日病協「第130回代表者会議」 出席のご報告

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日病協「第130回代表者会議」 出席のご報告

 平成27年8月21日(金)、日本病院団体協議会(日病協)の「第130回代表者会議」が開催されました。12病院団体から計19名が会議に出席し、当会からは武久洋三会長と中川翼副会長が出席いたしました。

 会議では、7月22日までに開催された中医協の分科会や、第120回診療報酬実務者会議などについて報告、検討が行われました。

 中医協の分科会については、それぞれにご出席の委員より報告がなされました。委員からの報告を受け、武久会長は以下のような発言をされました。

・地域包括ケア病棟と短期滞在手術等基本料について
 「本来は出来高であり、包括は失敗であったとは担当官も認めている。手術料が包括化されたままでは7対1の病床は減らないだろう。地域包括ケア病棟での手術は重要である。地域医療構想策定ガイドライン検討会でも問題にされたが、地域包括ケア病棟は病床機能報告制度の4つの機能のうち、どこに分類されるのが適切だろうか。地域包括ケア病棟は地域急性期機能を担い地域の急性期ニーズに対応することで、広域の救急を担う急性期病棟と機能を分けられるのではないかと考えている」

・DPCについて
 「療養病床については、昨年10月の時点で542件のDPCデータが提出されている。データを提出した療養病床のほとんどが医療療養20:1の病院であるため、ポジティブデータとなり、在宅と同程度という前提が崩れるので公表したくないのではないだろうか。療養病床20:1を算定する病床の半数近くがDPCデータを提出するとなると、療養病床の機能も明らかになるだろう。その結果、機能が十分でないとして切り捨てられる病院のないよう、努力したい」
 
・入院医療等の調査・評価分科会について
 「入院医療等の調査・評価分科会は非常に重要な分科会である。現行の医療区分は慢性期の実態にそぐわないため、積極的にデータを出して適正なものにしてほしい。また、今は社会的ネットワークの時代であり、隠し通せる情報はないので、各病院で得られた調査結果は正確なものを提出してほしい。出席委員には病院に不利のないよう、議論をソフトランディングさせてほしい」
 
・サブアキュート機能について
 「救急の場面では、実際に軽度・中度の救急もある。患者の状態の判断は、現場に向かった救急救命士がある程度のトリアージを行い、搬送する病院を選択している。これらの中軽度の症状を三次救急で対応していることが問題。現実に迷惑救急も存在するため、中軽度救急の役割はサブアキュートが分担するべきである。
 私の病院では地域包括ケア病棟を算定し、救急指定を取得した。毎月8~9件の救急受入れがある。24時間主治医だと、患者が来れば診なければならない。地域包括ケア病棟を算定するならば、このようなサブアキュート機能が求められる」
 

・今後の急性期病床について
 「7対1入院基本料からの移行先としては10:1入院基本料あるいは地域包括ケア病棟が考えられる。現時点ではどちらにも移行できるが、今後は地域包括ケア病棟のみに移行先が絞られることは確実だろう。地域包括ケア病棟でも、救急対応をするのであれば10:1程度の看護配置が必要となってくる。
 今後の改定で『10:1の病床を地域包括ケア病棟とする』などということになれば、それこそ急性期の病院は7対1から5:1に、さらに3:1となるのは確実。地域急性期もリスクをもって対応しないと厳しい。
 7対1病棟からの在宅復帰率の基準を引き上げられると、継続して7対1入院基本料を算定できなくなる病院が多く出てくることも考えられる。
 重症度、医療・看護必要度についても、重症者の割合が15%から引き上げられるかもしれない。医師による指示の見直しの頻度に関する基準が緩和されても、病床に占める重症者の割合が20%に引き上げられてしまえば大きな問題である。
 このような大きな流れは変わらない。各団体とも楽観主義はやめ、会員を守るためにも最悪の事態を考えて情報を発信していくべきである」

・消費税について
 「病院団体は2度大きな失敗をした。消費税導入時の対応と、今回の高額還付である。
 消費税は10%から15%、それ以上に増税されることは間違いない。建物は消耗品ではなく不動産であるため、本来であれば消費税は課されない。しかし、固定資産税のほかに消費税を課されてしまえば20年で建物の価値の半分を税として納めなければならない。
 また建物の老朽化により、今後10年間で7割の病院が建て直しを必要とするようになる。病院を建て直す予算を確保できなければ、よい環境で治療を受けることができない国民が迷惑を被る。
 建物や設備など消費税による還付ではなく、基金等からの補助金とするように多方面で発言をしているところである。一般企業では、収益を上げることにより建物の改築にかかる費用をペイできる。しかし医療機関の目的は収益を上げることではない。財務省ではなく政界に訴えかけるべきであろう」
 
 第120回診療報酬実務者会議の報告は、猪口雄二氏(診療報酬実務者会議委員長)からなされました。また、次回の診療報酬実務者会議から原澤茂氏(全国公私病院連盟常務理事)が委員長となるため、代表者会議に「診療報酬実務者会議委員長」として出席することを承認してほしいという要望が実務者会議から出されました。代表者会議では全会一致でこの要望を承認しました。
 

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