日慢協とLTAC研究会が役員合同新年会を開催

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武久洋三会長_20190110

 日本慢性期医療協会(日慢協)と日本長期急性期病床研究会(LTAC研究会)は1月10日、2019年の役員合同新年会を開催しました。開会のあいさつで、日慢協の武久洋三会長は「重症患者をきちんと治療している所には、より高い評価をいただいて存在感を示していきたい」と抱負を語りました。LTAC研究会の上西紀夫会長は、急性期病院と慢性期病院がさらに連携していく必要性を強調しました。
 
 合同新年会に先立ち日慢協の定例記者会見が開かれ、療養病床でも重症患者を受け入れている現状を示す調査結果が報告されました。武久会長は新年会のあいさつで、この調査結果に言及。「重症度、医療・看護必要度が7対1と同じ30%以上の所が約30%、3分の1あることが分かった。逆に10%以下も40%以上あり、両極端に分かれた」との認識を示した上で、「療養病床に重症者を入れてきちんと治療する所は認めるが、それ以外は介護医療院や施設に変わりなさいという大きな方向性が示された。きちっと治療をさせていただくことを宣言する」と語りました。
 
 続いて、LTAC研究会の上西会長があいさつ。「急性期医療もかなり大変なことになっている」と厳しい状況を指摘した上で働き方改革などの影響を懸念し、「医療体制そのものを変えないと、とても無理。急性期の病院と慢性期病院がうまく連携していかないとお互いにうまくいかないだろう」とさらなる連携の必要性を述べました。
 
 乾杯のご発声は、パラマウントベッドホールディングス株式会社の木村恭介代表取締役社長。今年10月に予定される消費税率の引上げに触れながら「ますます大変な時期を迎えると思う。これからも皆さんのご指導をいただきたい」と述べました。

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近年の改定は「診療体制」の改定 ── 武久会長

 
[武久洋三会長] 
 明けましておめでとうございます。慢性期医療にとっては厳しい現状です。2018年4月の改定で、これから慢性期医療は療養病棟入院基本料1、要するに20対1の看護師配置で医療区分2・3が8割の病棟以外は、もう認めないよという宣言がなされました。

 そして、25対1以下の所は6年以内に変わりなさいよということで、変わるなら介護医療院という選択がありますよという選択肢が示されました。

 全国で療養病床をお持ちの病院が3,500以上ありますが、そのうちの意欲が高い療養病床、今回の記者会見でも先ほど、お話ししましたように、重症度、医療・看護必要度が7対1と同じ30%以上の所が約30%あるということが分かりました。逆に10%以下の重症度、医療・看護必要度の所も40%以上ある。このように両極端に分かれました。

 厚生労働省の方針では、療養病床にきちんと重症者を入れて、きちっと治療しなさいと。そういう所は認めるけれども、それ以外は、介護医療院や施設に変わりなさいという、大きな方向性をお示しいただいたと思っております。きちんと治療をさせていただきますと宣言します。

 厚生労働省がここ3回ぐらいの改定で着々と進めてきた診療報酬改定。これは「診療体制」の改定でもあります。これから後期高齢者が増え、介護医療院がどんどん増えていく。厚生労働省は、こういった体制変化の流れを財務省と共にしている。

 今までは療養病床や一般病床の中にも特定除外があったり、療養病床の中にも社会的入院で「寝たきり収容所」と言われるような病院も確かにありました。現在もありますけれど、そういうのは認めないよということです。早く整理にかかりなさいということですので、慢性期医療の中でも、レベルを追求している日本慢性期医療協会の会員としては、その方向に一生懸命進みたいと思っております。

 従って、皆さま方のご協力、ご支援が必要でございます。先ほどの記者会見で申しましたように、重症の患者さんをきちんと治療しているという所には、より高い評価をいただいて、存在感を示していきたいと思います。

 当会の役員の皆さまはとても熱心で、いつも理事会に40名を超えてご参加していただいて、自由闊達に意見を交わしていただいております。非常に参加意識が強い協会であります。皆さま方に御礼を申し上げるとともに、われわれを支持してくださっている、今日お集まりの皆さまに厚く御礼を申し上げたいと思います。日本慢性期医療協会は、今年も頑張ります。ありがとうございます。

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医療体制そのものを変えないと無理 ── 上西会長

 
[日本長期急性病床(LTAC)研究会・上西紀夫会長(公立昭和病院院長)]
上西紀夫会長(公立昭和病院院長)20190110 LTAC研究会の会長を拝命しております公立昭和病院の上西でございます。改めて、明けましておめでとうございます。昨年、鹿児島での日慢協の学会、例年にもまして非常に活発で本当に勉強になりました。今年もまた勉強させていただきたいと思っております。

 先ほど武久会長が慢性期医療についてお話をされました。急性期医療もかなり大変なことになっていると思います。急性期は10対1が基本になったと思います。しかし先日、東京都の話を聞きましたら、急性期でやっているんだけれど、実際にはとてもそうではない病院が結構多いということでした。

 それに加えて、働き方改革の検討が進んでいます。特に外科系は人がいないと、とても働き方改革には対応できません。そうなると、たぶん急性期も集中されていくと思います。ですから、いわゆる「なんちゃって救急病院」が、たぶんかなり整理されるのではないかと思います。

 そういう意味で、急性期も、かなりきちっとした対応をしなければいけない。私ども急性期医療を中心にやっている病院としては、なかなか大変だけれども、これは仕方がないと思います。武久会長がおっしゃったように、医療体制そのものを変えないと、とても無理だという話になってくると思います。私どもの急性期の病院と、皆さま方、慢性期の病院がうまく連携していかないと、やはりお互いにうまくいかないのだろうと思います。

 昨年は、地域包括ケア病棟協会会長の仲井先生に第6回LTAC研究会の大会長を務めていただき、金沢で台風の中開催いたしました。テーマは日米の比較ということで、大変勉強になりました。

 今年は10月27日、国際医療福祉大学の高橋泰教授が大会長をお務めになり、主に地域医療構想を中心に、実際に急性期、あるいは地方で頑張っていらっしゃる方々をお招きして、どうやって対応しているかという話が聴けると思います。ぜひご参加いただきたいと思います。
 あいさつは短く、連携は長くということで、これでご挨拶といたします。ありがとうございます。

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ますます大変な時期を迎える ── 木村会長

 
[木村恭介氏(パラマウントベッドホールディングス株式会社代表取締役社長)]
パラマウントベッドホールディングス株式会社木村恭介代表取締役社長_20190110 今年は亥年で十二支の最後に当たるという年で、非常に荒れるというような話をよく聞きます。また、元号も変わります。30年前の元号、平成に変わった時はベルリンの壁が崩壊して、天安門事件が起きた年でした。

 今年も何か起こるのかなという予感がするわけですが、年初から為替が大きくぶれたり、日経平均が下がったりということで、経済のほうも先行き不透明感が一段と強い年であります。

 医療業界もいろいろ大変であろうと思います。消費税も10%に上がります。30年前の平成になったときに3%の消費税が導入されました。ちょうど30年後、今度は10%に上がる。ますます大変な時期を迎えると思います。これからも皆さんのご指導をいただいて頑張ってまいりたいと思います。

 日慢協のますますのご発展と、今日、皆さま、お集りの方のますますのご健勝を祈念いたしまして、乾杯したいと思います。乾杯!

                          (取材・執筆=新井裕充) 

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