について患者を対象とした意識調査では、「かかりつけ医から、書面を用いたどのような説明を期待しますか」との設問が新たに用意されている。

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【会議資料全体版】0510総会_ページ_169

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 分科会で議論のあった令和5年度調査について、ほかに発言はなかった。続く総会では、池端副会長が療養病床の調査などについて意見を述べた。詳しくは以下のとおり。

【池端幸彦副会長】
 資料「総-4」の12ページ(令和5年度調査全体の概要)によれば、今まで療養病床は別票であったが、A票の中に組み込まれた。書き慣れていないところがあるかと思うので、丁寧な説明等を付けていただくことを要望したい。
 調査の対象施設数について、A票が約3,100施設となっている。令和4年度調査よりも若干減っている印象があるので、割合等の変化があるのか、お知らせいただきたい。 
 また、今回の療養病床に関する調査は経過措置についての調査も入っていると聞いている。100床未満の病院や有床診療所等では、経過措置への対応が未定の施設もあるので、対象施設数の中から漏れてしまう可能性が高いのではないか。できれば別途、何か丁寧な調査等も組み込んでいただければと思う。事務局のお考えがあれば、お聞かせいただきたい。

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【厚労省保険局医療課・眞鍋馨課長】
 まず対象施設数については、スケジュールや予算の制約もあり、このようになっているが、対象施設の抽出等を工夫して代表性を確保できるように努めたいと思っている。 
 また、療養病床の経過措置については、こういう調査というよりは、それぞれ経過措置が切れるまでに担当部局でどのようにフォローしていくかが大事だと思っている。いただいた指摘も踏まえ、省内で共有させていただきたいと思う。

                          (取材・執筆=新井裕充) 

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