医療保険制度改革、「激変緩和措置を評価したい」 ── 医療保険部会で池端副会長

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池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)_20221215医療保険部会

 出産育児一時金や高齢者保険料の引上げなどを盛り込んだ医療保険制度改革の報告書をまとめた厚生労働省の会合で、日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長は高齢者の負担について「一定程度の激変緩和措置がとられたことは評価したい」と了承した上で、介護保険の負担など「高齢者全体の負担増も今後検証すべき」と指摘した。

 厚労省は12月15日、社会保障審議会(社保審)医療保険部会(部会長=田辺国昭・国立社会保障・人口問題研究所所長)の第161回会合をオンライン形式で開催し、当会から池端副会長が委員として出席した。

 厚労省は同日の会合に、これまでの議論などを踏まえて修正した「医療保険制度改革について」と題する資料を提示。出産育児一時金の額を令和5年4月から全国一律で50万円とするほか、75歳以上の保険料を段階的に引き上げる方針などを説明した上で、これらの内容を盛り込んだ「議論の整理(案)」について了承を得た。

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「総合的なパッケージ」にしっかり取り組む

 この日の議論を踏まえ、最後に厚労省大臣官房・日原知己審議官(医療保険担当)が「今年9月からこれまで多岐にわたる論点に関して大変熱心なご審議をいただいた」と謝意を表した。

 その上で、日原審議官は「取りまとめていただいた内容のうち法改正の必要な事項は法案の提出に向けて準備を進めたい。それ以外の予算や運用で対応する部分も含め、『総合的なパッケージ』としてまとめていただいた医療保険制度改革に、しっかりと取り組んでまいりたい」と述べた。

【池端幸彦副会長の発言要旨】
 医療保険制度改革については、ほかの委員の先生方もおっしゃったように出産一時金の増額とそれを全世代で支え合う仕組みの導入、高齢者負担率の見直しに伴う高齢者の保険料賦課限度額の増額等に関して、一定程度の激変緩和措置がとられたことについては評価したい。
 その上で意見を述べる。この医療保険部会では医療保険制度について議論するが、高齢者の負担はそれだけではなく介護保険の負担もある。さらには生活費の負担等も今後、上昇する可能性が高い。高齢者全体の負担がどれくらい増えていくのか、そういう全体の負担増もしっかりと今後検証しながら検討すべき事項ではないかと思うので、そのような取り組みをぜひお願いしたい。
 「議論の整理」を大変な作業でおまとめいただいた。私どもの意見を反映していただいたことにも感謝申し上げたい。その中で、在宅医療を含めた高齢者医療に非常に必要なデータとなるKDBの有効活用を入れていただいた。匿名性の面で難しい面があることは理解しているが、KDBデータも活用できるようご検討いただきたい。 
 多剤投与については、「高齢者の医薬品適正使用の指針」を踏まえて進める方針を明確に示していただいた。具体的なガイドラインの名前を入れていただいたことにも感謝申し上げたい。せっかく入れていただいたので、局を越えて連携を図っていただき、具体的に動くように進めていただきたい。 
 後発医薬品の使用促進については、「医薬品の安定的な供給に留意しつつ、新たな数値目標を設定する」としていただいた。国民負担の軽減も大事だが、その前に、必要な薬が国民にきちんと届くことがもっと大事な点である。そうした視点を踏まえ、医薬品の適正使用や負担軽減を考えなければいけないので、安定供給に留意すべきことを記載していただいたことにも感謝を申し上げたい。

                          (取材・執筆=新井裕充) 

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