「第1回介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関する検討会」 出席のご報告

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第1回ケアマネの資質向上検討会0328

 3月28日、東京都港区の航空会館大ホールにて、厚生労働省老健局の主管による「第1回介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会」が開催されました。当協会からは、常任理事・事務局長の池端幸彦が構成員として就任いたしましたが、今回は都合により、代理人として武久洋三会長が出席されました。

 検討会の構成メンバーは、医療・介護職能団体の代表者や学識経験者など21名。

 はじめに、厚生労働省の川又竹男振興課長より、検討会の座長として田中滋構成員(慶應義塾大学大学院教授)を指名してはどうかと提案され、満場一致で承認されました。

 引き続き川又振興課長から、ケアマネジャーをめぐる現状と課題について、資料に基づいて説明されました。主な論点としては、ケアマネジャーの保有資格として、看護師・准看護師の割合が減り、介護福祉士の割合が増えていること、地域包括支援センターにおける業務の約4割は介護予防関係の実施に充てられ、他の業務にまでなかなか手が回らない現状となっていること、施設ケアマネジャーについて、「生活相談員」や「支援相談員」との役割分担が不明確となっていること、などが挙げられました。

 その後、意見交換が行われ、武久会長は、「現在、ケアプランはあまりにも利用者本位に運用されている。ケアマネジャーに権限と責任を付与していくにあたって、その資質の向上について話し合うのであれば、現場に携わるケアマネジャーを交えて議論するべきではないか」と述べ、具体的には、「主治医ならぬ主治ケアマネのような仕組みを設け、利用者が入院した後もケアマネジャーが継続してかかわることができるようにしてはどうか」との考えを述べられました。

武久洋三・日本慢性期医療協会会長

 ケアマネジャーの資質向上については、「利用者と保険者からみたケアマネジャーという視点から、達成レベルを明確にする必要がある」(馬袋秀男構成員・民間介護事業推進委員会代表委員)、「ケアプランの見直しがきちんと実施されていれば、ケアマネジャーの資質は必ず向上するはず」(三上裕司構成員・日本医師会常任理事)という意見もありました。

 また、議論が集中したケアマネジャーと医師の連携について武久会長は、「介護保険の現場はほぼ9割方が慢性期医療であることからすれば、主治医意見書を記載する医師を慢性期医療に携わる医師などに限定してはどうか。急性期病院の脳外科部長であっても主治医となれる現行の制度では、患者側は主治医だと思っていても、医師側は主治医だとは思っていないという認識の齟齬を生み、結果として相談・協力しにくい状況になっている。介護保険制度の実情に合わせていくべき」との意見を述べられました。

 その他、「業務多忙のためケアプランを十分に作成できないというケアマネジャーが約39%いるというデータがあるが、このような実態で果たして業務を行っているといえるのか」(小山秀夫構成員・兵庫県立大学大学院教授)、「1999年以来、ケアマネジャー試験合格者の累計が54万人ともなれば、その資質や能力は様々である。介護人材についてはキャリア段位という取り組みがあるので、ケアマネジャーについてもその能力を評価する方法を考えることが必要である」(筒井孝子構成員・国立保健医療科学院統括研究官)という指摘もありました。

 当日は、報道関係の傍聴者が多く、この検討会の今後の動向がいかに注目を集めているかがよく伝わってきました。次回の検討会は、5月初旬に開催される予定です。
 
第1回ケアマネの資質向上検討会

 
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