「第128回社会保障審議会・介護給付費分科会」 出席のご報告

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「第128回社会保障審議会・介護給付費分科会」 出席のご報告

 平成28年3月30日、第128回社会保障審議会介護給付費分科会が開催され、武久洋三会長が委員として出席いたしました。議題は、下記の通りです。
 
 1.平成27年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成27年度調査)の結果について(概要)
 2.平成27年度介護従事者処遇状況等調査の結果について
 3.その他
 

◇武久洋三会長の発言
 「(3)リハビリテーションと機能訓練の機能分化とその在り方に関する調査研究(結果概要)」の中で、通所リハビリ、通所介護のサービスを受けて、日常生活自立度が良くなったケースが3割以下という結果に驚いている。

リハビリテーションと機能訓練の機能分化

 デイケア、デイサービスのどちらについても、一年以上利用している場合、日常生活自立度が低下する割合が増えてくるのが不思議である。利用者自身が老化していくためにこのような結果になっているのか、それとも同じようなリハビリばかり繰り返しているので、6ヵ月過ぎたあたりからだんだん効率が悪くなってくるということなのか、何かしら問題があるということを示した結果となっている。

 老健局だけで対応できる調査ではないことは承知だが、介護保険のリハビリテーションと、医療保険のリハビリテーションとの効果の違いを調べる必要があるのではないか。そうすれば、効果の違いを比較することによって、医療保険のリハビリと介護保険のリハビリのどちらがより効果的なのか、比較しながら考えることができるだろう。

 「(4)介護保険施設等における利用者等の医療ニーズへの対応の在り方に関する調査研究事業(結果概要)」についてだが、介護療養型医療施設では、要介護度4、5の利用者が圧倒的に多くなっている。老健でこの割合が低いのは解るが、意外と特養においても低くなっている。医政局が出した別の資料で確認したところによると、医療区分2、3の割合は、介護療養型医療施設では19%、老健と特養では15%と出ていた。特養では重度の利用者の受入れを避けているということなのかもしれないが、いずれにせよ、介護療養型医療施設は特養や老健とは違う施設だということは明らかである。このような、医療の必要性が医療療養病床ほど高くなくても要介護度がかなり高い利用者については、施設分類ごとに調査を行い、結果を見ていく必要があると思う。

 「(5)居宅介護支援事業所及び介護支援専門員の業務等の実態に関する調査研究事業」を見て、医療機関と連携をとり、病院に出向いているケアマネジャーの割合が高いことに驚いた。つまりケアマネジャーは病院に行き、看取りにも対応し、クレーマー対応も行い、給付管理をしてケアプランを立て、市町村にも出向き、他事業所と連携をとっているということになる。これでは、真面目にやればやるほど疲弊していくのは当然である。こうした状況を見ると、ケアマネジャーの働きが悪いせいで医療と介護の連携が進まないというのは、あまりにケアマネジャーに厳しいのではないか。この調査結果と、自施設のケアマネジャーの姿を見ながら思った次第である。

 デイサービス、デイケアにおいて、利用者を「お預かりしている」という考え方をしているとしたら、それはあらためるべきである。介護サービスは、そのサービスを受けたら今より良くなるということを前提に提供される。現状維持のために行うのではない。5年や10年のタームで考えた際の現状維持ならまだしも、デイサービス、デイケアを受け始めて半年過ぎたあたりから、日常生活自立度が下がる割合が増えるという結果が出ている。これはやはり、提供しているアクティビティに何らかの問題があると言わざるをえない。国が介護保険という形で税金からお金を出している以上、良くしないとだめだろう。保険料で賄っているのに続ければ続けるほど状態が悪くなるといった現状を、はたして国民は良しとするだろうか。私は事業者であるが、サービスを提供し続けているにもかかわらず利用者の状態が悪くなっていくなどということは、事業者側の恥であると考えている。

○第128回社会保障審議会・介護給付費分科会の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
 ⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000119044.html
 

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