日病協「第113回代表者会議」 出席のご報告

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日病協「第121回代表者会議」 出席のご報告

 平成26年3月28日、日本病院団体協議会(日病協)の「第113回代表者会議」が開催され、当協会からは、武久洋三会長と安藤高朗副会長が出席いたしました。今回は、武久洋三会長が議長を務める任期最後の開催です。
 
◇中医協等の報告

 まず、万代恭嗣委員より、3月12日と26日に開催された中医協について、審議事項が報告されました。
 
・被災地における特例措置について
  平成26年3月31日までとなっている被災地特例措置を、福島県の医療機関については平成26年9月30日まで利用可能とする。
・国家戦略特区における先進医療制度の運用について
・平成26年度診療報酬改定におけるDPC制度(DPC/PDPS)の対応等について
・今後の検討体制(案)について
  中医協総会とは別にあらかじめ論点整理と意見調整を行うことができるよう、診療報酬基本問題小委員会を平成19年の体制(支払側委員5名、診療側委員5名、公益委員6名、専門委員1名)に戻す。
 

◇第103回診療報酬実務者会議の報告

 次に、猪口雄二委員より、第103回診療報酬実務者会議で行われた平成26年度診療報酬改定の疑義照会について報告されました。当協会に関連する主なものとしては、以下の項目がありました。
 
*ADL維持向上等体制加算について
 ・ADL維持向上等体制加算の施設基準である専従のリハスタッフをもって、疾患別リハビリテーション料を算定することはできない。

*廃用症候群リハビリテーションについて
 ・手術を行わないがん患者について、がん患者リハ料を算定できる指定の研修を受けた療法士が少ない施設では、「廃用症候群」のみ算定することになる。(廃用症候群に対するリハビリテーション料は大幅に引き下げられ、要件もかなり厳しくされており、今後は算定しづらいものとなっている。)

*地域包括ケア病棟について
 ・地域包括ケア病棟入院料もしくは入院医療管理料に同じ病院の急性期から移ってきた場合について、いわゆる白本には、急性期の加算が算定できるという記述とできないという記述が2とおり掲載されており、厚生労働省に確認を要する。
 ・同一病棟の病室単位で地域包括ケアとADL維持向上等加算を算定しようとする場合、専従のリハスタッフ要件については、1病棟に1名のリハスタッフの兼任で構わない。

*療養病棟における在宅復帰機能の評価について
 ・施設基準に「退院患者の在宅生活が1か月以上継続することを確認していること」とあるが、この確認はどのような方法で行うのか。自宅に電話をかけるなどして確認する必要があるのか、それとも、退院日に医師の判断があればよいのか。
 ⇒(武久洋三会長の見解)医師による「1か月以上は在宅生活ができるだろう」という判断があれば、コンプリートな確認までは要求されないのではないか。

 平成26年度診療報酬改定に関する疑義は、各団体から厚生労働省医療課に照会しているところであり、それでなお足りない部分については、日病協で取りまとめていくことになっています。
 

◇病床機能情報の報告・提供の具体的なあり方に関する検討会について

 加納繁照委員より、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を活用した「具体的な医療の内容に関する項目」の都道府県への報告について、平成26年度の開始時期が7月審査分の1か月分とされたことが報告されました。

 武久洋三会長は、「病床機能報告制度」の導入は病院にとって診療報酬改定にも比肩しうべき重要な論点であると捉えており、以下の点を指摘して委員に問いかけました。

*医療機関が自院を「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」のいずれであるのか都道府県に報告をし、そのデータがとりまとめられた後、どのようにフィードバックされるのか。

*公的病院が優先されることもあって、地方の病院では確実にベッド数が過剰となる。基準病床数のキャップはどのようにかけられるのか。

*今回の診療報酬改定をみると、高度な急性期でなければ急性期とは認めないという厚労省の意図がうかがえる。医政局や保険局における議論と現場の認識とのギャップをどのように調整していくか。

*地域医療対策協議会が医療機関側のマインドを持っていたとしても、保険者となる都道府県知事が、病床数を減らして保険料を安くしようと躍起になってくることが予想される。地域医療対策協議会と都道府県知事とでは、どちらの権限が強いのか。

*安藤高朗委員が指摘するとおり、医師会は診療所寄りの考えを持っているので、病院が抱える問題についてはあまり詳しいとはいえない。医師会と病院団体とでは利害が相反する場合もあり、病院団体としての確固たる姿勢を示していく必要がある。

*病床機能報告制度は都道府県医師会や都道府県病院協会の問題であって、日病協で議論する問題ではないと考える向きもある。しかし、各都道府県単位の活動について日病協で議論し、協調を図っていく必要はあろう。

*病床機能報告制度が都道府県主導で進められる制度であるといっても、クライテリア(基準)は厚労省が作成し、国のガイドラインが示されることになる。そのガイドラインに対して意見を述べていくことは、日病協の役割なのではないか。
 

◇日病協の委員長、派遣委員等について

 武久洋三会長より、「診療報酬実務者会議」および「診療行為に関連した死因究明制度等に係るワーキンググループ」の委員長・副委員長や、厚生労働省の各種会議への派遣委員を長期にわたって務めている委員が多いことから、構成団体の機会均等を図る必要がある、と提案されました。日病協は各構成団体共通の認識のもとに運営される、という事業の趣旨が運営要綱から再確認され、特定の団体に長期間にわたって偏ることのないよう日病協の委員長や派遣委員を選任していくことについて委員の了承が得られました。厚労省等の委員会の中で間もなく終了するものについては今から派遣委員を変更しない方がよい、という意見もあったことから、委員会の開催状況等を確認し、次回の代表者会議で派遣委員の選任を検討することになっています。また、診療報酬実務者会議の委員長および副委員長については、診療報酬実務者会議から提出される候補者案にもとづいて次回の代表者会議で検討することになりました。
 

◇消費税の増税について

 委員の中から、消費税増税への対応は喫緊の課題であり、医療については非課税のままで還付制度を導入する、ということはできないか、との質問が挙がりました。この点について、安藤高朗副会長は、「診療所と病院とで場合を分けて考える必要があり、診療所においては非課税で診療報酬に上乗せとし、病院においては非課税で還付方式とする。他には、診療所においては非課税で診療報酬に上乗せとし、病院は課税で軽減とする方法もある。さらには、ある一定の消費税率までは非課税還付とし、一定の税率を超えた場合に軽減課税とするなど様々な方法が考えられる」と述べています。
 
 最後に、武久洋三会長は、「平成25年度当初は、多くの委員から、日病協は診療報酬に限って議論するものであると頻回にわたって言われていたが、運営要綱のどこにも日病協における議論は診療報酬に限定するものとは書かれていなかった。そこで、「日病協のあり方検討ワーキンググループ」で検討いただいた結果、医療・病院全般にわたる議論をすることに決定した。先ほども議論したように、病床機能報告制度など重大な案件が山積しており、新年度からの議長、副議長には大いに期待したい」と述べ、議長を務めた1年間を締め括りました。

 平成26年4月25日からの代表者会議では、加納繁照委員(日本医療法人協会)が議長を、楠岡英雄委員(国立病院機構)が副議長を務められます。
 

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