記者会見(9月13日)のご報告
設立20周年を迎え、日本慢性期医療協会(日慢協)は9月13日、記者会見を開きました。主な内容は、▽「在宅療養家族講座」開講のご案内 ▽設立20周年を迎えて ▽これからの日本慢性期医療協会の活動方針──です。武久洋三会長は、「介護療養型医療施設の廃止の撤廃を強く宣言したい。平成26年度の診療報酬改定、平成27年度の介護報酬改定に向け、強く訴えていきたい」と述べました。
■ 「在宅療養家族講座」開講のご案内
冒頭、武久会長が9月15日開講の「在宅医療認定医講座」について説明。「医療の質は入院医療について多く語られることが多いが、在宅医療についての診療の質も非常に重要だ。在宅には病院のようにCTもMRIもエコーもない。そういう所で診断、治療を行うための知識や技術を持っていなければいけない」と開講趣旨を述べました。
その上で、在宅患者を介護している家族らが抱えている問題に触れ、「地域包括ケアシステムの実現に必要な環境はまだ不十分であるため、主な介護者であるご家族のために無料で研修講座を行いたい」として、11月25日(大阪会場)、12月15日(東京会場)開催予定の「在宅療養家族講座」(定員各100人)について説明しました(「在宅療養家族講座」のチラシはこちら)。
武久会長は、「喀痰吸引や体位変換の仕方などについて十分な知識がないまま、いきなり病人の世話をする環境に追い込まれるご家族は、非常に頭が混乱して、いわゆるレスパイトも起こる。在宅療養を支える患者さんの周辺の生活トータルをわれわれ日慢協がカバーしていきたい。できるだけ多くの方々にご参加いただき、よりよい療養支援の方法を身に付けてほしい」と呼びかけました。
■ これからの活動方針
武久会長はまず、日慢協が平成4年に「介護力強化病院連絡協議会」として発足してから現在に至るまでの経緯を説明した上で、「20年間、闘いの連続だった。20周年を迎えて、まさに感無量だ」と述べました。
今後の活動については、「平成18年に行われた医療政策が医療界に混乱をもたらしたと言っても過言ではない」として、介護療養型医療施設の廃止を撤廃するよう強く求めていく考えを示しました。
清水紘副会長は、「医療と介護を同時に提供できる機能を持つ施設が必要であるということは厚労省も認識しているので、そうした機能を持つ施設は間違いなく残る」とした上で、「ただ、どういう形態や名称で残るかは分からない。会員の中には、そういう機能を持つ施設を『病院』として残したいとの声もある」と述べました。
療養病床の削減をめぐっては、平成18年の医療制度改革の一環として、療養病床38万床を15万床まで削減する方針が医療費適正化計画の中に盛り込まれました。当時、医療保険適用の「医療療養病床」は25万床、介護保険適用の「介護療養病床」は13万床ありましたが、このうち医療療養病床を10万床削減し、介護療養病床の13万床を全廃する方針でした。
武久会長は、「平成25年以降の医療費適正化計画には、『療養病床を15万床に削減する』という記載がなくなったので、厚生労働省は医療療養病床の削減を行わない方針となったと言える。介護療養型医療施設を廃止する前提となった『医療療養病床の削減』がなくなった以上、介護療養病床の廃止もあり得ない」とした上で、「介護療養型医療施設の廃止の撤廃を強く宣言したい。平成26年度の診療報酬改定、平成27年度の介護報酬改定に向け、強く訴えていきたい」と述べました。
武久会長はまた、平成18年度の診療報酬改定で創設された「7対1入院基本料」にも触れ、「7対1を導入したために、当初2~3万床と予定していた算定病床数が30万床を超えたり10対1病床がばく大に増えたりして、『我こそが急性期医療だ』という病床が60万床になってしまった」と指摘、「平成18年体制から少しずつ変わっていくことが必要だ」と述べました。
2012年9月14日