「第122回社会保障審議会・介護給付費分科会」 出席のご報告

会長メッセージ 審議会

第122回社会保障審議会・介護給付費分科会

 平成27年5月20日、「第122回社会保障審議会・介護給付費分科会」が開催され、武久洋三会長が委員として出席いたしました。今回の主な議題は、下記の通りです。
 

1.平成24年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成26年度調査)の結果について(最終報告)

2.平成27年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成27年度調査)の実施内容について

3.当面の検討課題及びスケジュールについて

4.処遇状況調査について
 

◇武久会長の発言
*「平成27年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成27年度調査)」のうち、各項目について下記の意見を述べられました。

・「(3)リハビリテーションと機能訓練の機能分化とその在り方に関する調査研究事業」については、リハビリテーションと機能訓練とで、それぞれの効果の差、および違いがはっきりと分かるよう調査項目を設定するべきである。

・「(4)介護保険施設等における利用者等の医療ニーズへの対応の在り方に関する調査研究事業(素案)」の調査項目に「看取り、ターミナルケアに関する実態調査」とあるが、まずは「ターミナル」「看取り」といった言葉の定義や、これらがどういった場合に行われるのかを定めるべきだろう。極端ではあるが、入所イコール、ターミナルと考えるような施設も存在し、そこでは熱が出ても治療しないというようなことが起きてしまう。ターミナルとは、治るものをみすみす放っておくことではない。治せるものを治すのは、医師の努めである。私の病院では、「癌末期であり多臓器不全に陥っている状態」等複数の状態を想定し、そのうちいずれかの状態にあり、いかなる治療をしても余命1ヶ月未満と医師が判断した場合をターミナルとする、と定義を作っている。
介護保険施設では、ターミナルの解釈は概して医療よりも広い。各施設における「ターミナル」「看取り」の実態が分かる調査にしていただきたい。

・「(5)居宅介護支援事業所及び介護支援専門員の実態に関する調査研究事業(素案)」をみると、やはり、独立ケアマネジャーを奨励しているように感じる。居宅介護支援費の算定に関する特定事業所集中減算は、これまでは、ケアマネが利用者に紹介する施設の90%以上が同一法人内であった場合に減算とされていたのに、今回の改定で80%超に厳格化された。だが、ケアマネが自分の所属する居宅介護支援施設と同じ法人の施設からサービス提供を計画するのは自然なことだろう。それにもかかわらず、本改定において減算の適用割合を厳格化し、特定の事業所への偏りに対する対応を強化するということは、所属する法人からも中立を保った独立ケアマネという構図を進めているように読みとれる。高橋振興課長のお答えではそうした意図はないとのことだが、私としては、将来的にケアマネジャーは独立させ、一人の利用者を施設、病院、在宅に至るまですべてトータルで見る形にしていくほうが、より良いサービス提供に結びつくのではないかと思う。

*地域区分については、一つの市町村の中にも人が密集して住んでいる地域と、まばらな地域とが混在している現状を考慮してほしい。その上で、過疎地域に出向いてサービスを提供する場合には、単価を上げる、手当てを出すといった対策を取っていかなくては、人の住めない地域が出てきてしまう。本改定では、居宅介護支援の特定集中減算において、地域の事情によっては減算しないという例外項目が出されていたが、介護保険の地域区分においても同様の対応を検討してほしい。

○第122回社会保障審議会・介護給費分科会資料については、厚生労働省のホームページをご参照ください。
 ⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126698
 

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