ポストコロナ患者の受入状況も調査を ── 池端副会長、中医協・小委で提案

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池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)_2021年2月3日の中医協調査実施小委員会

 令和4年度診療報酬改定に向けた調査案について審議した会合で、日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長は「ポストコロナ患者の受入状況に関する項目の追加を提案したいが、いかがだろうか」と見解を求めた。厚生労働省の担当者は「事務的には可能な対応」と答えた。

 厚労省は2月3日、中央社会保険医療協議会(中医協)の調査実施小委員会総会をオンライン形式で開催し、当会からは池端副会長が診療側委員として出席した。

 最初に開かれた調査実施小委員会(小委員長=秋山美紀・慶應義塾大学環境情報学部教授)の第52回会合では、前回に引き続き「第23回医療経済実態調査」について審議した。
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単月調査の判断、「春頃を目処に」

 前回1月13日の会合で厚労省は、コロナの影響などを調べるために単月調査の追加を提案したが、回答の負担による回収率の低下などを懸念する声があった。

 厚労省は今回の会合で、簡素化した調査項目を提示。単月調査の実施の可否については、今後の感染状況を踏まえ「春頃を目処に決定することとしてはどうか」と提案し、了承された。

 「春頃」の意味について厚労省の担当者は「調査の準備が間に合うギリギリのタイミングを考えている」とし、「この時点で改めてコロナの状況と単月調査の負担感を中医協にお諮りしたい」と説明した。
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出口戦略が重要になっている

 今回の調査では、新たに「重点医療機関・協力医療機関の指定状況」のほか、「新型コロナウイルス感染症患者の受入状況」などの項目を新たに追加する。
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P1抜粋【実-3】調査項目の変更点_20210203中医協調査実施小委員会_ページ_01

        2021年2月3日の中医協・調査実施小委員会資料「実-3」P1から抜粋
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 質疑で池端副会長は、いわゆるポストコロナ患者を受け入れた療養病床などを評価する1月22日の事務連絡に触れながら、「ポストコロナの患者を受け入れているかどうかに関する項目もあったほうが今後の検討や議論にも有用になる」と指摘し、項目の追加を提案した。

 厚労省の担当者は「出口戦略が重要になっている」との認識を示した上で、「患者の受入状況という項目の下あたりに記載できないかを考えてみたい」と答えた。

 池端副会長の発言要旨は以下のとおり。

〇池端幸彦副会長
 一定の簡素化をした上で単月調査を春頃に決定することに関しては同意させていただきたい。
 その上で、解釈の仕方については慎重な検討をお願いしたい。調査結果については、いろいろな見方が出てくるかと思うので、その分析の方法も含めて慎重にご検討いただきたい。
 ここで1つ提案させていただきたいのは、いわゆるポストコロナの患者を受け入れているかどうかに関する項目の追加である。
 今回の調査では、コロナの患者の受入状況を新たな項目として追加することが提案されているが、ご承知のとおり1月22日の事務連絡では、「出口戦略」として、ポストコロナの患者を一般病床以外の回復期や療養病棟でも受け入れるように救急医療管理加算などで評価する方針が示された。
 こうした評価の影響を見るという意味で、ポストコロナの患者を受け入れているかどうかに関する項目もあったほうが今後の検討や議論にも有用になると思う。そこで、ポストコロナ患者の受入状況に関する項目の追加を提案したいが、いかがだろうか。

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【厚労省保険局保険医療企画調査室・山田章平室長】
 分析や公表の仕方は慎重にしたいと思っている。ポストコロナの受け入れについても記載してはどうかとの提案については、事務的には可能な対応である。出口戦略が重要になっているので診療報酬でも評価している。入院患者の受入状況という項目の下あたりに記載できないかを考えてみたいと思う。

                          (取材・執筆=新井裕充) 

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