第85回社会保障審議会医療保険部会 出席のご報告

会長メッセージ 官公庁・関係団体等 審議会

第85回社会保障審議会医療保険部会 出席のご報告

 平成27年1月9日、厚生労働省にて「第85回社会保障審議会医療保険部会」が開催され、当会からは委員として武久洋三会長が出席いたしました。
 厚労省側より、これまでの会議で検討されてきた事項を取りまとめた「医療保険制度改革骨子(案)」が提出され検討が行われました。盛り込まれた大項目は下記のとおりです。
 
 1.国民健康保険の安定化
 2.高齢者医療における後期高齢者支援金の全面総報酬割の導入
 3.協会けんぽの国庫補助率の安定化と財政特例措置
 4.医療費適正化計画の見直し
 5.個人や保険者による予防・健康づくりの促進
 6.負担の公平化等
 7.患者申出療養(仮称)の創設
 8.今後さらに検討を進めるべき事項

 主な議論としては、まず国保の財源問題が取り上げられました。骨子案には国保への財政支援の拡充による財政基盤の強化および、高齢者医療における後期高齢者支援金の全面総報酬割導入に伴い生じる国費を国保へ優先的に投入する方針が明記されています。この内容について、全国知事会からは、発生した国費の国保への優先的な活用、被用者保険に比して極めて重い保険料負担の平準化といった要請が述べられました。
 
 一方で、被用者保険5団体からは、今回の骨子案は大きく国保に寄ったものであるとして反論が述べられ、委員の間で意見が分かれました。協会けんぽの国庫補助率を現行の16.4%から13%に引き下げる方針についても、協会けんぽは被用者保険の最後の砦であるとして、関係5団体より反対声明が堤出されています。
 
 また、医療費適正化計画について、地域医療構想を成立させるための厳密な計画に基づいた目標設定とPDCAサイクルの実行が不可欠であるとの意見が共有されました。ビッグデータの有効活用、予防の徹底、栄養指導の充実といった施策を行う方針です。
 
 武久先生は医療費適正化計画の項について触れ、厚労省の方針は、計画と診療報酬改定が示す意向との間で整合性が取れていない部分があるように思われるため、医療制度改革の中で大きなウェイトを占める診療報酬改定について十分な考察を行った上での計画推進を求める意見を述べられました。また、平均在院日数短縮の目標数値の算出にあたって平成26年4月に実質廃止となった特定除外の入院数が含まれているかという点に触れ「特定除外を算出方法に含めているか否かで、第2期計画期間(平成25~29年度)の平均在院日数の目標数値も大きく変わる」として精査を求めました。
 
 その他、前回までの議論で取りまとめられた負担の公平化(入院時食事療養費の見直し、紹介状なしでの大病院受診の際の定額負担の導入、所得水準の高い国保組合への国庫補助の見直し等)、患者申出療養の創設などの項目についての報告が行われ、確認・検討が行われました。述べられた意見を踏まえ、持続可能な医療保険制度の構築のため更なる検討を進める方針です。
 

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