医療介護連携、「継続して議論を」 ── 井川副会長、介護保険部会で

協会の活動等 審議会 役員メッセージ

井川副会長_20251215介護保険部会

 介護保険制度の見直しに関する意見(案)が示された厚生労働省の会合で、日本慢性期医療協会の井川誠一郎副会長は「超高齢化社会に突入した日本において、重要となるのは医療と介護の連携であるということは言うまでもない」とした上で、「介護給付費分科会と中医協の間の議論は継続して行っていく必要がある」と述べた。

 厚労省は12月15日、社会保障審議会(社保審)介護保険部会(部会長=菊池馨実・早稲田大学理事・法学学術院教授)の第131回会合を開催し、当会から橋本康子会長の代理として井川副会長が出席した。

 厚労省は同日の部会に、これまでの議論を踏まえた「介護保険制度の見直しに関する意見(案)」のほか、同意見書に反映させる内容として「論点ごとの議論の状況(持続可能性の確保)」、その「補足資料」を示し、委員の意見を聴いた。

.

当部会の意見を踏まえた取りまとめ

 質疑では、「全体として部会の意見を反映した適切な文章になっている」、「当部会の意見を踏まえた取りまとめになっており異論はない」との意見が多かったが、修正意見もあった。

 山本則子委員(日本看護協会副会長)は「2040年に向かい、地域による違いはあるものの、介護サービスの需要の増加への対応を確保するとともに、サービスの質の担保、質の向上が極めて重要」との認識を示した上で、「報告書案2ページ目の37行目、『必要なサービス』を、『必要な質の高いサービス』としてはどうか」と提案した。

 山本委員はまた、「3ページ目の87行目からの生産性向上による職場環境改善の取組は、介護人材確保のみならず、利用者へのケアの質向上も同時に目指すものであることを明記してはどうか」と求めた。ほかの委員からもさまざまな意見があった。

 この日の議論を終え、菊池部会長は「複数の委員からさまざまなご意見をいただいたが、方向性や内容自体には特に意見がないという委員も多数おられた」とし、「これから事務局との個別の調整をお願いする作業になると思うが、ぜひ委員の皆さまのお知恵を拝借できればと思っているので、よろしくお願い申し上げる」とまとめた。

 井川副会長は「私どもの申し上げてきた意見はおおむね反映されており、異論はない」と意見書案に賛同した上で、今後の課題を指摘した。井川副会長の発言要旨は以下のとおり。

.

介護保険制度の見直しに関する意見(案)について

[井川誠一郎副会長]
 介護保険制度の見直しに関する意見(案)に関しては、財政上の観点から一部やむなしといったところもあるが、私どもの申し上げてきた意見はおおむね反映されており、とりわけ異論はない。

 その上で、意見として申し上げる。超高齢化社会に突入した日本において、かつて医療的処置、手術の適応外とされていた高齢者もその多くが対象となってきている。 さらに、高齢化により認知症を含めたマルチモビディティ、多疾患併存の高齢者は増加の一途をたどっている。

 一方で、病床の削減が目標とされている現在、慢性期病床も例外ではなく、長期の入院は難しい状況となってきている。このことは、従来であれば長期入院となっていたであろう患者の多くが介護保険施設や在宅での医療処置や内科的治療を継続しつつ生活しなければならないという状況に突入していることを意味している。

 この状況下で、重要となるのは医療と介護の連携であるのは言うまでもない。16ページの529行目には、2番目の項目として「医療・介護連携の推進」について詳細が書かれている。 

 17ページの560行目には、「都道府県と市町村が共通の課題認識をもち、市町村を越えた広域的な議論を行い、必要な取組を進めることが求められる」と、地方での連携推進に関しては記載されている。

 一方、2017年、2023年の診療報酬・介護報酬の同時改定時には、同時報酬改定に向けた意見交換会というものが介護給付費分科会と中医協との間で実施されたが、改定のサイクルが異なるため、同時改定時の6年ごとにしか実施、議論されていない。

 医療と介護の連携を重要と考えるのであれば、連携に関することは個々の改定時の内容にも反映されるべきであり、改定サイクルを合わせることができないのであれば、せめて介護給付費分科会と中医協の間の議論というのは、継続して行っていく必要があるのではないかと私は考えている。

 また、医療と介護の連携の中でキーパーソンとなるのが、介護支援専門員、いわゆるケアマネジャーであるが、実際に業務に従事しておられるケアマネジャーの多くが現在、医療内容の履修が養成課程でほとんどない介護福祉士となっている。
.

01スライド_28ページ

.

 今後、増加する要医療介護者に対応するには、28ページ、983行目にあるように、多様な背景を持つケアマネジャーを数多く養成することも重要だが、医療的知識に関する研修を実施することも必要だろうと考える。
.

02スライド_29ページ

.
 
 ただし、29ページ、1020行目のように、ある程度、「定期的な研修」が必要だということは認識されておられるが、時間的な短縮も必要ということになると、その中身をきっちりとしたものに変えていく必要があるのではないかと考えている。
   
 ところで、補足資料から1点、質問させていただきたい。21ページの棒グラフ。「補足給付に関する給付の在り方」ということで、細かく年収別に「第3段階①」をア・イ、「第3段階②」をア・イに分けて、資料をお示しいただいている。
.

03スライド_21ページ

.
 
 これを見ると、「第3段階②イ」は100万円超で、120万以下という項目の方の上乗せ部分、ご本人負担がほかのところに比べて高くなってしまう。これは1万円を超える金額になるので、本人負担が結構大きいという気がするが、それはそれでよろしいのか、お伺いしたい。

【厚労省担当者の発言要旨】
 具体的な額については今後、検討したいと思っている。ただ、考え方としてはバランスを取るということで、「第3段階①ア」が、その年金収入の一番左が6.9万円で負担額との差はかなり小さい。これは多床室のケースだが、この負担感よりは小さい負担感に設定するということで額を設定したいと思う。したがって、今一番、負担感が高い区分よりは少ない負担感になるように配慮したいと考えている。

.
この記事を印刷する この記事を印刷する


« »