「基準リハ」「基準介護」で要介護者の減少を ── 定例会見で橋本会長

会長メッセージ 協会の活動等

橋本康子会長_2022年9月8日の記者会見

 日本慢性期医療協会は9月8日の定例記者会見で「基準リハビリ」「基準介護」の制度化を改めて提言した。橋本康子会長は「病棟内にスタッフを配置し、手厚いケアとリハビリを行うことにより要介護者を減らし、医療費・介護費の削減につなげるべき」と述べた。

 この日の会見で橋本会長は「なぜ基準リハビリ、基準介護が必要なのか?」と題する資料を提示。寝たきりになる割合が増加する中で慢性期医療のニーズが高まっている状況を指摘し、「基準リハビリテーションによる寝たきり防止」「介護福祉士の専門性を活かす基準介護」について説明した。

 橋本会長は、寝たきりを防止するために看護・介護職の業務を明確化する必要性を強調。「各職種が専門能力を発揮できるよう業務と人の配置を見直す必要がある」とし、「基準リハビリ」「基準介護」の制度化で寝たきりを減少させる必要性を説いた。

 司会を務めた矢野諭副会長は「前会長の武久洋三先生の時代からずっと主張しているが、今回はさらに具体的に説明していただいた。今後、さまざまな取り組みが広がっていくのではないか」と期待を込めた。

 この日の会見の模様は以下のとおり。なお、会見資料は日本慢性期医療協会のホームページをご覧いただきたい。

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慢性期医療のニーズが拡大

[矢野諭副会長]
 令和4年9月の日本慢性期医療協会定例記者会見を開催する。本日の内容は「なぜ基準リハビリ、基準介護が必要なのか?」というテーマである。橋本会長、ご説明をお願いしたい。

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01_記者会見資料_2022年9月8日

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[橋本康子会長]
 前回は会長に就任して初めての記者会見であったため対面で開催させていただいたが、今回はコロナ禍ということもあり、また多くの皆さんが出席しやすいと考えてウェブ開催とした。
 
 本日は、「なぜ基準リハビリ、基準介護が必要なのか?」というテーマで見解を述べたい。主な内容は、慢性期医療を取り巻く課題、基準リハビリテーションによる寝たきり防止、介護福祉士の専門性を活かす基準介護である。
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02_記者会見資料_2022年9月8日

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 現在、高齢者人口の増加だけでなく寝たきりになる割合も増加している。慢性期医療のニーズ拡大とともに質の改善も急務となっている。

 2ページのスライドはよく見る図なので皆さんもご存知だと思う。この棒グラフのように、65歳以上の人口はどんどん増えてきている。
 
 縦軸は、介護度別に要支援から要介護5まで表している。ここで特徴的なのが高齢者人口との増減比較である。2000年と2020年を比べると、65歳以上の増加率は164%増えている一方で、「寝たきり」と言われる要介護度4・5の人たちの増加率は229%に上昇している。
 
 すなわち、高齢者人口も増えているが、それ以上に要介護度4・5の「寝たきり」の人が増えていることを表している。日本では今後も高齢者は増える。割合としても増える。
 
 人数は少しずつ減るかもしれないが割合は増えていくので、その人たちが寝たきりであることは問題だと思う。私たちの仕事は寝たきりをなくしていくこと。これが慢性期医療の大きな使命である。
 
 寝たきりになる割合が増加していることは問題であり、慢性期医療のニーズの拡大とともに質の改善も急務となっている。

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寝たきり防止へ向けた慢性期医療の課題

 寝たきり防止へ向けた慢性期医療の課題は、担い手の「質」「量」「意識(やる気)」の改善である。
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03_記者会見資料_2022年9月8日

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 前回7月の会見でお話しさせていただいた総合診療医の育成は「質」のうち「医療と介護のシームレス化」の問題である。総合診療医の育成は急性期でも慢性期でも必要であるという話をさせていただいた。
 
 そのほか、「質」の中では「ケア人材のスキルアップ」がある。ケア人材の教育的なこと、スキルアップ、また「リハビリテーションの質の向上」も大事である。個室化や個別浴化などハード面の問題もあると思うが、「人間らしい生活」も「質」と言える。
 
 「量」については、「リハビリテーション量の増大」や「ケア人材の確保」が挙げられる。ケア人材はなかなか募集しても来ていただけないことが大きな問題になっている。
 
 「やる気」がなかったら質も改善しないし、量も増えない。「やる気」については、「品質を高める教育と仕組み」を挙げている。
 
 今回のテーマである「基準リハビリ」「基準介護」は、「リハビリテーション量の増大」に関する課題である。「基準リハビリテーションの導入」「基準介護の導入」について改めて提言させていただきたい。

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総合診療医+リハ+介護

 急性期病院の総合診療医のもと、リハビリテーションや介護福祉士による活動性の向上や身体拘束防止により、寝たきりや要介護者を減少させる。
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04_記者会見資料_2022年9月8日

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 この図は、総合診療医について述べたもので、前回7月の会見でも出させていただいた。急性期から慢性期に移行していくそれぞれの場面で医師はこのように関わる。 
 
 急性期では脳外科などの臓器別専門医のほか、総合診療医も必要である。総合診療医は、患者さんの心身の状況を全体的に診る。栄養状態、筋肉量、脱水など。運動量が落ちていないか、拘縮が起きていないか、そういうことを診る総合診療医が急性期にも必要であるという考えを前回の会見で述べた。
 
 慢性期では、複数の疾患を抱える高齢者が多いので、総合的に診療する医師も比較的多い。このように、急性期にも慢性期にも総合診療医が必要であるということはわかっていただけたと思う。
 
 ただ、総合診療医だけがいても不十分である。総合診療医の指示のもとで動いてくれるスタッフがいなければ効果は十分に上がらない。
 
 例えば、総合診療医が「この患者さんにはリハビリをこれだけやってくださいね」とか、「拘縮が起きないように、手や足が固まらないように、これだけはやってくださいね」と指示する。
 
 また、介護スタッフに「褥瘡ができないようにケアしてください」とか、「1日に1回や2回は必ずトイレに連れて行ってあげてください」という指示をする。
 
 しかし、そのような指示を総合診療医がしたくても、それを受け止めてきちんと対応できるリハビリや介護のスタッフがいなければできない。そこで、「リハビリ」と「介護」に注目した。

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「基準看護」の例

 
 「基準リハビリ」「基準介護」という言葉について、「基準看護」を例に説明したい。
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05_記者会見資料_2022年9月8日

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 医療職の人たちにとって「基準看護」はとても馴染みのある言葉である。40年以上も前から「基準看護」はあるが、一般の方々は「基準って何だろう」と思う。
 
 「基準看護」とは、入院患者に対するサービスの質の確保および向上を図るために、一定の基準を設定することである。
 
 具体的には、入院患者さん何人につき看護師さんを何人つけてくださいという規定や、看護師さんの勤務体制。日勤帯は何人いてください、夜勤帯は少なくとも2人いてくださいとか3人いてくださいという勤務体制である。
 
 また、熱や血圧を測ったらきちんと記録してくださいとか、さらに言えば質に関わることで、「血圧の高い患者さんの場合には毎日、血圧をきちんと測ってくださいね」ということである。
 
 そういう質に関わることや、どのような業務をするかという内容を基準化しているのが「基準看護」であると考える。
 
 現在、日本ではどこの病院に入院しても看護師さんが熱や血圧を測りに来てくれる。「基準看護」に基づいて対応されている。一定の質が担保されている。
 
 このように、きちんと基準をつくっていくことは大事だと思う。そこで、リハビリや介護についても「基準リハビリ」「基準介護」というものを定めてはどうかと考える。

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基準リハの必要性

 拘縮予防や廃用予防のため、急性期病棟にリハビリ療法士を配置する。日数、人数、内容を基準化することにより、その後に続くリハビリ効率も高まる。
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06_記者会見資料_2022年9月8日

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 前回の会見でお見せした写真のように、足や手が固まってしまう拘縮を予防したり、足や腰の筋力がなくなって歩けなくなるとか、全身の筋力が落ちて座れなくなる廃用を予防する必要がある。機能的な廃用だけではなく、物忘れをする高次脳機能障害や、ぼーっとして意識レベルが下がってしまう廃用もある。
 
 また、口の周りのケア。長い間、食事をしていないので、口腔や喉、物を噛んだりする筋肉が衰えてしまい、飲み込みの機能が悪いわけではないのに食事が食べられない人もたくさんいる。
 
 そういった廃用を予防するため、急性期病棟にもリハビリ療法士が必要である。廃用が起きる原因の多くは急性期病院であるとも言えるので、そこにリハビリの療法士を置くことが必要である。
 
 基準化が必要であると思われるのは赤枠の中、①から③である。①は日数。急性期病院にもリハビリスタッフはいるが、圧倒的に数が少ない。土・日・祝日はお休みである。
 
 例えば、5月の連休前に病気になった人や、お正月前の年末に病気になった人は4日も5日もリハビリを全くしてもらえない。そのときに手術をしたら手術後に全く動かしてもらえない。その間に固まってしまう。土・日・祝日もリハビリができるように、それだけの人数を配置しておくことが必要である。
 
 2番目は人員数。特にICUやCCUではリハビリの人数が不足している。マンツーマンでリハビリをやらなければ効果が十分ではないのだが、そういう人数が不足している。
 
 そこで何をするかというと、③の内容。拘縮予防、廃用予防、筋力低下予防である。
 
 これら①から③を基準化してほしい。回復期リハビリ病棟や地域包括ケア病棟でリハビリは基準化されているので、すでに「基準リハビリ」は導入されている。それを急性期の病棟にも広げていきたい。その結果、回復期リハビリ病棟や地域包括ケア病棟に移ってくる時、患者さんはとてもいい状態で来るのではないか。

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基準介護の必要性

 
 日常生活ケアから自立度を高め、寝たきりを減らすことが大事である。
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07_記者会見資料_2022年9月8日

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 要介護状態を減らすのは医療やケア、リハビリである。看護師さんは主に医療的な行為を担う。注射をしたり薬を出したり、血圧や血糖値を測ったりするのが主な仕事である。
 
 もちろんオムツを交換したりトイレに連れて行ったり体を拭いたり、お風呂に入れたりするが、それは看護師さんにしかできないことではない。しかし、注射や点滴などの医療的な行為は、医師以外では看護師さんしかできない。だから、看護師さんにはそうした行為に集中して専門的にやっていただく必要がある。
 
 一方、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのリハビリスタッフは機能訓練などを専門的にやってもらう。
 
 では、介護福祉士さんは何をするか。ADLを高める、日常生活動作を高めるケアをする。身体拘束をなくして自立機能を活かすケアを行うことが介護福祉士さんの一番大事な仕事である。例えば、トイレで排泄する、食事を口から食べる、顔を洗う。そうした日常生活の動作を介護福祉士が介助して、それができるようにしていく。
 
 しかし、病院で介護福祉士さんは「看護補助者」と言われている。専門性を活かした業務ができていないのが実情である。介護福祉士さんは勉強して国家試験を通っているにもかかわらず、専門性を十分に発揮できていない。こうした「看護補助者」に占める介護福祉士資格の保有者割合は45.1%と半分近くもいる。

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介護専門能力の活用

 医療現場では、介護専門職の能力を活かせていない。厚労省のガイドラインでは、業務の明確化と役割分担の必要性が示されている。「直接介護」「間接介護」という言葉は加筆させていただいた。
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08_記者会見資料_2022年9月8日

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 現実に医療現場では介護専門職の能力を活かせていない。どういう業務なのか。この絵に書いてある。左下の絵。介護職が走り回っている。確かにそうである。お年寄りがバスに乗っている。介護福祉士が送迎する。掃除や洗濯もしている。食器洗いもしている。ありとあらゆる雑用と言われるようなことも全部している。
 
 それでは介護職は増えない。介護の仕事をしたいと思って勉強して介護福祉士の資格を取ったのに、専門的な仕事はほんのわずか。いろいろな雑用に追われている。それでは働きがいがない。
 
 働きがいがないので、介護の仕事はしたくないと思ってしまう。それでは病院として今後やっていけないので、どうするか。業務を明確化して適切な役割分担を行ってケアの質を向上させる。
 
 わかりやすくするために、「直接介護」「間接介護」と書いた。「直接介護」とは、患者さんの体に触れるような介護である。お風呂で体を洗ってあげたり、食事を口に持っていって食べさせてあげたり、そういう直接的な介護である。
 
 座らせてあげたり歩かせてあげたり、トイレに連れて行ってあげたり、患者さんの体に触れながらやる直接介護のほかに、患者さんのベッドを綺麗したり部屋を掃除したり、洗濯やゴミ捨てをしたりなど、周辺業務はたくさんある。そういう業務は「間接介護」である。このように分けて明確化し、介護専門職の能力を活かせるようにすべきだ。

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看護、介護業務の専門化

 
 寝たきりを防止するためには、各職種が専門能力を発揮できるよう業務と人の配置を見直す必要がある。病院での看護、介護業務について、もう少し明確にわかるように分けてみた。
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09_記者会見資料_2022年9月8日

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 現)の所に、「看護師」「看護補助者」「病棟クラーク」を挙げている。矢印の下、案)ではこのように分けている。看護師は看護師さん本来の仕事をする。「看護補助者」については、このように2つに分けた。介護福祉士は直接介護を、介護助手は間接介護をする。
 
 介護福祉士は、病棟の移動のための搬送や見守り、食事介助とか、口の中を綺麗にしてあげるとか、髪を洗ってあげる、顔を拭いてあげるなど、患者さんの体に直接触れながら関わる。介護福祉士さんが今まで勉強してきたことをやっていただく。
 
 一方、介護福祉士の資格を持っていないが、介護を勉強したい人や介護福祉士の資格を取りたい人もいる。そういう人たちは「看護補助者」として、ベッドの周りの整理整頓やシーツ交換などの業務をしてもらう。介護の素人で、今まで特に勉強していない人たちに、いきなり患者さんの体を拭いてあげてくださいとか、お風呂に入れて髪を洗ってあげてください、オムツを交換してくださいと言ってもそれは難しい。
 
 しかし、「看護補助者」の業務の中には、ベッドメイキングやリネン類の管理、洗濯物をたたむとか病室環境をきちんと整備するなど、やることはいっぱいある。間接介護的な業務は介護の勉強をしていなくてもできる。昨日まで飲食店で働いていた人や、事務職をしていた人でもできる。さらに、病棟クラークをもう少し活用する。処置や検査伝票などの準備や整理、備品の補充などは病棟クラークにお願いすればいい。

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基準リハ、基準介護の制度化を

 病棟内にスタッフを配置し、手厚いケアとリハビリを行うことにより要介護者を減らし、医療費・介護費の削減につなげるべきである。基準リハ、基準介護を制度化すべきだ。
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10_記者会見資料_2022年9月8日

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 要介護者というのは、要介護度5や4の寝たきりや、寝たきりになりそうな要介護度3の人である。こうした要介護者へのケアやリハビリで、要介護度1・2や要支援にしていく。要介護者を減らせば医療費・介護費の削減にもつながる。
 
 急性期治療中にリハビリを実施しないことにより筋力低下や関節拘縮が発生する。「基準リハビリ」を制度化すれば、要介護者がゼロにはならないかもしれないが、だいぶ減ると思う。
 
 その状態で回復期リハビリや地域包括ケア病棟に来ていただくと、状態を改善させるための時間がすごく短縮される。回復期リハビリ病棟では改善後にADLリハビリテーションが行われているが、回復までに時間を要する。
 
 回復期リハビリ病棟に筋力低下や関節拘縮の患者さんが来ると、リハビリをやるよりもまず筋力をつけるための栄養を上げていく必要がある。体重を増やさなければいけない。そのために1カ月も2カ月もかかってしまう。関節拘縮を何とか緩めながら、立ったり座ったりできるような状態にするのに1~2カ月以上もかかる。
 
 そうすると、その後でリハビリ開始となる。リハビリ以前に体力の回復が必要であり、本格的なリハビリが始まるのは3カ月目みたいな感じである。そこから3カ月ぐらいリハビリすると6カ月もかかってしまう。しかし、その最初の3カ月がなければ回復までの期間がすごく短縮される。
 
 一方、身体拘束や寝かせきりが要介護者の増加要因となるので、「基準介護」も必要である。疾患別リハビリだけでなく、毎日繰り返されるADLのケアを行うことで自立度の改善につながる。

自立すれば家に帰れる人が多いし、家に帰れなくても有料老人ホームや特養、老健などの施設にも入りやすくなる。自立度が改善できれば、病院に繰り返し入院することで寝たきりにさせられてしまうことが防げるのではないか。
 
 もう30年以上も前に「寝たきりゼロ作戦」が出されているが、寝たきりはどんどん増えている状況である。それを何とかしなければいけない。「基準リハビリ」「基準介護」の制度化によって少しでも寝たきりが減るのではないかと思って提言させていただく。私からの説明は以上である。
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11_記者会見資料_2022年9月8日

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[矢野諭副会長]
 7月は対面で開催したが、今回はウェブ開催となった。多数、お集まりいただき感謝を申し上げる。

「基準リハビリ」「基準介護」は前会長の武久洋三先生の時代からずっと主張しているが、今回はさらに具体的に説明していただいた。今後、さまざまな取り組みが広がっていくのではないか。国のバックアップも少しずつだが得られると思う。
 
 次回の記者会見は10月13日を予定している。今後とも日本慢性期医療協会をよろしくお願いしたい。

                          (取材・執筆=新井裕充) 

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