「設立20周年記念祝賀会」のご報告(1)

協会の活動等

設立20周年記念祝賀会

 日本慢性期医療協会(日慢協)は9月13日、東京都港区のホテルオークラ東京で、「設立20周年記念祝賀会」を開催しました。会場には、衆参議員や厚生労働省幹部のほか、関係団体の役員ら総勢700人以上が駆け付け、盛大に行われました。

中川翼副会長 開会の挨拶で、中川翼副会長が日慢協の沿革や主要事業などを説明、「本日の機会を通して日本慢性期医療協会が発展、向上し、我々も研鑽していきたいと願っている」と述べると、会場から大きな拍手がわき起こりました。

武久洋三会長 武久洋三会長は、「2025年に向け、ご病気の高齢者がどんどん増えるが療養病床数は増えない。急性期病院の平均在院日数がどんどん短くなると、退院された患者さんを引き受けるのは慢性期医療であり、在宅にも多くの患者さんがいる。本日これほど多くの方々が集まってくれたということは、慢性期医療に対する期待だ」と挨拶しました。
 
 その上で、「今、その重責をひしひしと感じている。良質な慢性期医療を提供することが日本の医療を良くすることだと信じ、これからも邁進していきたい」と抱負を述べました。

 続いて、衆参議員や厚生労働省幹部、関係団体の役員らが祝辞を述べ、表彰、鏡開き、乾杯へと進みました。以下、ご発言の要旨をご紹介いたします。
 

■ 横倉義武氏(日本医師会会長)
 

 武久先生は非常にパワーがあり、実行力と発言力を兼ね備えている。日ごろからお付き合いをする中で、非常に頼もしく思っている。

 今後、高齢化に伴い慢性期の患者さんが増える。多くの患者さんをケアできるかという「数の問題」がある。それから、質をどう上げていくかという「質の問題」がある。

日本医師会・横倉会長 近年、「縛らない医療」と言われる。平成10年の第6回福岡大会で発信された「抑制廃止福岡宣言」を契機として、現在の「縛らない医療」につながった。このように、慢性期医療の質を向上させる活動を長年続けられていることは、非常に素晴らしいと思っている。

 これから急速な高齢化が進む。そうした中で、どのように地域の医療をつくっていくか。必要な施設をつくろうとしても、とても間に合わない。そうすると、在宅でのケアも必要になってくる。それと同時に、在宅患者さんが悪化した場合に引き受ける医療機関が重要になってくる。

 その時、日慢協が活動された実績を踏まえ、それぞれの地域で慢性期医療をサポートする医療機関が非常に重要性を増してくる。そういう意味で、武久先生がさらに強い行動力と発言力で頑張っていかれると思う。協会の皆様方みんなで日本の高齢化社会をしっかりと支えるべく頑張っていただきたい。
 

■ 仙谷由人氏(衆議院議員)
 

仙谷由人氏 先月、全国20の政令指定都市と東京23区の2012年度の生活保護費が合計で約1兆7000億円になったという新聞報道があり、非常に驚いた。高齢化に伴い、高齢者の生活環境が非常にミゼラブルで、かつ不労所得も大変厳しい。都市部ではさらに厳しい状況になっている。慢性期医療がどのように対応していくのか、社会的な問題になりつつある。これからの日本の大きな課題である。

 最近、個人的に勉強会を始めた。認知症をめぐる問題について諸外国はどのように対応しているのか。これは、皆さんご承知のように国家的な課題として取り組まなければならない大問題である。海外では、大統領や総理大臣直属の戦略本部をつくって取り組んでいる国もある。

 英国のキャメロン首相は、NHS(National Health Service)の医療費に対する国の歳出をガタガタに切り刻んでいると言われるが、認知症だけは減額しないで力を入れていると聞いている。しかし日本は、認知症を脳の病気としてきちんと位置付けて病巣を確定しながら治療したり、あるいはご家族の心理的なケアをしたりするような「チーム医療」まで深く入り込めていないとの報告もある。

 日本もいよいよ、慢性期医療のプロフェッショナルの皆様方が力を合わせて、日本社会で大きな問題になりつつある慢性期医療、特に高齢者の医療に本格的に取り組まなければならない。そんな思いを寄せながら、この場にいる。日本慢性期医療協会が20年間積み上げた実績を基に、これからも皆様方の力で日本の社会を支えていただくようお願いを申し上げる。
 

■ 中村博彦氏(参議院議員)
 

中村博彦氏 武久会長は、私の中学時代の1年先輩。本当に素晴らしい先輩を持って嬉しく思っている。

 5年後、介護療養病床が廃止されるかが問題だ。今のような「収容所的医療」ではなくなるだろう。特別養護老人ホームが科学的介護をしなければ、特養は中村秀一路線の通り、解体される。

 医療の質を求める時が来た。介護の質を求める時が来た。慢性期医療の質の向上に努める武久先輩を尊敬している。日本慢性期医療協会のさらなる10年、さらなる50年を目指していただき、頑張っていただくことを願う。
 

■ 古川元久氏(衆議院議員)
 

古川元久氏 現在、国家戦略担当大臣を拝命している。医療イノベーション推進室の担当大臣でもあり、6月には「医療イノベーション5か年戦略」をまとめた。医療分野はさまざまな可能性を秘めている。また、日本の医療は世界に誇るべき素晴らしい仕組みを備えている。

 今後、日本が世界のモデルをどんどんつくって世界に示していくことが日本の責務であり、日本の経済的な成長にもつながると考えている。そうした意味で、慢性期医療に関わる皆様方の役割はこれから大きくなることはあっても小さくなることはない。20周年を契機にして、ますます発展していただきたい。

 慢性期医療には連携が必要であり、医療の分野だけでなく、普段の食生活をはじめ、日常生活すべてがつながっていくという意味でも、非常に幅広い人たちとネットワークを組まなければいけない分野だと思う。皆様方が中心となって、幅広い強調の下に、慢性疾患に苦しむ人たちが1人でも少なくなるように、そしてみんなが健康で長生きできるように、世界一の健康長寿国家をつくるためにご尽力いただくことを心から祈念申し上げる。
 

■ 自見庄三郎氏(参議院議員)
 

自見庄三郎氏 本日は、日本慢性期医療協会の20周年、いわば「成人式」である。会場入口に大変美しい振り袖姿の女性たちがおり、「成人式だ」と思った。日本慢性期医療協会の成人式を心よりお喜び申し上げる。

 平成10年当時、私は政調会の副会長をしており、「公的介護保険をつくれ」ということが総理・総裁からの厳命だった。超高齢化を迎える日本において、世界で初めて公的介護保険をつくらせていただいた。そうした中で、平成4年に「介護力強化病院連絡協議会」として発足した日本慢性期医療協会が20周年を迎えることになったことを心から喜びたい。

 人々が安心して暮らせる社会、人間の尊厳を保てるような高齢社会の実現のため、医師免許を持つ国会議員14人で超党派の会をつくった。私がその会長を務めている。医療や介護、福祉などの問題について、関係の先生方にご協力を頂きながら取り組んでいきたい。日本慢性期医療協会の30周年、40周年のために、また安心して暮らせる高齢社会のために、しっかりと下働きをさせていただきたい。
 

■ 梅村聡氏(参議院議員)
 

梅村聡氏 日慢協の参与という立場でも一緒に活動させていただいているが、私は武久会長から「陳情」ということを受けたことが一度もない。武久会長は講演をするといつも、最後のスライドで「良質な慢性期医療がなければ日本の医療は成り立たない」という言葉を見せてくださる。そのことをいつも念頭に置いて医療政策に励んでいかなければならないと思っている。

 昨今、「社会保障と税の一体改革」の議論が国会でも熱心に繰り広げられた。私の地元大阪でも、多くの高齢者の方々とタウンミーティングという形で意見交換させていただいた。やはり多くの国民の方々は慢性期医療、特に医療が受けられる病院や施設の充実を非常に望んでいる。

 一体改革で示された医療・介護のシミュレーションのうち、「亜急性期」「回復期」「療養」の部分のボリュームはこれから先、質も量もさらにアップしていかなければいけないのではないか。そうすると、一体改革で示された計画のうち、この部分の充実について修正が必要ではないかと思っている。このことは皆様方としっかり意見交換させていただきたい。

 もう1点、私が今取り組んでいる課題として、終末期医療の問題がある。今回の社会保障制度改革推進法の第6条では、終末期の医療をどのようにしていくのかということが述べられている。先日、日本老年医学会が終末期医療のあり方についてガイドラインを発表した。こうしたことは国民の皆さんと、現場の専門家の方々、さらには学会の皆さんとしっかり議論して、国としての方向性をしっかりと出さなければならないと考えている。

 このように、さまざまな課題が山積している今の高齢者医療、慢性期医療だが、私も参与として、国会議員の1人として、これからの活動に生かしていきたいと思っている。日慢協の30周年、100周年まで、こうした集いを開催できることを祈念申し上げる。→[続きはこちら]
 

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