社会保障審議会・介護給付費分科会(第117回)出席のご報告
平成26年12月19日、「第117回社会保障審議会介護給付費分科会」が開催され、武久洋三会長が委員として出席いたしました。
事務局から、今回の議題「平成27年介護報酬改定に向けて」の説明がありました。「平成27年度介護報酬改定に係る基本的な考え方」として、2025年に向けた地域包括ケアシステムの構築、そして2025年以降を見据えた対応を整備していくため、以下の3点の重要性が強調されました。
① 中重度の要介護者や認知症高齢者への対応の更なる強化
② 介護人材確保対策の推進
③ サービス評価の適正化と効率的なサービス提供体制の構築
資料の説明ののち、田中滋分科会長(慶應大学名誉教授)が委員の発言を募りました。冒頭、武久洋三会長は「介護報酬改定のゆくえについて本分科会以外のところでも様々に取り沙汰されているのが聞こえてくるが、実際にサービスの内容や報酬のあり方を決定するのはどこなのか、今一度事務局に確認したい。すでによそで点数が決められていたり、改定の方向性の大枠が定められているのに議論を進めるとしたら、本会としても議論のやりがいがない」と発言され、事務局からは、介護報酬について定めるのは介護給付費分科会であり、引き続き議論を行っていくとの回答がありました。
事務局提出の資料の中に、平成27年度介護報酬改定の今後の課題として挙げられた「介護事業経営実態調査については、これまでの審議における意見(例えば調査対象期間など)も踏まえ、調査の精度をさらに高めるため、引き続き調査設計や集計方法を検討する」(資料1、40頁)との記述について、武久会長からは「今回の調査結果では収支差率が10%近い施設もあるとの結果になったが、これはあくまで平均値であり、マイナス経営の施設もあれば、黒字を出している施設もある。必要に応じた職員を雇用し、適正な給与を払っているために赤字を出している施設もあれば、質の低いサービスを提供することで黒字となっている施設もあるといったそれぞれの施設の運営の状況は、平均値のみに着目しても分からない。次回の調査では、実態を反映するような質問項目の設定を行い、たとえ介護報酬が一律で下げられることになっても、良い運営やサービス提供を行っている施設が駆逐されることのないようにしてほしい」と意見を述べられました。
また、「今後の診療報酬との同時改定を念頭に、特に医療保険との連携が必要な事項については、サービスの適切な実態把握を行い、効果的・効率的なサービス提供のあり方を検討する」(資料1、40頁)とある点について、「概して高齢者の方々は、施設やサービスつき高齢者向け住宅などに入ると安心してしまい、発熱等あってもなかなか診療にいたらず、重症化してからやっと医療機関にかかるということが起こりがちである。体調を崩しても、早期に発見して医療機関にかかり、早く治して早く帰るといった、診療報酬改定の際にも言われたような「ときどき入院、ほぼ在宅」の流れを徹底することが、かえって医療費の抑制につながると考える」と、武久会長は主張されました。
他にも、委員から多くの意見や要望が出されました。「介護職員処遇改善加算の拡大」については、介護職員の人材確保や勤務状況の改善は喫緊の課題であり評価するという意見と、重要な課題であることは認めるものの果たして介護報酬でカバーすべき問題であるのかという意見がそれぞれ複数挙げられ、議論される場面が見られました。
次回は平成27年1月9日(金)に開催されます。
○ 第117回社会保障審議会介護給付費分科会の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000069375.html
2014年12月20日