在宅での看取り、病院の役割は?

急性期から慢性期、そして自宅に戻って療養した後、元気に社会復帰することが望ましいのですが、回復しないまま「終末期」という出口もあります。
在宅での看取りについて、札幌市の定山渓病院院長で日本慢性期医療協会副会長の中川翼氏は、「いまだ訪問診療・看護の献身的な業務に依存せざるを得ない現状がある。その過程で病院の役割も見直されているのではないか」と問いかけます。
今年6月、札幌市内で開かれた「第19回日本慢性期医療学会」を振り返り、中川氏がJMC77号に寄稿した「END-OF-LIFE-CARE~患者・家族の意思と病院の役割~」をご紹介します。
終末期医療・看護では、
医療者側と利用者側の認識、意思を共通にすること
これまで、日本慢性期医療学会では、終末期についてのシンポジウムを継続的に行ってきた。毎年のシンポジウムは押しなべて好評であり、多くの学びがあったとの意見も聞こえていた。
ただ、私としてはマンネリ化を避ける観点からも、今回は「END-OF-LIFE CARE~患者・家族の意思と病院の役割~」というテーマにし、多彩なシンポジストにご登壇いただくこととした。
今回意図したことは、
① 「終末期」という言葉は少し暗いイメージが漂うことから変えてみた。
② 終末期医療では特に、医療者側と利用者側の認識、意思を共通にすることが求められる。そこを強調してみた。
③ 終末期医療における病院の役割である。
在宅での看取りには、未だ訪問診療・看護の献身的な業務に依存せざるを得ない現状がある。
その過程で病院の役割も見直されているのではないかと考えた。
④ 今回、日本慢性期医療協会の参与になられた岡田玲一郎先生のご提案で、市民公開にした。
⑤ 本年5月に開催された、老人の専門医療を考える会のシンポジウム「胃ろうの現状と課題」の座長を勤めた桑名斉先生(信愛病院院長)にも、その内容の一部をお話していただいた。

2011年10月1日