介護の技能実習生、「即時算入すべき」 ── 外国人材検討会で富家常任理事

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第2回外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会_20231004

 フィリピンやベトナムなど海外から受け入れた介護職員について介護報酬上の取扱いなどを議論した厚生労働省の会合で、日本慢性期医療協会の富家隆樹常任理事は「実習中も給料が発生している状況などを踏まえ、就労開始直後から人員配置基準に即時算入すべき」と述べた。

 介護人材の確保に向けて厚労省は10月4日、外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会(座長=臼井正樹・神奈川県立保健福祉大名誉教授)の第2回会合を開き、当会から富家常任理事が構成員として出席した。

 厚労省は同日の会合に「外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱いについて」と題する資料を提示。外国人介護職員の介護サービスについて満足度などが良好であったアンケート調査の結果などを報告した上で、「介護サービスの質の確保等に十分に配慮した上で、就労開始直後から人員配置基準に算入することについてどう考えるか」と意見を求めた。
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 今回も意見は分かれた。1時間に及ぶ議論を終え、臼井座長は「介護給付費分科会の議論に役立つ意見交換だったと思う。事務局には、この結果をしっかり整理していただき、介護給付費分科会にお伝えいただきたい」とまとめた。

 この問題について議論した昨年8月26日の介護給付費分科会では、「外国人労働者へのアンケートを実施してはどうか」などの意見が出ていた。
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「十分満足」「おおむね満足」が8割以上

 厚労省は今回、EPA介護福祉士候補者や技能実習生を受け入れている施設を対象としたアンケート調査の結果を示し、改めて議論した。

 調査によると、介護サービスの満足度について、「十分満足している」「おおむね満足している」と回答した利用者や家族の割合は、EPA介護福祉士候補者では84.2%、技能実習生では88.7%、特定技能では86.2%だった。
 
 働きぶりについては、「大変仕事熱心であり、高く評価できる」「足りない部分はあるが、おおむね評価できる」と回答した割合の合計は、EPA介護福祉士候補者では79.9%、技能実習生では81.7%、特定技能では81.9%だった。
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 こうした結果などを踏まえ、6カ月を待たずに人員基準にカウントすべきとの意見があり、富家常任理事もこれに賛同した。

【富家隆樹常任理事の発言要旨】
 前回の議論と同様に、今回も即時算定に賛成する意見があった。私ども日本慢性期医療協会としても、即時算定をお願いしたいと思っている。資料に示されたアンケート調査の結果を見ても、高い満足度が出ている。技能実習生の能力や、その評価の在り方、実習中も給料が発生している状況などを踏まえれば、就労開始直後から人員配置基準に即時算入すべきと考える。
 なお、資料24ページによると、技能実習生1人につき、入国前から就労開始までに監理団体に支払う費用の総額の平均は、約55万円。就労開始後に監理団体に支払う費用の月平均の額は約4万4千円となっている。
 介護施設に従事する介護福祉士には介護報酬上の処遇改善加算があり、これは外国人の介護福祉士にも適用されるが、病院の介護福祉士にはこのような処遇改善加算がなく、病院が補てんしている現状がある。外国の技能実習生には、さらに管理費が負担になってくるので、病院における外国人人材の確保について悩ましい問題である。ぜひ可能であれば、ご配慮いただきたい。

                          (取材・執筆=新井裕充) 

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