衆議院厚生労働委員会に武久会長が参考人として出席

会長メッセージ 協会の活動等 官公庁・関係団体等

衆議院厚生労働委員会に武久会長が参考人として出席

 平成29年4月11日に開催された衆議院厚生労働委員会に、武久洋三会長が参考人として出席されました。
 本委員会は、「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法の一部を改正する法律案」「将来にわたる質の高い介護サービスの提供の確保等のための介護保険法等の一部を改正する法律案」および「介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案」の審査のため、参考人の意見を聞くものです。

★ 武久会長のご発言の模様は、衆議院ビデオライブラリにアップされておりますので、こちらもご覧ください。 → http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=47016&media_type=fp

 参考人は、鈴木邦彦先生(日本医師会常任理事)、田部井康夫先生(認知症の人と家族の会副代表理事)、遠藤久夫先生(国立社会保障・人口問題研究所所長)、山田智先生(全日本民主医療機関連合会副会長)と、当会の武久洋三会長の5名が出席し、それぞれの立場から各15分の意見を述べました。

 武久会長の意見陳述では、人口構造が変化し2055年には、75歳以上の高齢者の入院患者が100万人を超えると予想され、社会保障に係る費用は莫大なものとなる。しかし、日本の平均在院日数は現在、アメリカ、ヨーロッパ諸国の数倍となっており、病院の機能に多くのものを含みすぎているのではないか。昨今、病院の機能分化が進められているところであるが、急性期病院の機能を急性期にもっと特化し、現在の75歳以上の入院患者約70万人のうち、50万人が地域包括ケア病棟などの1日2.5万円の入院費で済むとすれば、急性期での入院に比べ一人当たり2万円の差が生じ、年間で約3兆6,500億円の効率化が図れると試算できる。寝たきり、フレイルやサルコペニアを防ぎ、在宅復帰をさせるためには、急性期でのリハビリテーションを充実させるとともに、急性期治療を終えた早期の段階で総合診療医が診る地域多機能型の慢性期医療に患者を移すことが求められている。低栄養や脱水などの治療可能な状態がターミナルと診断されることにないよう、良質な慢性期医療でこれからの高齢社会を支えていくことが求められている、と述べられました。

 衆議院からの質問者は、自民党 白須賀貴樹先生、民進党 初鹿明博先生、公明党 桝屋敬悟先生、共産党 堀内照文先生、維新の党 河野正美先生の5名でした。質問は、保険給付の重点化、効率化、公平化という観点をベースに置き、利用者の2割負担が導入されて間がないにもかかわらず、3割負担の導入についてどう思うか、介護職員の処遇改善をどう考えるか、介護医療院への転換をどう考えるか、等について各参考人に意見を求められました。
 
 武久会長は、まず利用者2割負担の導入については今後の検証を行わなければならないが、在宅療養では家族が同居していてもヘルパーの利用が大半を占めるというケースもあり、保険を使い個人の財産を残すという方向を避けるよう、リバースモーゲージなども考えていかなければならないのではないか。
 介護職員の処遇改善は、現在、介護保険のみに適用され、医療保険は適用外だ。しかし、病院には、医療保険の病床と介護保険の病床があるし、病院から介護保険施設への異動もある。職員の配置場所によって給料が異なるということは出来ないため、どこに配置されても同じ給料となるよう病院側で負担している。処遇改善は医療分野と介護分野で統一すべきである。また、病院での介護職員は看護助手ということになるが、介護福祉士が国家資格であるように、介護は独立した分野であり、介護の位置づけを明確にするべきである。
 介護医療院の大きなメリットは病院内に作られることである。病状の急変時には建物内の医療スタッフがすぐに対応でき、利用者とって安心感がある。病院の機能分化を進め、病床を介護医療院に転換すれば新たなコストも抑えることができる。介護医療院には、一般病床からも転換を希望する声が上がっているので、是非、持続可能な制度として進めていただきたい。
今後の課題は、いかに要介護者を減らし、健康寿命と平均寿命の差を縮めていくことではないだろうか、と答えられました。
 

この記事を印刷する この記事を印刷する

« »