平成25年度第6回入院医療等の調査・評価分科会 報告

会長メッセージ 審議会

第81回社会保障審議会医療保険部会出席のご報告

 平成25年7月17日に今年度第6回の入院医療等の調査・評価分科会が開催され、武久洋三会長が委員として出席されました。今回の分科会で、調査結果に関する検討も概ね終了し、次回以降は中間とりまとめに関しての審議に入ります。
 
 分科会ではまず、7:1入院基本料のあり方に関しての審議が行われました。
7:1の病院は、平成18年には5万床に満たなかったものが、平成24年には35万床を超えるまでになり増加の一途をたどっています。逆に、10:1の病院は平成18年度の40万床から平成24年度には21万床まで徐々に減少してきました。現在の病床数の構成は、厚生労働省も予期しなかった杯型になっており、一番上の7:1の病床数が最も多く、大部分の病態が必要とする慢性期の病床が少なくなっています。これをいかに実際に求められている病床数に近づけていくかが議論の焦点です。

 「7:1は、長期療養を提供するのではなく、複雑な病態をもつ急性期の患者に対し、高度な医療を提供するべき」という論点について、武久会長は、入院医療の一番高い基準が7:1であるのだから、この機能を先鋭化していくことは必須のこと。今の状態は、7:1が担わなくてもよい多くの機能が付随しており、これを是正していかなければならない。7:1の機能として、特養からの患者を受け入れて看取りを行う、という意見が挙げられているが、看取りのために7:1の機能を使うという考えには大きな疑問を持つ。皆の理解の下に、杯型の病床構成を逆の形に持っていくよう方向性をつけることが必要である、と発言されました。
 他の委員からは、高度急性期で診なくてもよい患者は慢性期に移るべき、「複雑な病態、高度な医療」という定義については何らかの議論が必要ではないか、病床構成が今の杯型になったという政策がとられたことに不信感をもつ、といったご意見が寄せられましたが、現在の病床構成を変えていかなければならないということについては、意見の一致をみました。

 また、短期滞在手術(1泊2日~4泊5日)が、平均在院日数に含まれていることについて、手術によってリスクのあるものとないものがあり一概には言えないが、短期滞在手術を平均在院日数から除くということもやむを得ないというご意見が多くを占めました。武久会長も、短期の手術件数の多い病院が平均在院日数で有利になるのはおかしいのではないか、公平を持って旨とするべきである、と述べられました。
特定除外項目に該当する患者についての論点は、「13:1、15:1と同様に見直しを行うべきか」ということです。委員からは、特定除外には地域格差があり、実際の現場には病態の複雑な患者もおり慎重を期すべき。レセプト請求だけでみれば、7:1、10:1の特定除外は約75万円、医療療養では約54万円という金額だがお金の問題だけではない。退院支援を強化せずに特定除外を廃止すれば大変なことになる、というご意見もだされましたが、武久会長は、7:1には特定除外の患者は3.7%しか入院しておらず、大変なことが起きるとは思えない。重症度・看護必要度が軽い患者が7:1の病床で90日以上入院していること自体が理解に苦しむ。亜急性期(仮称)を拡大して特定除外の患者を診る方向に進んでおり、高度急性期の病床を特定除外の患者で占領するべきではない。7:1の病床では新たに発症した患者を診ていくようにするのが自然の流れである、と発言されました。
 他の委員も、制度設計から考えても特定除外を平均在院日数に含める、あるいは療養病床と同じ請求金額にするというように見直すべき、平均在院日数に特定除外の患者を含めても1.5日しか増加せず7.1%の影響に留まるのであるから、特定除外を廃止しても平均在院日数をクリアできる、との意見がだされました。

 重症度・看護必要度はもともとHCUのために作成された評価項目です。この項目を見直すことについてはどの委員も異論はありませんでした。
 武久会長も、急性期から慢性期に転院してきた患者にはバルーンカテーテルを付けている患者も多く、万が一にも評価の得点を取るために処置が行われることがあってはならない。また、現在は、急性期から回復期リハ病棟に転院するまで1~3か月かかっている。これを2週間程度で回復期リハに転院し、なるべく早期からリハビリに取り組むことができれば、よりはやくADLを改善できる。今後の評価項目を作成する際には、どういった病床であっても、ある程度共通した評価項目を用いることができるようにしていただきたい、と意見を述べられました。

 亜急性期病床に関する議論では、亜急性期が地域医療に果たす役割は、①急性期からの受け入れ、②在宅・生活復帰支援、③緊急時の受け入れ、の3つがあげられています。今後の亜急性期についての考え方は、病床種別に関わらず、亜急性期病床に期待される機能に関する要件を設定し、評価を充実させていくという方向性が示されました。
武久会長は、どの病床であってもデータを提出して、機能を明確化していくべきである。出来高の病床がデータを提出しなくてもよいというのはおかしい。看護必要度は医師の指示のもとに行われている行為を表したものであるから、医療の必要度としてもとらえることができる。亜急性期が求められている3つの機能を充実させる評価の導入が必要、と述べられました。

 分科会の最後には、医療提供体制が十分ではなく、医療機関の機能分化を進めることが困難な地域をどうするかについて議論が行われました。
 委員からは、加算で評価をすれば患者負担の増加につながるため、補助金の活用がよいのではないかという意見や、武久会長からは、そういった地域では、一般急性期から慢性期までを診る地域に密着した病床が求められている、との意見が出されました。
 

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