認知症施策の推進について見解 ── 介護保険部会で橋本会長
介護保険制度の見直しに向けた議論が進んでいる厚生労働省の会合で、日本慢性期医療協会の橋本康子会長は認知症施策の推進について見解を述べた。
厚労省は11月24日、社会保障審議会(社保審)介護保険部会(部会長=菊池馨実・早稲田大学法学学術院教授)の第102回会合をオンライン形式で開催し、当会から橋本会長が委員として出席した。
今回のテーマは前回に引き続き、地域包括ケアシステムの更なる深化・推進について。11月14日の前回会合で示された資料のうち、今回は(2)(3)を中心に各委員が意見を述べた。
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橋本会長は(2)の「認知症施策の推進」について見解を示し、医療・介護従事者が認知症への対応力を身につける必要性などを指摘した。
【橋本康子会長の発言要旨】
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認知症施策の推進について意見を述べる。認知症の有病率は高く、認知症高齢者が増加する中で、当院でも認知症を抱える入院患者が多い。認知症は今や特別な疾患ではなくコモンディジーズである。
しかし、現状は認知症患者の受け入れを拒んだり、適切な治療やケアが十分ではないように思う。そのため、医療・介護従事者が認知症ケアのスキルや基礎知識を深める機会を広げる必要がある。急性期から慢性期、介護に至るまで、高齢者のケアに関わる全ての従事者が認知症対応のスキルを身につけることが必要な時代である。
医療から介護の中で、いわば川上である医療保険分野における認知症ケアや教育を進めることが必要である。一方、介護分野では医療と連携し、介護施設に従事するスタッフが認知症についてもっと理解や関心を高めるような施策が必要である。
(取材・執筆=新井裕充)
2022年11月25日