「わたしの医療観」  岡田玲一郎氏

官公庁・関係団体等

 
次期改定は「信賞必罰」 
 

 今日、ここに職員の方もいらっしゃっているようですが、病院は職員次第です。今、「ゆとり教育」ではなくて「ぬるま湯教育」です。生徒に嫌われたくない先生が増えているらしいです。

 ここに病院管理職の方もいらっしゃっていると思いますが、「部下に嫌われたくない」という、そんな上司が増えているそうです。「嫌われてもいい」という根性のある管理職がいる病院は強くなります。一種の愛情ですよね。

 今までやったことのない仕事を与えると、「やったことがないので~」と言う職員がいる。これを放置している。「やったことがないからやってみる」という職員もいます。この辺りに、病院のパワーの差が出てくるのではないかと思います。「やったことがないからやってみる」という職員が半分いたら、めちゃくちゃ強い病院になります。すべての仕事は、初めてから始まるんです。

 医療とは、治す、癒す、スピリチュアルです。医療も人生もビジネスも、「損か得か」より、「善か悪か」と言われますが、「損か得か」はあっていいと思います。ただし、「病院にとって損か得か」はやらないほうがいい。今の診療報酬は、「病院にとって損か得か」をやると駄目です。「患者にとって損か得か」です。患者さんはよく知っています。病院経営に秘策はありません。

 次期改定は「信賞必罰改定」になるでしょう。賞すべき功績のある者は必ず賞し、罪を犯した者は必ず罰する。いかに効率よく生産性を上げるか、そして医療資源の節約。薬を一杯出して儲ける時代ではないでしょう。検査もそうですね。

 在院日数と看護師、在院日数と機能です。7対1でも在院日数が19日では駄目です。平均在院日数がどんどん短くなっています。白内障の入院期間が13日という大学病院なんて駄目でしょう。眼科の都合です。手術の件数が少ないからベッドが空く。ベッドを空けておくと外科や内科が取りに来るので一杯にさせておくという大学病院の行動です。

 ご存知のように、急性期病院は機能分化、加えて療養病床も機能分化です。「急性期に対応できる療養病床」と、「急性期に対応できない療養病床」に分かれるような気がします。「上か下か」という話ではありません。「急性期に対応できない療養病床」も必要です。

 最近ようやく、「一般病床は急性期とは限らない」ということがはっきりしてきましたね。一般病床とは、非療養病床のことです。救命救急センターも変わってきました。既得権、独占だったのは過去の話です。厚生労働省は、「強い診療科による連携」という方向性です。県民にとってはこれが一番ハッピーです。すべての診療科をカバーするのは日本でも米国でも不可能だと思います。

 「お金になるからやる」というのはあっていい。休日でもやる。ただし、休日加算を取るためではなく、休日に診なければならない患者さんがいるからやる。例えば、急性期病院のリハビリのスタッフは「リハの必要があれば休日でもやる」と言います。すごく骨があります。
 

 

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