「第4回高齢者医薬品適正使用ガイドラインワーキンググループ」 出席のご報告

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「第4回高齢者医薬品適正使用ガイドラインワーキンググループ」 出席のご報告

 平成30年4月19日、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課主管の「第4回高齢者医薬品適正使用ガイドラインワーキンググループ」が開催され、池端幸彦副会長が構成員として出席いたしました。昨年度とりまとめられた指針の総論編を踏まえ、今回から、療養環境別・疾患領域別となる指針(詳細編)の今年度内の作成を目指し、新たな議論がスタートしました。

 はじめに、医薬安全対策課より、詳細編のコンセプトについて、患者の療養環境別に「処方の見直しのタイミング」「多職種チームの形成」「入退院からの引き継ぎ」等の留意事項を盛り込むこと、その別添として、疾患領域ごとの薬剤の留意点を追加することが提案されました。

 池端幸彦副会長は、高齢者は複数の疾患を抱えていることから、疾患領域別にではなく、療養環境別をベースとして詳細編を作成するという医薬安全対策課のコンセプト(案)に賛成しました。その上で、患者の療養環境を「外来・在宅医療」と「療養・介護医療」の2つの領域とする方針や詳細編のあり方などについて、次の意見を述べています。

〔池端幸彦副会長の発言〕

◇ 入院時および入所時は、患者の処方を見直す重要なポイントである。介護保険施設のうち、医師が嘱託医だけの特養については「外来・在宅医療」の領域に含めると考え、介護医療院と老健、そして平成35年度末まで残る介護療養病床の3施設を「医療と介護を一体的に提供できる入所施設」として整理すれば、この領域はすべて「入所」と表現すればよいことになる。無理に介護保険施設と入院医療とを「療養・介護医療」として同じ領域に含めようとすると用語上の混乱も生じるので、医療療養病床、回復期リハ、地域包括ケア病棟などの入院医療については「入院」と明記し、「入所」の介護保険施設と別立てで検討したほうがよい。

◇ 薬剤を処方する際のガイドラインやエビデンスは各学会などから示されているが、薬剤の「止め時」が示されたガイドラインはほとんど目にしたことがない。現場の医師は、認知症や不眠症、高血圧症、高脂血症、さらにはガンなどの複数の疾患を抱えた患者に対し、その時々で悩みながら減薬の判断をしているのが実情である。患者の生き方や尊厳にもかかわる問題であり、多病の高齢患者の処方について方向性を見出せるような参考事例や典型例を集約して指針とあわせて提示すれば、現場の医師にとってとても有用なのではないか。

◇ 秋下雅弘主査(日本老年医学会副理事長)が言われるように、詳細編のとりまとめにあたっては、介護や慢性期医療、在宅医療等の現場における実態を把握することが不可欠であり、当協会も必要な調査にはできる限りご協力させていただくつもりである。当協会は多職種連携がかなり進んでいると自負しているので、病院および施設に勤務する看護師や薬剤師、介護職に直接問いかけるようなアンケート項目があれば、ポリファーマシー対策における多職種連携の実態がより明らかになると思う。

 他の構成員からは、「薬剤総合評価調整管理料の算定には、かかりつけ医や急性期から連続する薬歴に関する情報が必要となるので、急性期からの連携をよりクローズアップしてはどうか」(仲井培雄構成員・地域包括ケア病棟協会会長)、「昼夜逆転の症状があって、高脂血症などを併せ持った高齢者などの事例が示されれば、在宅医療や地域医療に携わる医師、薬剤師はより減薬に取り組みやすくなる」(高瀬義昌構成員・日本在宅医学会)、「薬剤について我々看護師は、医師よりも身近な薬剤師をとても頼りにしており、看護師や介護職などが着目すべき薬剤の効果などの情報が共有されることによって、高齢者の生活の質はより高くなると思う」(桑田美代子・青梅慶友病院看護部)などの意見がありました。
 
 ワーキンググループにおけるコンセプト(案)についての構成員の意見は、親検討会である高齢者医薬品適正使用検討会に報告され、その後、詳細編骨子案のとりまとめが進められることになっております。

 ○第4回高齢者医薬品適正使用ガイドラインワーキンググループの資料は、厚生労働省のホームページを参照してください。
 ⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000203716.html
 

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