「医療介護支援専門員」を提案 ── 医療介護総合確保促進会議で武久名誉会長

会長メッセージ 協会の活動等 審議会

武久洋三構成員(日本慢性期医療協会名誉会長)_2022年12月16日の医療介護総合確保促進会議

 医療・介護関係者が「ポスト2025年の姿」をめぐり議論した厚生労働省の会合で、日本慢性期医療協会の武久洋三名誉会長は「かかりつけ医と地域の中小病院、介護施設等がネットワークを組まなければいけない」とし、「それをコーディネートするメディカルケアマネジャー(医療介護支援専門員)が必要だ」と提案した。

 厚労省は12月16日、医療介護総合確保促進会議(座長=田中滋・埼玉県立大学理事長)の第18回会合をオンライン形式で開催し、当会から武久名誉会長が構成員として出席した。

 厚労省は同日の会合に、総合確保方針の見直しに向けた「素案」を提示。その中で「ポスト2025年の医療・介護提供体制の姿」と題し、3つの柱を示した。「健康・医療・介護等に関して気軽に相談できる専門職」の必要性などを挙げている。

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01-P8_【資料1】総合確保方針の見直しについて(素案)_2022年12月16日の医療介護総合確保促進会議

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次期医療・介護計画は2025年をまたぐ

 今回の素案について厚労省の担当者は「総合確保方針の見直し後に策定される(次期)医療計画、介護保険事業計画は2025年をまたぐものとなるので、2025年、その後の生産年齢人口の加速等を見据え、射程を明確にしている」とし、「ポスト2025年の医療・介護提供体制の姿」について別紙を用いて説明した。

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02-P9_【資料1】総合確保方針の見直しについて(素案)_2022年12月16日の医療介護総合確保促進会議

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 「ポスト2025年」の素案は文章のみで9ページ。前文は「今般の新型コロナウイルス感染症対応において、地域における医療・介護の提供に係る様々な課題が浮き彫りとなった」との書き出しで始まり、「医療・介護の現場あるいは現場と行政の間等で、密接な意思疎通が求められ(る)」としている。

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03-前文抜粋_【資料3】ポスト2025年の医療・介護提供体制の姿(素案)_2022年12月16日の医療介護総合確保促進会議

【武久洋三名誉会長の発言要旨】
 この会議は「医療介護総合確保促進会議」という名称である。まさに慢性期医療等と介護との接点については、われわれ協会の会員も非常に熱心に検討している。
 介護保険制度が始まった2000年からケアマネジャーがコーディネートしているが、2010年ぐらいから医療系のケアマネジャーが次第に減ってきた。そこで日本慢性期医療協会では10年ほど前からケアマネジャーに医療の知識を身につけていただくための研修会を開催している。
 そうした中で、かかりつけ医をめぐる問題も出てきた。かかりつけ医問題と介護保険制度は非常に密接な関係にある。クリニックの先生が24時間365日カバーできるかというと、それは絶対にできないからだ。
 では、どうすべきか。地域の中小病院、さらに中小病院に付属している介護施設等がネットワークを組まなければいけない。そこで、それをコーディネートする人材が必要となる。医療介護支援専門員、すなわち「メディカルケアマネジャー」である。日本慢性期医療協会では、メディカルケアマネジャーを養成するための研修会を予定している。
 近年、急性期病院でも高齢者の割合が非常に増えており、多くの入院患者が要介護認定を受けている。医療と介護の接点が非常に微妙になって、一体となっている。したがって、ケアマネジャーが介護保険だけを担当するのは時代遅れである。ケアマネジャーにも医療のことを勉強していただき、「メディカルケアマネジャー」としてさらに頑張ってほしいと考えている。 
 例えば、介護施設の入所者が発熱して病院に行く。そして今度はその病院から別の施設に移る。介護から医療、そして介護へと行き来がある。こうした現実問題に対して、この「医療介護総合確保促進会議」における検討が大変重要になる。医療と介護が総合的にきちんと動くか、動かないか。
 医療のほうでは医師会を中心にかかりつけ医が進んでいる。一方、コーディネーターであるケアマネジャーには医療の知識をどんどんつけてもらう。医療と介護を総括して地域の中で全体をコーディネートする。それをメディカルケアマネジャーに担っていただくのがベストではないかと私は思っている。
 資料3(ポスト2025年の医療・介護提供体制の姿・素案)の内容をよく見て吟味したところ、やはり医療と介護の総合的なコーディネートがいかにあるべきかという問題だと思うので、日本慢性期医療協会は独自にどんどん進めていく。かかりつけ医と中小病院とのネットワークに関係するコーディネーターとして、「メディカルケアマネジャー(医療介護支援専門員)」という役割を重視していきたいと思っているので、ぜひ皆さま方にもよろしくお願い申し上げたい。

                          (取材・執筆=新井裕充) 

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