保険医登録の遅れ、「診療に支障をきたす」 ── 医療保険部会で池端副会長

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池端幸彦副会長_20220323医療保険部会

 保険医らの登録について日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長は3月23日の会合で「1カ月以上もかかって診療に支障をきたす医療機関もある」と現状を伝えた上で、「デジタル化されれば解決すると思うので少しでも早い対応をお願いしたい」と求めた。

 厚生労働省は同日、社会保障審議会(社保審)医療保険部会(部会長=田辺国昭・国立社会保障・人口問題研究所所長)の第164回会合をオンライン形式で開催し、当会から池端副会長が委員として出席した。

 厚労省は同日の部会に「マイナンバー法等の一部改正法案について」と題する資料を提示。その中で、保険医らの登録手続きについて「改正法案では、添付書類の一部を省略することを可能とする」との説明があった。

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資料3_ページ_5

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国試合格者の登録が年度末に集中

 現在、保険医・保険薬剤師の登録等の手続きは、地方厚生局の窓口で住民票の写し等の添付書類が必要となっているが、改正法案では従来の方法に加えて、マイナポータルからの申請・届出も可能になる。施行期日は「公布の日から1年3月以内の政令で定める日」としている。

 質疑で池端副会長は「国家試験合格者の登録が年度末の3月に集中するので手作業では難しい状況がある」と指摘し、デジタル化のさらなる推進に期待を寄せた。池端副会長の発言要旨は以下のとおり。

■ 登録手続きに関するデジタル化について
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 資料3の4ページ「保険医・保険薬剤師の登録等の手続きに関するデジタル化」について質問したい。保険医・保険薬剤師について、「添付書類の一部を省略することを可能」としている。
 現在、新規の登録をしようと思っても1カ月以上もかかる場合があると医師会の会員から聞いている。国家試験に合格した後に保険医に登録するのだが、1日、2日の遅れで1カ月以上かかってしまうので、実際に保険医として診療する場合にかなり支障をきたす医療機関があるという。 
 そこで、デジタル化が進めば最短でどれくらいの期間が短くなるのだろうか。1~2週間で登録できるようになるのだろうか。そうすれば医療機関にとってありがたい。
 また、施行日が「公布の日から1年3月以内の政令で定める日」となっているので、この点についても現時点でおわかりであればお願いしたい。

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【厚労省保険局医療課・眞鍋馨課長】
 現在、申請にあたっては、例えば住民票の写しや戸籍抄本を紙で提出いただいて手続きに入っている状況である。これが今回のシステム運用になればどのぐらいになるかというお尋ねであるが、そこは具体的な運用がもう少し明らかにならないと確定的なことを申し上げられない。今の段階で「必ずこの期間です」ということは申し上げられないが、効率化できる部分があろうかとは思うので、そこも含めて検討してまいりたい。
 また、実際にいつから可能なのかというお尋ねがあった。このシステム稼働自体は令和6年度中を予定している。医師免許を取得される方が年度替わりにたくさん出るので、本格的な運用はおそらく令和7年度明けの4月、5月頃からになるのではないかと想定している。

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【池端幸彦副会長】
 医師だけではなく、いろいろな国家試験の合格者の登録が年度末の3月に集中するので手作業では難しい状況がある。一気に集中するため、なかなかうまくいかないと聞く。デジタル化されれば解決すると思うので、ぜひ少しでも早い対応をお願いできればと思う。

                          (取材・執筆=新井裕充) 

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