マイナ保険証の利用促進、「官民一体で」 ── 医療保険部会で池端副会長

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池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)_20240119医療保険部会

 健康保険証の廃止に向け、マイナ保険証の利用促進策について話し合った厚生労働省の会合で、日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長は「保険者も診療側も、そして国民、行政も官民一体となって取り組み、12月2日までに達成できるように頑張っていきたい。医師会も努力を惜しまない」と述べた。

 厚労省は1月19日、社会保障審議会(社保審)医療保険部会(部会長=田辺国昭・国立社会保障・人口問題研究所所長)の第174回会合を開催し、当会から池端副会長が委員として出席した。

 厚労省は同日の会合に「マイナ保険証の利用促進等について」と題する資料を提示。マイナ保険証の利用状況や普及に向けた課題などを示し、委員の意見を聴いた。

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能登半島地震で約1万2,300件の閲覧

 厚労省によると、医療機関や薬局が患者の健康保険証の資格確認をオンラインで実施した件数は昨年12月で約1億7,781万件。このうち、マイナ保険証を利用したのは約763万件だった。厚労省の担当者は「前月から増加しているが、更なる利用促進が課題となっている状況」と伝えた。

 その上で、マイナ保険証のメリットなどを紹介。「災害時は特別措置としてマイナカードによる本人確認ができなくても、本人の同意のもと、オンライン資格確認等システムを利用して薬剤や診療情報等の閲覧を可能にしている」とし、「今回の能登半島地震に際しても災害時モードを一部地域に開放しており、1月16日時点で石川県富山県を中心に約1万2,300件の閲覧があった」と報告した。

 質疑で、多久市長の横尾俊彦委員(全国後期高齢者医療広域連合協議会会長)は、こうした災害時の対応などを評価。「必要な存在が明らかになっているのだから、マイナ保険証を持つほうがいいということを厚労省や政府広報で早めに、きめ細かくお伝えいただくことが大事だ」と求めた。

 池端副会長も横尾委員の意見に賛同した上で、「地域別などのデータも出していただくと、お互いに頑張ろうという気持ちになるのではないか」と提案した。

【池端幸彦副会長の発言要旨】
 横尾委員がおっしゃったように、能登半島地震でマイナ保険証が非常に有用であった。JMATからもそのように聞いている。私の福井県からも順次JMATを派遣しているが、今回のような特別措置をきっかけにマイナ保険証の利用がさらに進んでいくことが非常に重要である。全国的に認識していただける機会にもなると思うので、ぜひ進めていただきたい。医療機関の窓口で患者さんに「マイナ保険証をお持ちですか」と声をかける必要性も感じているので、医師会を通じて、会員の先生方に説明したいと思っている。
 その上で、今後の利用促進策について、私が思うところを述べたい。オンライン資格確認等システムに必要な端末等を整備することは各医療機関がそれぞれ頑張って100%近くまで進んできた。その取り組みの中で、私は福井県の医師会を預かる立場で、都道府県別のオンライン資格確認の達成率を出していただいた。そうすると、「当県は少し遅れている」という状況が見えて、このままでは駄目だと認識すると、頑張ろうという気持ちになる。そこで例えば、地域別や医療機関別などのデータも出していただくと、お互いに頑張ろうという気持ちが高まるのではないか。
 マイナ保険証の利用は全国的に進めていくことなので、みんなが頑張らなければいけない。ちょっと失礼な言い方になるかもしれないが、公僕と言われる行政や官公庁の方々が自らもマイナ保険証を持つことが一般の方々にとって非常にインパクトがあると思う。官公庁の病院だけではなく、利用者として行政や官公庁の方々が全員、原則としてマイナ保険証を持つように勧めていただくのも1つの方策ではないかと思う。こうした取り組みを既に進めておられるかもしれないが、自治体全体で取り組んでいただけると一気に進む可能性もあるのではないか。現状、そういう取り組みが進んでいるかどうか、お聞きしたい。
 いずれにしても、期限が決まっている話なので、それぞれの保険者も診療側も、そして、国民側も行政側も官民一体となって取り組み、12月2日までに達成できるように頑張っていきたいと思う。医師会も努力を惜しまない。中医協でも利用実績に応じた加算が検討されているので、これは両方が相まって、かなり一気に進む可能性が出てくるのではないかと思う。引き続き、われわれも頑張っていきたいと思うので、どうかよろしくお願いしたい。

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【厚労省保険局保険データ企画室・中園和貴室長】
 各保険者別、または所管の公的医療機関などに対して、私どもは資料8ページ(マイナ保険証の利用促進策)に挙げているように利用率の達成目標などを要請している。それぞれの保険者別、あるいは公的医療機関別に、例えば、マイナ保険証の利用件数、利用率といった実績などについても個別に通知などを行っていきたいと考えている。そうした取り組みを通じて、各保険者別、医療機関別の動向や、池端委員からご指摘のあった地域別での有効利用率、利用件数の動向などのデータも材料として示したい。今後も、それぞれの地域や現場における取り組みの参考になるようなデータを示していきたいと考えている。
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【厚労省保険局・伊原和人局長】
 補足させていただきたい。公務員が自ら使っていくべきではないかというご指摘があった。例えば、厚生労働省では1月の最初の日に、私どもの事務次官が厚生労働省の共済組合の理事長なので、次官から全職員に対して、マイナ保険証を今年、しっかり使っていきましょうと。その一例として、私も大臣も実施するが、「マイナちゃん」を名刺に刷って、今年はマイナ保険証を使いましょうといった名刺も作成してPRしている。こうした取り組みは、実は厚生労働省だけではなく霞が関全体で広げるということで、今、全省庁で取り組みを進めている。ご指摘のように国家公務員のわれわれは身分証としても使っているということもあるので、しっかりと普及を進めていきたいと考えている。

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