処遇改善、「年齢分布にも配慮を」── 田中常任理事、介護給付費分科会で
令和8年度介護報酬改定の改定率などが報告された厚生労働省の会合で、日本慢性期医療協会の田中志子常任理事は処遇改善の対象拡大などに謝意を表した上で「介護職員の数だけではなく年齢分布にも配慮しないと、5年、10年後に実働できる介護職員が不足してしまうのではないか」と指摘し、今後の調査等に期待を込めた。
厚労省は12月26日、社会保障審議会(社保審)介護給付費分科会(分科会長=田辺国昭・東大大学院法学政治学研究科教授)の第252回会合を開催し、当会から田中常任理事が委員として出席した。
厚労省は同日の分科会に「令和8年度予算に関する『大臣折衝事項』について(報告)」と題する資料を示し、改定率等について厚労省の担当者が説明した。委員からは「財政状況の厳しい中、プラス改定を取っていただいた」「全ての介護従事者を対象にしていただいた」との声が相次いだ。田中常任理事も同様に今改定を評価した。
【田中志子常任理事の発言】
臨時の手当ならびに対象者の拡大についてはありがとうございました。しかし、今後のこととして心配しているのは、介護職員の数だけではなく年齢分布にも配慮しないと、5年、10年後に実働できる介護職員が不足してしまうのではないかと心配しております。今後はそういった調査も継続していただき、また、これは全ての職種に当てはまる懸念事項と考えておりますので、ご配慮いただければと思います。
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実態に即した丁寧な情報発信を
質疑では、「最大月1.9万円」について言及する意見が複数あった。平山春樹委員(連合総合政策推進局生活福祉局長)は「今回の介護報酬改定で1.9万円の賃上げができる措置を介護報酬で措置するのか、それとも、この定期昇級の2,000円分は介護報酬での措置ではなく事業所が独自で対応する部分であって、介護報酬によって措置されるのは実質的には1万7,000円ということなのか」と質問した。
厚労省の担当者は「端的にお答えすると後段のお答えになろうかと思う」とし、「全体としては最大で1.9万円、定期昇給0.2万円込みの額」と説明した。平山委員は「現場からは1.9万円が介護報酬で措置されると思っている方が割といるので、この点について誤解が生じないように丁寧な説明をお願いしたい」と要望した。
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小泉立志委員(全国老人福祉施設協議会副会長)は「定期昇給は本来、各事業者の裁量と経営努力によって行われるものであり、今回の制度改正による公的な上乗せ分とは性格が異なるものではないか」と指摘。「現在、経営環境が極めて厳しい中で、全ての事業所が必ずしも例年どおりの定期昇給を確約できるわけではない」と強調した。
その上で、小泉委員は「こうした記載はあたかも一律に1万9千円が支給されるかのような誤解を職員に与え、現場における事業者への不信感を招く恐れがある」とし、「今後の周知や資料作成に当たっては、改定による純増分と事業者の努力分を明確に切り分け、実態に即した丁寧な情報発信を要望する」と述べた。
2025年12月27日


