「第20回日本慢性期医療学会福井大会」のご報告(3) ─ 向井千秋氏、辻哲夫氏の講演
「第20回日本慢性期医療学会福井大会」の記念講演では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙飛行士で心臓外科医の向井千秋氏が「宇宙医学に学ぶ健康長寿」をテーマに、基調講演では元厚生労働事務次官で東京大学高齢社会総合研究機構特任教授の辻哲夫氏が「超高齢社会のまちづくり~Aging in Place~」と題して講演しました。開会式の模様のほか、記念講演と基調講演の要旨をお伝えします。
開会宣言で安藤高朗副会長は、「日々の現場の取組みや努力が凝縮された発表により慢性期医療の質が向上し、慢性期医療の発展につながる大会になることを期待する」と述べました。
続いて武久洋三会長が、「これからの医療は急性期医療だけで医療が完結することはなく、慢性期医療の重要性がますます高まっている。高齢者や慢性期の患者さんの急激な増大に対し、われわれ慢性期医療を専らとする協会として何をなすべきかを真剣に考えていかなければいけない。『良質な慢性期医療がなければ日本の医療は成り立たない』と大きく宣言しているので、われわれの矜持が問われることになる」と挨拶しました。
大会長を務める池端幸彦副会長は冒頭、本大会のテーマである「慢性期医療ルネッサンス(Renaissance)」に込めた思いをこう語りました。
「慢性期医療ルネッサンスとは、直接的には近年の急性期医療一辺倒の中で、ややもすると軽視されがちであった『慢性期医療』の『復興』や『復権』にほかなりませんが、それは単にかかりつけ医の往診という昔ながらの地域医療の復活を意味するだけではなく、今、日本が直面している未曾有の災害からの復興と同じく、古いものを捨て、イノベーション・マインドに満ち溢れた新たな慢性期医療の復興・復権でなければなりません」。
その上で、池端大会長は「これから迎える超高齢社会を支える新しい慢性期医療の道を皆さんで議論し、この福井の地から世界に発信できることを祈念する」と挨拶、会場から大きな拍手がわき起こりました。本大会には国内外から多くの来賓が集まり、次々に祝辞を述べました。
開会式に続いて、向井千秋氏の記念講演、辻哲夫氏の基調講演に進みました。次ページ以降で、お二人の講演要旨をご紹介いたします。[→ 続きはこちら]
▼ 質疑応答を含む詳しい内容は、「日本慢性期医療協会誌(JMC)」次号に掲載予定です。
2012年11月29日