「第132回社会保障審議会介護給付費分科会」出席のご報告

会長メッセージ 協会の活動等 審議会

「第132回社会保障審議会介護給付費分科会」出席のご報告

 平成28年11月16日、「第132回社会保障審議会介護給付費分科会」が開催され、武久洋三会長が委員として出席いたしました。議題は、下記の通りです。
 
 1.介護人材の処遇改善について
 2.地域区分について
 3.その他

 議題である介護人材の処遇改善について、委員からは、給与を上げるだけでは介護職の現状は変わらず、他職種と比較しても離職率が高い状態が続くだろうといった意見や、処遇改善加算はこれからも介護報酬を財源とするのかといった、財源をどこにするかという論点について、複数の発言がありました。
 
 地域区分については、公平性を確保する観点から、自地域が、自分たちよりも地域区分の高い地域、あるいは低い地域に囲まれたケースにおいて、隣接する地域での地域区分のギャップが大きくならないようバランスをとるための「完全囲まれルール」が事務局より提案され、検討されました。
 

◇武久洋三会長の発言
武久洋三会長平成28年11月16日 介護人材の処遇改善についてであるが、一般的に言えば、従業員の給与を上げるには事業所が経営努力をしていかなければならないのが本来の姿である。だが、介護職員については、資料にもあるように、平成21年の処遇改善以来43,000円も上がっていることになる。現実問題として、現場の努力だけで4万円も上げるというのはなかなか難しい。国に取り組んでもらわなくては、とてもここまでは達成できなかった。お礼を申し上げたいと思う。
 私自身、介護の仕事というのは、重要性や尊さからいっても本当に大変な仕事であると思っている。ところが、国民からの評価はなぜか低い。お風呂に入れるにせよ、オムツを替えるにせよ、実際にやってみれば介護職がどんなにきびしい仕事であるか分かる。介護職の方々には、本当によくやっていただいていると思う。
 事業者として、このような仕事に対しては充分な給与を払うのが当然ではあるのだが、介護保険も医療保険も縮小する方向に向かっており、資金面の苦労がある。現場の努力だけでは限りがある。
 処遇改善加算は、このように給与を上げることで介護職にスポットライトが当たるようになったという点も役割の一つであったと思っている。介護職とは、これまで日本を創るために苦労をしてきた方々に対して敬意を表し直接触れ合っていくという、尊くやりがいのある仕事なのだということをアピールすることにつながった。他の職種の賃金も上げてもらえないのかという声も出ているが、介護職の地位を上げるという観点から考えれば、処遇改善加算はあくまで介護職の給与を上げるためのものであろう。
 東京都では、特養が開設しても介護職員が集まらず、運営できないという施設が複数あると聞いている。昨年の出生数は100万人であったが、2025年の出生数は78万人と想定されている。この状態でいけば、介護に携わる若い人はいなくなる。介護保険の提供するサービスは介護職員で保たれているのだから、今後はもう少し考え方を変え、介護職員をリスペクトする形で進めていく必要があるだろう。

 処遇改善加算について、資料1の1ページ目に「介護職員の処遇を含む労働条件については、本来、労使間において自律的に決定すべきものであるが、他方、介護人材の安定的確保及び資質の向上を図るためには、事業者における取組を評価し、確実に処遇改善を担保するために必要な対応を講ずることは、現状においてはやむを得ない」とある。委員の先生から、「この書き方では仕方なく処遇改善加算を実施しているように読めないか」との指摘があった。ご指摘の通り本来は事業所の努力で給与を上げていくべきだが、国が何もしなかったら4万円も上がるようなことはなかったわけである。現状では国が措置を講じざるをえないという意味で「やむを得ない」という言い方になっているのだと理解している。

○第132回介護給付費分科会の資料は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
 ⇒ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000143087.html
 

この記事を印刷する この記事を印刷する

« »