第81回社会保障審議会医療保険部会 出席のご報告

会長メッセージ 審議会

第81回社会保障審議会医療保険部会出席のご報告

 平成26年10月6日、全国都市会館にて「第81回社会保障審議会医療保険部会」が開催され、当会からは委員として武久洋三会長が出席いたしました。
 今回は医療保険制度改革について議論が行われ、特に高齢者医療制度、被用者保険の適用範囲といった内容について議論が行われました。
 
 医療保険は現在、被用者保険と国民健康保険によって支えられていますが、所得が高く医療費の低い現役世代が被用者保険に多く加入する一方、退職して所得が低下し医療費は高くなっていく高齢者は国民健康保険に移行していく、という構造上の問題があります。国民健康保険の赤字構造の見直しや、保険者間の負担の公平性の確保については以前の部会から議論が重ねられており、今回は後期高齢者支援金の加入者割から総報酬割への移行についての提案が行われました。現在、75歳以上の医療給付費の四割が現役世代の保険料による後期高齢者支援金によって賄われておりますが、加入者数に応じて負担を算定する現行の制度では財政力の弱い保険者の負担が大きくなるため、負担の公平性の観点から、保険者の財政力に応じた負担を求める総報酬割への移行が進められています。今回の部会では、総報酬割の導入により生じた財源の使途等について議論が過熱し、同議題については引き続き議論を行っていくこととなりました。
 
 また、被用者保険について、短時間労働者への適用拡大の議論も行われました。これは被用者保険の適用範囲の拡大により、社会保険の格差を是正しようというもので、現行の適用要件である週30時間以上を週20時間以上に改める等の制度改定により、約25万人の短時間労働者が新たに保険適用となります。上記の全面報酬割の導入に伴い、保険者負担の激変緩和策として行われている加入者数による案分が行われなくなるため、新たな緩和策の必要性について議論が行われました。
 武久会長はこの問題について触れ、中小病院や診療所のような強い経営基盤を持たず、短時間労働者を多く抱える所にとっては負担増となることから、何らかの国費の投入がなされるべきではないかと述べられました。
 

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