「第9回医療介護総合確保促進会議」 出席のご報告

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「第9回医療介護総合確保促進会議」 出席のご報告

 平成28年11月14日、「第9回医療介護総合確保促進会議」が開催され、武久洋三会長が委員として出席いたしました。議題は、下記の通りです。
 
 総合確保方針の改定に向けた検討

 今回の会議において、医療介護総合確保推進法改正案には、医療計画、介護保険事業計画との整合性を確保するため、都道府県、市町村の関係者による協議の場が設置されること、二次医療圏と老人福祉圏域を可能な限り一致させていくこと、市町村が実施する在宅医療・介護連携推進事業について、市町村だけでは実施が困難な場合、都道府県が支援を行い医療・介護の連携をはかっていくことなどが盛りこまれることが分かりました。
 また改正案において、多職種連携の推進において医療・介護両分野に精通した人材が求められるという箇所については、ケアマネジャーが担う役割であるとの声が、複数の委員から上がっていました。改正案は、年内にとりまとめられる予定です。

◇武久洋三会長の発言
武久洋三会長20161114 資料1-1「総合確保方針の改定に向けた議論の整理(案)」によると、二次医療圏と老人福祉圏域が一致していない5県についてはこれから一致させていくとのことだが、医療介護総合確保区域の概念が出てきたとき、区域の制定の条件として、二つの圏域間の人口は同程度の状態であることが望ましいという情報が入っていた。もともと二つの圏域は同程度の人口規模に設定するという話が初めからあったわけだから、一方の人口が5万人でもう片方は100万人というような、あまりにもバランスが悪いところについては、国が主導的に対応を進めていくよう考えていただければと思う。
 総合確保方針改定に向けた主な論点として、三つ目に「医療・介護の連携の核となる人材に関する視点」とある。医療と介護のコーディネーターができる職種というのは、まさにケアマネジャーだろう。実は2000年までは、看護師のケアマネジャーが非常に多かった。だが2006年から7対1入院基本料が開始すると看護師の争奪戦が起こり、看護師のケアマネジャーは一気にいなくなってしまった。現在では、ケアマネジャーの7割以上が、介護福祉士等、福祉系の職員であり、医学の基礎知識が少ないケアマネジャーが主流である。
 平成30年度同時改定の際には、看護師のケアマネジャーを置いた居宅サービスの事業所には何らかの評価をする必要が出てくるだろう。そうしなくては、現在の看護師の年俸から考えると、居宅サービス事業所にいるよりも病院に勤める方がいいということになるので、ケアマネジャーとして勤務しようという看護師は出てこない。そこまでしなくては、いつまで経っても医療から・介護のスムーズな連携は程遠いということを強調したい。

 前回の会議で質問していた、一般病棟入院基本料を算定している病院のうち90日を超えて入院する患者の人数について、参考資料を出していただいた。資料を見るとかなり母数が少なく、おそらくレセプトのデータを用いれば、もっと詳細な数字が出てくるのだろうと思うが、傾向としてはこの資料のデータの通りなのだろう。ご用意いただき、感謝申し上げる。
 例えば500床以上ある急性期病院でも1年以上入院している患者はいるし、普通の急性期病院に3ヶ月以上入院している患者もいる。入院していてもいいのだが、現在、地域包括ケア病棟の最大入院日数が2ヶ月で平均在院日数が1ヶ月以内という状況において、地域包括ケア病棟と、平均在院日数が20日前後の一般病棟との整合性はどうなってくるかということが問題である。
 問題は、医療介護総合確保ということを考えると、7対1に入院した場合、病状によっては長く入院が必要だということもあるのだろうが、入院してもリハビリ機能がほとんどないという場合がある。したがって7対1や10対1において、例えば3ヶ月入院した際、リハビリをどれくらい提供してくれているかということである。
 日本は寝たきりの人が諸外国に比べて非常に多いので、ここを減らしていくという観点も必要である。極端に言えば、寝たきりの人が半分になれば、介護施設も半分になるのではないか。もちろん、7対1、10対1の一般病棟でも出来高算定のリハビリをきちんとやっているのであれば入院していても大丈夫だろうと思うのだが、現状がどうなっているかをぜひ知りたい。
リハビリには算定日数の制限があり、脳血管疾患等のリハビリは6ヵ月までとなっている。3ヶ月間急性期病院に入院し、そこで充分なリハビリがなかったとすると、残り3ヶ月しかないわけである。入院前半の三ヶ月は何もしていないという状態で一からリハビリを始めるというのは、現場の経験から言っても患者には非常に不利益なことである。
 急性期から慢性期まで、慢性期から介護へと移る流れが、この会議の主点である。その観点から申し上げれば、急性期治療というのは1ヶ月もすれば大体終わるものであり、その後の対応について、リハビリや慢性期医療や介護へと、スムーズにシフトするためのインセンティブをつけていく必要があるのではないか。もちろん急性期病院に長く入院していることが悪いわけではないのだが、そこで適切なリハビリが受けられるのかということが問題だと思う。
療養病床の在り方等に関する特別部会において、療養病床から院内施設への転換が議論されている。しかし一般病床の中にも慢性期の患者は実際に入院している。だとしたら、この部会で検討されている院内施設には、一般病床からの転換があってもいいのではないかと思う。可能なら、一般病棟におけるリハビリの出来高算定について、分かる範囲でよいのでデータを出していただきたい。
 他の委員の発言にもある通り、大病院の急性期であっても、他に行きようがなく、1年以上入院を続けざるをえないような患者がいるということは良く分かっているし、それも当然であると理解している。ただ問題なのは、入院して1ヶ月以上経ってしまうと、リハビリがなくてはなかなか元に戻らない。だから、急性期病床をもつ中小病院にはリハビリの提供能力をつけてほしいということである。適切なリハビリ能力があるのであれば、7対1に長く入院していてもまったく差し支えない。
 委員の先生方がおっしゃっているように、7対1でも手術直後のリハビリを非常に大事にしている病院はあるだろうし、もちろんそうしたところは問題ないだろう。だがリハビリをしないと患者は動かないわけだから、拘縮が進み、時間が経つほど、元に戻るのが非常に難しくなっていく。現状を知るためにも、7対1、10対1で出来高リハビリをどのくらいやっているのか調査を実施して、データを出していただければと思う。

○第9回医療介護総合確保促進会議の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
 ⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000142824.html
 

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