第606回中医協総会 出席のご報告

協会の活動等 審議会

2025年4月9日の総会

 厚生労働省は4月9日、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=小塩隆士・一橋大学経済研究所特任教授)総会の第606回会合を都内で開催し、当会から池端幸彦副会長が診療側委員として出席した。

 厚労省は同日の総会に「令和8年度診療報酬改定に向けた主な検討スケジュール(案)」を示し、了承された。
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01_議論の進め方

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 厚労省の担当者は「次の改定に向けて、今、医療全体の状況として、いくつか取り上げておくべきことがある」とし、「物価・賃金、あるいは医療機関の経営の状況について、これまでの改定とは相当に異なる状況が出てきている」との認識を表明。夏頃から始まる「その1シリーズ」に先立ち議論するテーマに「医療機関を取り巻く状況」「医療提供体制」を挙げた。

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診療報酬による機動的かつ十分な対応を

 質疑で、診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は「現在、病院をはじめとする医療機関の経営が大変厳しい状況にある中で、賃金上昇と物価高騰、さらには日進月歩する医療の技術革新へ対応して国民の医療を守るためには十分な原資が必要」と強調。「診療報酬による機動的かつ十分な対応が適時・適切に行われるべき」と述べた。

 林正純委員(日本歯科医師会常務理事)も「昨今、歯科診療所も含めて病院や医科診療所、調剤薬局が物価高騰や人材不足等により非常に経営が苦しくなってきている」とし、こうした状況について「できるだけ細かく分析いただき、安心・安全な地域医療が持続できるよう対応していただきたい」と求めた。

 森昌平委員(日本薬剤師会副会長)も同様に「厳しい経営状況」とした上で、「日本薬剤師会の調査では、約半数の薬局が2024年度に賃上げ対応できていない」と懸念。「今後も物価・賃金上昇が継続することが見込まれる。診療報酬改定においては、物価・賃金上昇を踏まえた対応が必要」と訴えた。

 一方、支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は「医療機関を取り巻く状況については、足元の状況だけではなく長期的な視点、トレンドで見ることも重要」と指摘。「賃金・物価が上がらない状況下でも医療費の水準が増加し続けていることに強い危機感を持っているので、医療保険制度の持続可能性の観点についても議論ができるよう準備をお願したい」と求めた。

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入院・外来医療、「十分な情報共有や議論がなされていない」

 このほか、専門部会や小委員会などの進め方はおおむね例年どおり。ただ、診療報酬調査専門組織である「入院・外来医療等の調査・評価分科会」からの報告について変更があった。

 厚労省の担当者は「これまで小委員会にいったん報告をして、さらに小委員会から総会へご報告をいただくという運びにしていたが、同じ場で、やや議論が形式的になっている部分もあったかと思う」と説明。「総会で、その内容について直接、分科会からご報告いただいて議論を深めてはどうか」と提案し、了承された。

 これに関連して、公益委員である飯塚敏晃委員(東大大学院経済学研究科教授)は「分科会で審議されている内容で総会に上がってくるのは非常に簡潔で、かつ濃密なまとめというのが、これまでの例だと思うが、総会において十分な情報共有や議論がなされていないとも感じている」と指摘。入院・外来医療について「医療費としても大変大きなボリュームゾーンであるので、途中経過等も含めて総会でご紹介いただき、フィードバック等がかかるように進めていただくよう検討してほしい」と要望した。

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