社会保障審議会・医療保険部会(11月28日)のご報告

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11月28日の医療保険部会

 厚生労働省は11月28日、社会保障審議会の医療保険部会(部会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)を開催し、当会からは武久洋三会長が委員として出席しました。主な議題は、(1)協会けんぽの財政対策、(2)健保組合における準備金の見直し、(3)70~74歳の患者負担特例措置、(4)健康保険と労災保険の適用関係の整理──などです(資料は厚労省ホームページ)。
 

(1) 協会けんぽの財政対策について
 

 財政悪化のため、国庫補助率の引き上げなどで保険料率の上昇を抑えている支援策(特例措置)を来年度以降も継続するかについて、11月28日の会合でも引き続き議論しました。中小企業の加入者が多い協会けんぽは、保険料率の上昇を食い止めるため、国庫補助率のさらなる引き上げなど支援策の拡充を求めていますが、委員の多くは否定的です。

 この日、厚労省は協会けんぽの財政見通しについて、11月7日の会合で示した保険料率の推移を示すシミュレーションに加えて新たに4つのケースを示し、今後の対応策について意見を求めました。協会けんぽ理事長の小林剛委員は、現在の「保険料率10%はすでに限界」として、これ以上の上昇を抑えるため国庫補助率を20%に引き上げることなどを改めて要望しましたが、7日の会合と同様、「当面は現行の国庫補助率16.4%を継続しながら、準備金の取り崩しなどで対応すべき」との意見が相次ぎました。

 意見交換を踏まえ遠藤部会長は、「協会けんぽの財政状況が厳しいことは共通の認識だと考える」とした上で、今年度で期限が切れる協会けんぽへの特例措置について、「16.4%の国庫補助率や、高齢者支援金の3分の1を総報酬割にしている現行の延長はやむを得ないと受け止めたが、いかがだろうか」とまとめました。反対意見は出ませんでした。
 

(2) 健保組合における準備金の見直しについて
 

 財政状況の悪化は、協会けんぽだけではなく、大企業の加入者が多い健康保険組合も同様です。11月7日の会合で白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)は、法定準備金について「協会けんぽは1か月だが、健保組合は3か月。健保組合も非常に財政が厳しくなっており、3か月というのはあまりに長過ぎる」と指摘しました。積み立てておかなければいけない金額が多すぎるとの主張です。これを受け、28日の会合で厚労省は現行の3か月分から約2か月分に減らすことを提案しました。

 厚労省の説明では、準備金の中には解散時のリスクに備える分として、「医療給付費相当分2か月分」が含まれています。大企業が突然倒産して、保険料収入がなくなった時に診療費の支払いを賄うための準備金です。白川委員は、「1か月で十分ではないか。リスクの大小をもう一度検討してほしい」として、この2か月分を1か月分に減らす方向で検討するよう求めました。

 また、実施時期について白川委員は、「健保組合は赤字が膨らんで資金繰りに苦労しているので、ぜひ来年度から実施してほしい」と要望しました。厚労省の担当者は、「今回の取り扱いを運用して状況を把握した上で、引き下げが可能かを考えたい」と回答。実施時期については、「来年度から適用できるよう手続きを早くしたい」と応じました。[→ 続きはこちら]

 

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