ACP等で不適正処方の改善を ── 厚労省WGで池端副会長

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池端幸彦副会長_2018年12月25日の高齢者医薬品適正使用ガイドライン作成WG

 日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長は12月25日、高齢者への医薬品を適正に使用するためのガイドライン策定に関する厚生労働省の会議で、「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)によって、ポリファーマシーのニュアンスがかなり変わってくる可能性が高い」と述べ、ACPなどの推進によって高齢者への不適正処方を改善していく必要性を指摘しました。

 厚労省は同日、「高齢者医薬品適正使用ガイドライン作成ワーキンググループ」(WG、座長=秋下雅弘・日本老年医学会副理事長、東大大学院医学系研究科加齢医学講座教授)の第6回会合を開きました。当協会からは、同WGの構成員として池端副会長が出席しました。

 同日のWGで厚労省は「高齢者の医薬品適正使用の指針(追補)(案)」を示しました。これは、前回9月18日のWG、続く26日の親会議(高齢者医薬品適正使用検討会)で議論した骨子(案)を踏まえた内容で、委員からは文言の統一などに関する意見がありました。

 同日の議論を踏まえ、秋下座長は「修正の上、再提案したい」とまとめました。これを受け、厚労省の担当者は来年1月16日の次回WGで修正案を示すことや、その議論を踏まえた最終版を1月25日の親会議に提示する意向を伝えました。

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ACP等を通じて、「処方の見直しを行っていく」

 「追補(案)」の第1部「外来・在宅医療」では、常勤の医師が配置されていない施設での考え方や留意事項などを記しています。その中で、外来・在宅医療における処方の見直しについて、「必要に応じてアドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning:ACP)※3等を通じて、患者本人の価値観に基づく意思決定支援を行うことのほか、認知症や意識障害等により患者が意思表明できない場合には、意思決定支援者としての家族等や医療・ケアチームとともに支援をしていくことが求められる」としています。

 この記述に続けて、「薬物有害事象の出現時などにおいて、ポリファーマシーの状態が確認できれば減量・中止を行うことを検討する。特に高齢者における薬物有害事象は薬剤起因性老年症候群のように発現がわかりにくいこともあるため、あらゆる症状の出現と、薬物有害事象との関連性を考慮し、処方の見直しを行っていく」との考え方を示しています。

 注釈(※3)では、ACPについて「今後の医療・ケアについて患者・家族等と医療・ケアチームがあらかじめ繰り返し話し合い、共有すること。一般の方に向けた愛称は『人生会議』」と説明しています。

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寄り添うことが一番共有できる対応の仕方

 質疑では、構成員から「アドバンス・ケア・プランニングを実践することによってポリファーマシーが改善するようなイメージを持っているのだろうか」との問題提起がありました。

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2018年12月25日の高齢者医薬品適正使用ガイドライン作成WG
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 これに対し、池端副会長は、次のように述べました。

 「私の個人的な思いですが、アドバンス・ケア・プランニングによって、ポリファーマシーのニュアンスがかなり変わってくる。どう変わってくるかは一概には言えませんが、変わってくる可能性が高いし、やはり、そこに寄り添うことが一番共有できる対応の仕方であると思います。私も関連するように感じています」

                          (取材・執筆=新井裕充) 

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