在宅での看取り、病院の役割は?

役員メッセージ

日本の風景-085

■ 講演
 

 1. 湧波淳子氏(沖縄県・北中城若松病院理事長)

 湧波先生の病院は以前から終末期医療にとても熱心に取り組んでいると聞いていた。したがって、今回のシンポジストの最初にご登場していただいた。

 先生の病院では、ターミナルカンファレンス、死亡後カンファレンスが実施されていることを述べられた。また、法人内にチャプレンが4名勤務しており、終末期の心のケアを患者さん、ご家族に行っていることを述べた。

 チャプレンの存在は、病院の設立母体にもよろうが、全国的にもあまり例がないことのように思われ、素晴らしい実践と思われる。

 また、亡くなられた方の「しのぶ会」を1年に1回行っていた。先生のご発表はアンケートからも好評であった。

2. 平田済氏(福岡県・たたらリハビリテーション病院院長)

 平田先生は、日本慢性期医療協会で実施した調査の報告をされた。医療保険病床の回収患者数28,102名のうち経管栄養の患者数は11,750名、41.8%であり、そのうち、胃ろうは28.8%と報告された。

 先生は、高齢者の認知症患者に人工栄養を差し控える場合に、どのような過程をクリアすべきか考察された。

 2010年3月から月1回ランチタイムに、終末期ケア研究会を各職種が参加して実施している。この会で死生観、終末期医療のガイドライン等を検討している。今後は事例検討を深めたいと述べられた。

 さらに、DNRの指示の患者には、弁護士1名、住民代表1名を含む倫理委員会で検討している。この委員会では、意思確認の不十分さを指摘されることが多いという。

 倫理委員会の開催は極めて真摯な態度であると思われるが、私の病院ではほとんどがDNR希望の患者であることを考えると、ここまで検討が必要かとも考えさせられたが、いかがであろうか。当日時間がなく、平田先生にこの件について質問できなかった。
 

この記事を印刷する この記事を印刷する

1 2 3 4

« »