医薬品供給体制、「抜本的改革ができるように」── 中医協総会で池端副会長

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池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)_2022年12月23日の中医協総会

 医薬品の不安定供給に対応するため来年12月末までの特例措置などを決めた厚生労働省の会合で、日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長は「抜本的改革ができるように検討会等の審議も含めて進めていただくよう強く願う」と述べた。

 厚労省は12月23日、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=小塩隆士・一橋大学経済研究所教授)総会の第535回会合をオンライン形式で開催し、当会から池端副会長が診療側委員として出席した。

 厚労省は21日の議論などを踏まえ、同日の総会に「個別改定項目」を提示。医療DXの推進や医薬品の供給問題などに関する対応策をまとめ、小塩会長から本田顕子・厚生労働大臣政務官に答申書が手渡された。

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答申_2022年12月23日の中医協総会
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経過措置、診療報酬という2つの観点

 答申を受け、本田政務官は「今回の諮問の背景には医療DXの推進と医薬品安定供給問題への対応という現下のわが国の医療に横たわる大きな2つのテーマがあった」とし、「こうした課題への対応を経過措置、診療報酬という2つの観点から一体的にご議論いただいた」と謝意を示した。

 その上で、本田政務官はオンライン資格確認等システムの普及に向けて、「経過措置の範囲と期限を設定いただくとともに、オンライン資格確認を行う現場、医薬品の供給不安定に対応する現場、それぞれの負担について適切な評価を行っていただいた」との認識を示した。

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医薬品供給体制の抜本的な再検討を

 続いて小塩会長があいさつ。「医薬品の安定供給問題について多くの委員から発言があった」と議論を振り返り、「薬価あるいは診療報酬の見直しだけではなかなか問題が解決できない。産業構造あるいはビジネスモデルの在り方も含めて抜本的に医薬品の供給体制についての再検討が政府に求められる」と述べた。

 この日の会合で、池端副会長はオンライン資格確認のさらなる普及に向けた加算の特例措置について「再診も含めて評価していただいた」とし、医薬品の不安定供給への対応については「別のところにも大きな原因がある。来年12月31日までの間に抜本的改革ができるように」とコメントした。
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2022年12月23日の中医協総会

【池端幸彦副会長の発言要旨】
 個別改定項目の②オンライン資格確認の導入・普及に関する加算の特例措置、③医薬品の安定供給問題を踏まえた診療報酬上の特例措置についてコメントさせていただく。 
 まず②に関して再診も含めて評価していただいたことは歓迎したい。その上で、前回の資料にもあるように、病院は整備率、実施率とも5割、6割と比較的高いレベルにある。いかにマイナンバーカードを持ってきていただくかが重要である。マイナンバーカードを持参していただければ、お互いにメリットがある。それを病院も積極的に説明し、患者さんにご理解いただく。そして、それが面として地域の診療所にもどんどん広がっていくように努めてまいりたい。病院団体としても頑張っていきたい。
 ③では、医薬品不足で入院も外来も非常に苦しい状況の中で評価していただいた。より丁寧な対応が必要だと思うので、病院団体としても、より丁寧な説明をするようにベンダーと共有して進めていきたい。多くの委員が指摘しているように、今回の加算等だけで不安定供給が改善するわけではない。一時しのぎの対策である。不安定供給の問題は、別のところにも大きな原因があると私も強く思っているので、来年12月31日までの間に抜本的改革ができるように、検討会等の審議も含めて、ぜひ進めていただくよう強く願う。

                          (取材・執筆=新井裕充) 

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