第525回中医協総会 出席のご報告

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第525回中医協総会(2022年7月27日)

 厚生労働省は7月27日、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=小塩隆士・一橋大学経済研究所教授)総会の第525回会合をオンライン形式で開催し、当会から池端幸彦副会長が診療側委員として出席した。

 この日の主なテーマは看護の処遇改善。最初に開かれた基本問題小委員会では患者負担に関わる問題などを議論し、続く総会に引き継がれた。

 厚労省は同日の総会に、「処遇改善(その3)」と題する資料を提示。具体的な点数設定のイメージなどを紹介した上で最終ページに3つの論点を挙げ、委員の意見を聴いた。

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01_P67_【総-1-3】処遇改善(その3)_2022年7月27日の中医協総会

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点数設定のあり方について

 質疑で、診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は「入院外来分科会での検討を踏まえ、モデルの①-2、つまり入院料を100種類に細分化したモデルが最も現実的に適切であろう」と述べた。

 支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)も入院料をベースに考えるモデル①-2を支持した。外来患者の診療報酬に上乗せした場合に「かなり高い点数になるケースがある」と懸念したほか、患者数の変動による影響も受けやすいことを指摘。さらに、「通常あまり看護職員と接点が少ないと思われる外来患者にとっては、なかなか納得できない」との理由も挙げた。

 日本看護協会の吉川久美子専門委員(日本看護協会常任理事)は「入院では外来と比較して看護職員の果たす役割が相対的に大きい。患者から見ても看護師の役割は明確」とし、外来の看護師は「患者によって関わりに濃淡がある」との認識を示した。

 その上で、吉川専門委員は「外来患者に看護職員処遇改善のための負担を一律に求めることは難しいのではないか。入院患者の多くは外来等の部門で連続した関わりがある点も考慮すると、入院料で算定するモデル①-2で考えるのがよい」と述べた。

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医療機関の適格性等について

 処遇改善措置の対象については、三次救急などを担う医療機関に限定する方針に異論はなかったが、診療側の島弘志委員(日本病院会副会長)は「あくまでも希望する医療機関を受給対象にする制度設計を行うようにお願いしたい」と要望した。

 一方、支払側の安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)は「今回の補助金を申請したいが、いろいろ検討した結果、さまざまな事情で補助金を申請するのを断念した病院が結構ある」と指摘し、「今回の診療報酬で対応する所に関しては、やはり、そういった希望する病院も対象に入れたほうがよろしいのではないか」とコメントした。

 今後の課題について城守委員は「対象が限定されているこの処遇改善ではなく、看護師をはじめ広く医療関係職種を対象にすることも含めて、こういった対応については診療報酬とは別枠で確保していく必要があると痛切に感じている」と述べた。

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処遇改善に係る要件について

 賃金の改善措置の対象者について意見があった。厚労省は「看護職員」のほか、「看護補助者、理学療法士、作業療法士その他以下のア~テに掲げるコメディカルである職員」を挙げ、「ア 視能訓練士」「イ 言語聴覚士」「ウ 義肢装具士」らを列挙した。

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02_P48_【総-1-3】処遇改善(その3)_2022年7月27日の中医協総会

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 質疑で、支払側の佐保昌一委員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)は「処遇改善の対象者について、現時点で補助金のルールを踏襲しているものと思われるが、人材確保の観点から病棟薬剤師を加えるべきではないか」と提案した。

 同じく支払側の安藤委員もこの意見に賛同。「今回はぜひ薬剤師さんも入れていただいたほうがよろしいのではないか」と要望した。
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高い必要点数となる医療機関について

 このほか、7月20日の入院・外来医療等の調査・評価分科会で検討された「高い必要点数となる医療機関」についても議論があった。

 診療側の城守委員は「必要な額がしっかりと手当をされるようにすべき」と強調。「全医療機関の99.5%をカバーする点数設定からも外れてしまう8医療機関について、患者数の変動などに対応する医療機関の手間等も考えれば、ある程度、幅を持たせた点数設計にすべき」との考えを示した上で、「例えば5点刻み、10点刻みとすることも検討してよい」と提案した。

 これに対し、支払側の松本委員は「補助金からの円滑な移行と過不足を最小化するという2つの目的を達成するためには補助金申請施設の最高得点まで1点刻みということも考えられるのではないか」とし、「刻みを10点または20点と非常に大きくすると、点数が高いだけに、区分が変わったときの過不足が大きく出てくると推測される」と述べた。

                          (取材・執筆=新井裕充) 

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