第76回社会保障審議会医療保険部会 出席のご報告

会長メッセージ 審議会

武久会長20140528

 平成26年5月28日、「第76回社会保障審議会医療保険部会」が開催され、当会からは委員として武久洋三会長が出席いたしました。
 
 今回の部会では、前回に引き続いて「市町村国保」「被用者保険」「高齢者医療制度」について議論が行われました。まず前回の議論の簡単なまとめが行われ、その後、国民健康保険の赤字構造の是正や財政基盤の強化、ならびに高齢者医療費の抑制といった内容を主として各委員から意見が述べられました。
 
 国民健康保険は主に、失業者、無職者、高齢者、自営業者などが加入しているいわば社会的弱者のための保険であり、医療保険の最後の砦とも言うべき制度ですが、同時に保険制度を保険料のみでは賄いきれていないという赤字構造の問題を抱えています。問題対策の一環として、後期高齢者支援金について加入者の所得に応じて保険料を賦課する総報酬割の導入などが検討されています。部会では、総報酬割の導入に伴う協会けんぽ(被用者保険)への国庫補助削減分を国民健康保険の財源対策に充当することの是非、持続可能な保険体制の在り方といった内容について議論が行われました。また、国民医療費全体の約6割を占め、今後も増大が予想される高齢者医療費については、現役世代の負担増や企業のコスト増が深刻化していることなどが挙げられ、高齢者医療費の削減を求める意見などが出されました。
 
 武久会長は、議論の中で高齢者医療費の高騰問題について触れ、「現場で医療に携わる者の意見としては、長年保険料を納め続けた高齢者がいざ病気をする段になって、満足な医療が受けられないという状況はいかがなものかと考える。受診に訪れた患者に対しては十分な医療を提供するよう努めるのが医療者の立場だ」として、高齢者医療費の削減問題について慎重な議論を求めました。また、市町村国保の問題についても「保険者である自治体、ひいては都道府県知事が地域の医療計画を策定する権限をもつことで、保険料の高騰を嫌って病床機能の削減やベッド数の規制を行うことが可能になり、結果的に地域の医療提供体制に不備が生じてしまうのではないかという点を危惧している。それぞれの地域で異なる状況をよく鑑み、現場と行政との間で議論し、妥協点を見つけていかなければならない」と意見を述べられました。
 
 今回の議論でこの問題についての第1回目の意見集約を終了とし、9月から始まる第2回目の議論で総括を行ってく予定です。
 

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