医療者にもLIFEの啓蒙を ── LIFE検討会で、中尾副会長
令和9年度介護報酬改定に向け、科学的介護情報システム(LIFE)の見直しに関する検討を進めている厚生労働省は1月26日の会合に「議論の整理(案)」を示し、大筋で了承された。今後に向け、中尾一久副会長は「医療と介護の循環を踏まえ、医療者にもLIFEを啓蒙する必要がある」と述べた。
国立長寿医療研究センターは同日、厚労省老健局老人保健課の協力を得て「科学的介護情報システム(LIFE)のあり方」検討会(座長=秋下雅弘・東京都健康長寿医療センター理事長兼センター長)の第4回会合を開き、当会から中尾副会長が構成員として出席した。
「議論の整理(案)」は7項目で構成。①はじめに、②LIFEの目的、③フィードバック、④LIFE関連加算の構造、⑤LIFEへの提出項目の整理の観点、⑥対象サービスの範囲、⑦今後の検討方針──について、昨年9月から3回にわたり検討した内容が反映されている。
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利用者のケア改善となるよう活用を
「議論の整理(案)」では、令和9年度の介護報酬改定を見据え、LIFEのさらなる活用促進と介護現場における事務負担の軽減に向けた制度の抜本的な見直し方針が示されている。
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今回のとりまとめにおける主なポイントは、「LIFE関連加算の構造」の見直し。現行制度では、加算ごとにデータ入力が求められるため、複数の加算を算定する際に入力項目の重複が生じ、現場の過度な負担となっている課題があった。
これに対し、今回の整理案では「科学的介護推進体制加算」を分野横断的に基礎的な情報を収集する「1階層目」の加算と位置づけ、その他の専門的なLIFE関連加算を、その上に積み上げる「2階層目」とする2階層構造への転換が提言された。これにより、重複入力の解消とデータ収集の効率化が図られる見通し。
また、LIFEの目的については、「利用者フィードバック」「事業所フィードバック」「データ活用」の3つの経路に再整理された。このうち「利用者フィードバック」については、「個々の利用者のケアを改善するにあたって有用なものとなるよう取り組んでいくべき」、「利用者のケア改善となるよう、LIFEデータの活用を考えていくべき」としている。
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介護と医療の情報共有ができていない
質疑で、松田晋哉座長代理(福岡国際医療福祉大学看護学部教授)は今後の課題として「利用者へのフィードバック」を挙げ、「利用者が何を見て何を評価したらいいのかについて事前の知識がない状態ではコミュニケーションが難しくなる」と懸念。「LIFEを利用者にフィードバックするときに、利用者がどのようにそれを解釈し、活用するのか、あまり議論がなかった」と指摘した上で、「利用者に対するLIFEの教育も必要ではないか」と問題提起した。
中尾副会長は「利用者の視点は本当に大事」と賛意を示した上で、医療介護連携の視点から「LIFEの存在を医療機関や医療者に、もっと知らしめる必要がある」との考えを示した。松田座長代理は「要介護認定の調査票も見たことがない医師が多い。介護と医療の情報共有ができていない」と同意し、「医療者とのLIFEの知識の共有は非常に大事なので、そうした取り組みを進めるべき」と述べた。
【中尾一久副会長の発言要旨】
今の松田先生がおっしゃった利用者の視点も本当に大事だと思う。高齢者は医療と介護の間を循環していることを踏まえると、LIFEの存在を医療機関や医療者がほぼ知らないことも実は大事な点だと思う。そのため、医療者にもLIFEの啓蒙をしていただくことが必要ではないか。LIFEを知らない、さらには、どういう項目があるかも全く知らない。医療的ケアが終わって介護につなぐときに、どういう項目があるかを知っていれば申し送りができるので、LIFEのことをもっと医療機関にも知らしめる必要がある。
西村一弘構成員(日本栄養士会常任理事)も「医療にLIFEがなかなか普及していかない。知らない人たちが多いことも問題」とし、「在宅で訪問栄養指導などを進めるにあたって、LIFEの共通理解が必要」と指摘した。その上で、「診療報酬の訪問栄養食事指導、介護報酬の居宅療養管理指導を共通して進めるような形を検討していただければいい」と述べた。
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介護給付費分科会等へ報告
とりまとめの議論を終え、国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センターの島田裕之センター長の挨拶を事務局が代読。「これまでに頂戴した貴重な意見は本検討会の最終的な成果として事務局が責任を持ってとりまとめ、介護給付費分科会等への報告へとつなげていく」と述べた。
【島田裕之センター長の挨拶】
本日はご多忙の折、第4回「科学的介護情報システム(LIFE)のあり方」検討会にご出席いただき、誠にありがとうございました。また、これまでの全4回にわたる集中的なご議論に対し、委員の皆様には多大なるご尽力を賜りましたこと、この場をお借りして心より厚くお礼申し上げます。
本検討会では、LIFEの導入からこれまでの歩みを振り返りつつ、現場の入力負担の軽減やエビデンスに基づくデータの活用、さらにはLIFE関連加算の構造や見直しの観点など多岐にわたる重要なテーマについて議論を重ねてまいりました。
委員の皆様方からは、現場の実態に即した運用上の課題から将来的なデータ利活用のビジョンに至るまで多角的な視点から極めて示唆に富むご提言をいただきました。
これまでに頂戴いたしました貴重なご意見は、本検討会の最終的な成果として事務局が責任を持ってとりまとめを行い、介護給付費分科会等への報告へとつなげていく所存です。
LIFEが現場の皆様にとって真に有用なツールとなり、利用者様の自立支援、重度化防止に寄与できるよう、引き続き尽力してまいります。
2026年1月27日


