第11回介護文書の専門委員会 出席のご報告

協会の活動等 審議会

2022年8月24日の介護文書委員会

 厚生労働省は8月24日、介護保険部会の「介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会」をオンライン形式で開催し、当会から橋本康子会長が委員として出席した。

 厚労省は前回7月21日の会合で、今後の検討スケジュールを提示。厚労省の担当者は「年内に規制改革実施計画も踏まえた取りまとめを行った上で、介護保険部会等への報告を行うことを想定している」と伝えた。

 6月に閣議決定された規制改革実施計画には「電子申請届出システム」の活用などが盛り込まれている。厚労省の担当者は、取りまとめに向けた議論に先立ち、同システムや文書負担の軽減などについて関係団体からのヒアリングを実施する方針を示した。

 こうして迎えた今回8月24日の会合で、14団体の代表者ら11人が意見を陳述。質疑では、①処遇改善加算、②LIFE、③ローカルルール──に関するコメントが目立った。新たな課題として、④事故報告書に関する意見もあった。

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減る以上のスピードで増える

 ヒアリングで全国介護事業者連盟の斉藤正行理事長は「減っている以上のスピードで、さらに文書が増えているのが現場の実感」と明かし、LIFEや処遇改善関連の書類を挙げた。

 質疑で、清原慶子委員(杏林大学客員教授、ルーテル学院大学客員教授)は「介護職員等のベースアップやさまざまな加算は有効なインセンティブだとは思うが、文書負担軽減の観点から見ると、実は負担増になっているという大変重要なご指摘」と理解を示した上で、「具体的な提案があればお知らせいただきたい」と見解を求めた。

 斉藤理事長は「書類を作成するための事務処理に多くの時間、コストがかかり、残業代が発生している。中小零細の事業者は書類が多すぎて加算を取りたいが取れない。社労士や外部のコンサル会社に書類作成を委託すると、このお金は自腹になる」と厳しい現状を改めて説明。「制度自体、加算自体を統合していただきたい」と求めた。

 全日本病院協会を代表して意見を述べた木下毅氏もこれに賛同し、「将来的には処遇改善加算と介護報酬を一体化することも考えていくのがよい」とコメントした。

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現場として常に悩んでいる

 山際淳構成員(民間介護事業推進委員会代表委員)は「全国社会福祉経営協議会と介護事業者連盟からLIFEの負担感について意見があった」と振り返り、「現時点で非常に負担に感じている中身を教えてほしい」と尋ねた。

 全国社会福祉経営協議会の本永史郎氏は「CSVで吐き出したものをLIFEに読み取っていくのが基本の設計になっているので、LIFEに直接入力するのはかなり手間がかかる」と説明した。

 斉藤理事長は「フィードバックデータを活用して初めて算定できるルールになっているので、この解釈論について、それぞれの都道府県、市町村に確認しても、ほとんどの自治体から『正直言ってわかりません』という回答になる。現場としてはこれで算定していいのか非常に悩んでいる」と伝えた。

 その上で、斉藤理事長は「算定要件について、Q&Aなども含めて全自治体に通達してほしい。ローカルルールの部分でも、LIFEが導入されたことによって、より一層複雑で、かつ手間が発生している現状がある」と訴えた。

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ローカルルールはパーソナルルール

 ローカルルールについても多くの意見があった。本永氏は、マニュアルなどで改善が進んだことを評価しながらも、「ローカルルールは担当者のパーソナルルールであったと認識している。またパーソナルルール化しないよう引き続きルールの徹底をお願いしたい」と要望した。

 日本認知症グループホーム協会の今野秀吉常務理事は「国の指定では示されていない、もしくは示されている以上の添付文書を求められる自治体がある」とし、「役員名簿、従業者の雇用契約書、平面図・設備等の一覧表に関する細かな写真の提出」などを挙げた。

 高齢者住宅協会の木村祐介副会長は事故報告をめぐるローカルルールを挙げ、「報告する先が複数あったり、報告の必要がないと言われるケースがあったり、報告しないと、なぜ報告しなかったのかと言われたり、戸惑いを感じている」と述べた。

 全国有料老人ホーム協会の渡邉潤一事務局長も「事故が発生した際に最大で3ヶ所、都道府県と市の有料老人ホーム部局に加えて、市の介護保険部局への報告も求められる」とし、「さらに、それぞれの報告書様式や報告基準が統一されていない自治体もあるので事業者の事務負担は非常に大変」と伝えた。

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一歩でも二歩でも進められるように

 ヒアリングを終え、遠藤健委員(全国介護付きホーム協会顧問)は「これまでの委員会で提案してきた書類の様式を全国統一すること、事業者の申告窓口を新設すること、電子申請によりワンストップ化を実現することの3点については多くの団体に共通した要望であることが確認できた」と評価した。

 厚労省老健局高齢者支援課の須藤明彦課長は「文書や手続き負担の軽減に関する話と、業務の内容に関わるやり方やルールの負担を綺麗に分けるのは難しい。そういうことも含めた論点が入っていた」と感想を述べた。

 その上で、須藤課長は「ローカルルールにせよ文書にせよ、単純に統一するとかなくすというだけではなくて、そもそもそれが本当に必要なのか、本当に必要なものは何なのかも含めてよく考えて、しっかりと前に一歩でも二歩でも進められるような取り組みをしていきたい」と述べた。

                          (取材・執筆=新井裕充) 

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