第212回介護給付費分科会 出席のご報告

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2022年8月26日の介護給付費分科会

 厚生労働省は8月26日、社会保障審議会(社保審)介護給付費分科会(分科会長=田中滋・埼玉県立大学理事長)の第212回会合をオンライン形式で開催し、当会から田中志子常任理事が委員として出席した。

 この日の主な議題は、①令和3年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(令和4年度調査)の調査票等、②令和4年度介護従事者処遇状況等調査の実施、③外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱い──の3項目。田中常任理事はこのうち、①と③について意見を述べた。

 田中常任理事の発言要旨は以下のとおり。

■ 令和3年度調査票等について
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 都市部、離島や中山間地域などにおける介護報酬改定に関する調査研究事業について質問したい。ケアマネージャーの確保困難に関しては以前の会議でも挙がり、本調査票に入れていただいたが、とりわけ確保が困難である主任ケアマネージャーに関しての設問が見当たらない。主任ケアマネージャーに特化した質問が必要ではないか。老健事業等が予定されているかも含めた質問である。 
 また、介護現場でのテクノロジー活用に関する調査研究事業について、ICTを導入しているかという調査が目立つ。利用者の意見聴取も含め、少なくとも現状維持以上のサービスであるという仮説に対するモニタリングが不足しているのではないかと感じている。 
 先ほど石田委員のお話にもあったが、利用者への効果がはかれていないところで、現状は機器や事業所の選定のみのために行っているように、このゴールが感じられてならない。現場や利用者へのメリットが感じにくいと感じている。アウトカムの可視化も不明瞭なため、その研究に時間を使う必要があるのではないか。導入しているかどうかのウェイト感が高いように感じられるので、その段階から次の段階に行くべきではないかという意見である。

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【厚労省老健局認知症施策・地域介護推進課・笹子宗一郎課長】
 本日お諮りしているのは、小規模多機能あるいは看護小規模多機能居宅介護に係る前回の改定事項に関する調査研究事業ということでお諮りしているものであるので、この中でケアマネージャーの確保に関する質問を入れることは困難である。 
 ただ、令和3年度の介護報酬改定において適切なケアマネジメントの質の確保および公正・中立性を確保するための取組に関する効果検証はしっかりとやっていくべきということであるので、委員のご指摘を踏まえて、どのようなことができるかも含めて検討していきたい。

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■ 外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱いについて
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 結論から申し上げると、日本人と同等に取り扱うこと、基準に算入することに関しては大賛成である。その理由は、日本人の転職組、介護の経験の全くない方が入職されたときに、その方たちがすぐにコミュニケーションが上手に取れるかなど、現場の負担なく自立できるかということになると、これは外国人の方と全く変わりがないような教育の必要があると思っている。 
 その中で、家族の方々がイメージされているように、いきなり直接介護に関わるわけではなく、ラダーに基づいて周辺業務から介護を行うことがほとんどだと思っている。そういった意味では、そのような大きな不安なく、しっかりと現場で育成ができるであろうし、育成ができるところが、算定もできる方向に進んでいくのではないかと考えるからである。
 しかしながら、これまでの委員のお話にあったように、調査2-1など、n数の不足に関しては、これを根拠として、この分科会でものを言っていいのかどうかに関しては甚だ私も疑問が残る。そのため、もう少し皆さまに理解していただけるような調査研究のデータがあれば、そちらのほうに差し替えて提出するのはどうか。 
 先ほど鎌田委員からお話があったが、EPAの方たちが働いている施設が現状のとおりでいいと6割が言っているというのは、おそらく2-2のスライドをおっしゃっていたと思う。少し疑問に思うのが、この一番下の*印の所に「外国人介護職員を算入しなければ介護職員の基本の配置基準を満たしていない施設・事業所を対象としている」と、わざわざ書かれている。もしそうだとすると、この外国人の方々が配置基準に上がってこないと、この事業所はより配置基準を割ってしまうというような事業所なのではないかと考えると、本当にこの回答で合っているのかどうか。対象の事業所を、あえてこの配置基準を満たしていない事業所に振る意味があったのかどうかについても質問したい。 
 結論から言えば、日本人と同じように働いている外国人が多数いらっしゃるので、平等性の担保をするべきであるし、より多くの外国人労働者の方が日本で働く機会を与えるということに関しても、算入できるかたちに要件を緩和することに賛成する。

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【厚労省老健局高齢者支援課・須藤明彦課長】
 8ページの*印の所、「外国人介護職員を算入しなければ介護職員の基本の配置基準を満たしていない施設・事業所を対象としている」という点については、6カ月未満の方をどうこうではなくて、全ての該当する外国人、現行では6カ月以上で算入になる。それを算入しなければということで、6カ月未満かどうかではなく、一般的に、その外国人介護職員を現状の基準で算入しなければ満たさなくなってしまうということで書いている。全て今、お答えいただいたところも、しっかりと3対1の基準は当然ながら満たしていただいている施設等である。ちょっと書きぶりが誤解を招きかねない記載であったことは反省点である。
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■ 外国人介護人材の就労実態に関する調査について
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 続けて質問する。そうであれば、回答している事業所はより多くの外国人労働者を抱えている可能性があるのではないかとも考えられる。いずれにしても、基準を満たしていない事業所に集めなければいけなかったかについても検討する必要はあるのではないか。

                          (取材・執筆=新井裕充) 

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